概要
縁障女(えんしょうじょ)とも呼ばれる江戸時代に書かれた奇談集『絵本百物語』に記載された妖怪。
英語ではHinoenmaと表記するが、旧ヘボン式のローマ字表記法ではバ行・パ行・マ行の前に「ん」が来た場合は「n」ではなく「m」を使うためHinoemmaと表記する事もある。
一見するとただの美しい女性の姿をしているが、その実態は自らの姿に誑かされた男を破滅させる恐ろしい妖怪で、夜な夜な現れて男の精気や生血を啜り採り、最終的には憑り殺してしまうとされている。
なお「縁魔」とは、仏教における聖道を妨げ命を奪う、「魔縁」(三障四魔)のこととされる。
丙午(ひのえうま)の年生まれの女は、気性が激しく男の命を縮めるという迷信から生まれた妖怪だともいわれている。
その年には火災が多いともいわれ、後代の創作では江戸大火を起こした八百屋お七が生まれた年(1666年、実際は1668年生まれだといわれる)であるとされ、この名には「火の閻魔」「飛炎魔」も掛けてあるともいわれる。
そのためなのか60年に一度だというこの年には出生率が下がり、丙午生まれの女性の縁談が破談になるなどの悲劇が昭和時代まで続いた。
創作での扱い
- 女神転生シリーズ
初出は地方都市を舞台に日本の妖怪や、世界各地の吸血鬼が敵として登場した『デビルサマナー』。種族は”夜魔”で、返り血がかかったような頭巾の夜鷹という解釈の姿。
『女神異聞録ペルソナ』では、手にした三味線を弾きながら瀕死化魔法デスティカを連続で唱えてくるのが脅威であった。
九州編「闇の奥」のボスで雷に弱く、風・麻痺に耐性を持つ。
大太解体魔人の一柱である女子高生姿の「血ノ鬼」として登場。人間では於七。神では佐用都比賣命としての属性を持ち合わせる。
- モンスターマスターX
龍を纏わせている女性で、魔法タイプの炎属性。
- ガールズリボーン
振袖のような衣装の火属性のディフェンダー。
【誘惑】飛縁魔として登場。着物姿の妖艶な女性姿の妖怪で、周囲からは次の長候補と思われているが、実は精気と生血を吸うのは苦手。