概要
江戸時代に描かれたとされる、土佐の国(現在の高知県)を舞台とした全16話の妖怪譚を収録した妖怪絵巻『土佐お化け草紙』に描かれている妖怪の1種。
蝦蟇に似た姿の妖怪・宿守と共に室内に釣られた蚊帳の中で語らう様子で描かれており、その正体は火事で焼け死んだ馬が妖怪化した存在であるとされる。
また、馬骨は文字通り馬の骨から成る妖怪、あるいは馬の骨にまつわる妖怪全般を指す場合が多く、その具体的な描写や伝承は地域や資料によって異なっているが、これに纏わる話は各地に存在しており、馬の骨が不気味な力を持つ為とされる。
尚、その能力や特徴は具体的に明確にされていない資料もあるが、概ね人々に恐怖を与える存在としての描写が一般的である他、一部の伝承では火に関連する能力を持つともされている。
その理由は馬の骨を焼くと不吉な力が発生するとの信仰(類似例として亀の甲羅の骨を焼き、そのヒビ割れで未来を占う『亀卜』『甲卜』がある)や、火事を引き起こす妖怪としての側面からきている可能性がある為と考えられているが、この点については資料に異なる解釈が存在しており、一概には断言できない部分も多い。
ちなみに、狐が狐火として燃やす燃料には、「馬の骨」が用いられているとも伝わっている。
余談
江戸時代には、馬の骨から採った油から作られた粗悪で廉価な蝋燭が「馬の骨」と称されていた他、「どこの馬の骨(牛の骨)だか知れない」や「どこの牛の骨とも馬の骨ともつかぬ」などの慣用句・諺の語源俗解の一端に、“火事で焼けた馬や牛の骨を示した” ものがあり、馬骨に付けられている解説はその様な内容を踏まえたものとする説もある。