大地は風を呼び…木々はそれに応じて葉を揺らす!
大地は「心」、木々は「身体」――そして風は「拳」!
「一撃必殺」の極意!! それは「風の拳」!!
概要
1997年~1998年にかけてゲーメストにおいて連載された中平正彦氏によるストリートファイターシリーズ(Ⅲを主軸に複数作品)を題材にした漫画作品『RYU FINAL』において、長らく旅を続けてきたリュウが辿り着いた、一撃必殺の極意にして「真の格闘家」という言葉への答え。
劇中では相手の一撃必殺に合わせて放たれる一撃、いわゆるカウンターとして描写されている。
技としてある程度の方向性はあるものの、決まった型はなく、概念・思想・悟りに準じた極意のようなモノとなっている。
その根底にあるものは相手を「倒す」のではなく「勝ち」、そして「その先」を導き示すこと。
それは全てを殺すための一撃必殺の極致「殺意の波動」を越えるための思想といえる。
作中での使用
風の拳の完成に立ち会った人物。優れたボクシングの使い手で、リュウをしても彼の距離では何もさせてもらえなかったほどの強者。
また、ボクシングを「手段が限定化された中で一撃必殺を追求してきた格闘技」と語っており、一撃必殺についても一家言を持つ人物である。
その彼が一撃必殺として繰り出したコークスクリューブローに対して、この時は、そのパンチを正面から迎撃する正拳突きの形で使用される。そして見事に打ち勝ち、風の拳の完成を見る。
その際に想像以上のダメージを負わせてしまった(ダッドリー曰く「枝ごと折られてしまった」)ことをリュウは「未熟な拳ゆえ」と謝罪したが、ダッドリーは風の拳の完成に立ち会えたことに感謝しながら、自らの負けを認めた。
風の拳に辿り着いたリュウがゴウキに挑む前、風の拳の完成を報告するために立ち会った、ケンとはまた違った意味でのリュウの永遠のライバル。
かつてリュウは彼との対戦中に殺意の波動に目覚め、その殺意の波動による豪殺昇竜拳で胸に傷を負わせてしまった。
そしてサガットは、自らに傷を負わせた殺意の波動への恐怖に屈することなく、敗北の屈辱を「勇気ある者の刻んだ誇り」へと変えるべく自らが強者であり続ける道を選んでいる。
その後も二人は幾度も闘い、その中で『「勝つ」ための一撃必殺とは何かを探す』という約束が生まれている。
短い攻防の後、サガットの膝蹴りに対して風の拳が放たれた。この時は昇竜拳として放たれ、かつての傷と同じ場所に傷をつけ、新しい傷に上書きされる事となる。
結果は相打ちに終わったが、その拳に宿るものを感じ取ったサガットは約束が果たされたことを喜び、「勝つ」ための一撃必殺として具象化された風の拳の誕生を祝福した。
リュウとは同門の格闘家で、一番の親友でありライバル。
彼もまた「真の格闘家」とは何かを模索しており、今作ではリュウより先に『家族のための拳』として、リュウとは違った形でその答えを見出した。
ゴウキとの雌雄を決するために朱雀城を訪れたリュウの前に現れ、ゴウキ戦前に互いの拳をぶつけ合い、完成した風の拳の前に一撃で敗れ去る。この際も正拳突きとして使用された。
その後はリュウとゴウキの戦いを見届けることになった。
リュウが認める「真の格闘家」であり、同時に彼が越えるべき「殺意の波動」の使い手。
かつて先代ゴウケンに対して暗殺拳としての拳の因縁を終わらせると語ったこともあるが、リュウに願いを託すように、あえて「真の格闘家」の極致である殺意の波動に踏み込んだことが示唆されている。
物語終盤、炎上崩壊する朱雀城で繰り広げられた死闘の中、殺意の波動の究極奥義「瞬獄殺」に対して風の拳を使うリュウ。
この時はゼロ距離からの波動拳。瞬獄殺をあえて受け止め、無防備となった身体に放たれた。
ゼロ距離の波動拳は完全にゴウキの体を吹き飛ばす一撃となったが、ゴウキの「一撃必殺」が全てを殺すものであり、リュウの一撃必殺がそれを越えるものである以上、結末はどちらかの死でしかありえなかった。
だが、互いに満身創痍の中で交わした最後の一撃で、リュウは再び風の拳を放つ。
殺意の波動によって肉体が崩壊しつつあったゴウキに放たれたのは「風の拳・不滅」。先述したようにどちらかの死でしかあり得ないことを分かっていながら、それでも「あなたとまた闘いたい」と涙ながらに告げたリュウの願いがこもったその一撃で、消えゆくはずだったゴウキは再び輪郭を取り戻した。
最終話に登場。戦いを続けるうちに格闘技を「暴力のぶつけ合い」と考えるようになったが、リュウとの立ち合いに敗れて「憎しみの沸かない敗北」を知り、それまでの価値観を崩されてしまう。
今までの価値観を覆されたのに、それでも何故戦おうとするのか。以降の彼はリュウのように自身に問い掛け、その答えを求めて戦うようになり、ケンはそんな彼を詩人と称した。
その後の展開
『RYU FINAL』発表以降、各種ゲーム作品においてこの風の拳を想起させる場面や演出が散見されるようになった。
『RYU FINAL』完結後の1999年に稼働となった『Ⅲ 3rd』では、リュウのエンディングが落ちる一枚の葉の流れさえ掴めないことに未熟を感じるリュウの姿で終わっている。
ロケテストの段階まで開発が進んでいたが、2003年8月7日に開発中止が発表された作品。
ドラマティックフィニッシュという専用のフィニッシュブローを繰り出せるシステムがあり、リュウのそれは「疾風の拳」という名称、演出共に風の拳を思い起こさせるものだった。
『Ⅳ オメガエディション』で、風の拳をモチーフにしたと思われる技として「葉流し」が実装。
技名については作中の「風を伝えるためには葉を揺らす位で充分」という台詞から取られていると思われる。
家庭版におけるチャレンジモードの一つ、特定のコンボを成功させるトライアルモードで獲得できるトロフィー称号の中にも「風の拳」がある。
ゼネラルストーリー後半で、殺意の波動を否定するのではなく「倒すのではなく勝つための力」として受け入れると述べており、これは殺意の波動に対するスタンスは違えど、「風の拳」と同じ考えである。
のちのアップデートで追加されたVトリガーIIでは「風よ!」のセリフとともに構えを取る確固不抜が追加された。両手に電気を伴うVトリガーIの電刃練気のように青い波動を両手に纏い、強烈なカウンター技である一心が利用できるようになる。
前者ではオートスキル、後者では精神コマンドのようなスキルとして登場。
関連タグ
リュウ(ストリートファイター) 豪鬼(ストリートファイター)