シビュラ… お前の『色』は何色だ?
シビュラよ、お前を裁くまで後もう少しだ
プロフィール
生年月日 | 2091年7月23日 |
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血液型 | AB型 |
身長 | 170㎝ |
体重 | 60.5kg |
CV | 木村良平 |
人物
免罪体質者とも異なり、犯罪係数の測定どころか、存在自体をサイマティックスキャン(シビュラ)が認識出来ないという極めて特殊な体質を持つ青年(その理由については後述)。そのため当初はその実在すら疑われており、「透明人間」呼ばわりされていた。
一方で彼の側は公安局の刑事である常守朱の存在も知っているなど、謎の多い人物。
薬学と心理操作に精通しており、独自に調合した薬物と心理誘導によって不健全化した他人のサイコパスをクリアにすることが出来る。劇中でも潜在犯となった人々の犯罪係数を下降させた他、ユーストレス欠乏症で廃人同然となった人々なども復活させており、彼等から救世主の如く崇められている。
性格は非常に穏やかで慈愛に満ちており、社会から疎外された弱者・落伍者達を見つけ出しては常に全力でその救済に取り組み、彼等を喪った際には涙すら流す。
だがその一方、本作における社会秩序の支配者たるシビュラシステムに対しては並ならぬ敵意を抱いており、それを裁き社会と人々を「クリアにする」ことを目的に、彼の信奉者達と共に数々の凶悪犯罪を引き起こす。
オッドアイの持ち主。また、顔の左右両側に下顎骨を縦に添って傷跡がある。
作中での活躍
第1話にて、女性のホログラムを身に纏って爆弾テロ事件の人質を装い、二係監視官である酒々井水絵を公園におびき出し捕縛。彼女を盾に、その手に握られたドミネーターで同行していた山門屋晃執行官を殺害。その後両名のドミネーターを回収し、現場に「WC?」というメッセージを残し、彼女を連れたまま失踪する。
なお、逮捕後の爆弾テロ犯が「カムイ」の名をしきりに叫び続けている事、そしてこの時の女性のホロの姿は15年前に起きた飛行機事故での犠牲者の一人(少女)を大人に成長させた場合の姿と等しい事が後に判明する。
第3話にて酒々井をアジトに拘束(同時にドミネーターの網膜認証データを得るため右目を摘出している)。しかし、錯乱する彼女に心理誘導を施し、悪化した彼女のサイコパスを瞬く間にクリアにしてみせる。この一件以降、酒々井は次第に鹿矛囲に心酔し、やがてその犯行の協力者となってゆく。
その頃、講演会場付近のエリアストレスを上昇させた原因として一人の政治家が公安局に連行されるも、彼もまた「カムイ」の名を口にした後、黙秘を貫く。
第3話~第4話では、免罪体質者に仕立て上げた彼の信奉者の一人を用いてメンタルケア施設を占拠。密室内での暴虐行為による深刻なサイコハザードを引き起こし、その場におびき出された監視官の青柳璃彩を含む人質全員の犯罪係数を上昇させ、禾生局長(=シビュラシステム)の命により駆け付けた公安局三係の手で全員執行(ドミネーターのエリミネーターモードで殺害)させてしまう。
その目的は「ドミネーターで監視官を執行可能かどうかの実験」であり、青柳はそのための実験台として選ばれ、罠に嵌められたのであった。
上述の連行された政治家も、この事件への公安局の対応の足止めをするために用意された「成りすましの偽物」であり、本人では無かったことが判明する(直接的な描写は無いが、本物は恐らく秘密裏に殺害済み)。
第5話にて、朱達は国防省の軍事ドローン研究施設の置かれている倉庫地帯に彼のアジトがあることを突き止め、一係・三係のメンバーと共に急行。アジト内に大量の人間の臓器が保管されているのを発見するも、鹿矛囲は軍事ドローンの操作を配信中の人気オンラインゲームとリンクさせることで一般ユーザー達に無意識に殺人ゲームを行わせ、現場を訪れていた監視官・執行官の無差別殺傷事件を引き起こす。
後に、ここでの目的は「現場に集まった監視官・執行官達から複数のドミネーターを強奪する」事であったことが判明、彼は結果的に合計8丁のドミネーターの入手に成功する。またこの一件により、それまで疑われていた彼の実存が明確となる。
第7話にて、朱は彼の手に渡ったドミネーターを無力化すべく、その発動の鍵となる酒々井監視官の網膜認証権限を剥奪するよう禾生(シビュラ)に進言するも拒否される。その禾生の様子は、まるで鹿矛囲という存在そのものを頑なに認めようとしないかのようであった。
一方、元・ホロデザイナーの雛河翔により、上記のメンタルケア施設占拠事件の現場にホロと思わしき人物を確認。その姿は、第1話での女性のホロと同じく、ある飛行機事故の犠牲者の少年を大人へと成長させた姿に等しかった……。
関連イラスト
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同制作会社・別作品の似たキャラクター
特別機密事項
第7話以降のネタバレのため、注意 |
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正体
第7話でのホロの分析および関連する飛行機事故の記録から、その事故でただ一人「鹿矛囲桐斗」という名の少年が肉体の大部分を欠損しながらも一命を取り留めた事、亡くなった他の184名の乗客は修学旅行へ向かう途中の彼の同級生達であった事、そして彼の肉体および犠牲者達の遺体が極秘裏に巨大医療財団・東金財団へと運ばれ、その保有する医療特許技術の実験台として7人の脳を含む、184人の遺体部位の多体移植手術が行われていた事が判明。鹿矛囲の正体は、元の人格以外に7人の同級生達の人格を脳内に有する、「集合体」としての存在だったのである。
彼のサイコパスがサイマティックスキャンに映らなかったのは、いわば彼が『繋ぎ合わされた死体』としてシビュラシステムに認識されてしまっていたからであった(手術を請け負った執刀医・枡嵜葉平によると「手術が終わった時点ではスキャナに認識される普通の人間だったが、日常生活を送っていく中、移植された部位が生着するにつれて、スキャナに認識されることが少なくなっていった」とのこと)。
この手術により彼(正確には『彼ら』)は生き延びるも、スキャンに映らなくなった結果、彼は社会の支配者たるシビュラ、ひいては社会そのものからも存在を抹消されるようになってしまう。
また上記の飛行機事故の背景には、かつてシビュラシステムと国民管理システムの座を巡り競合していた「パノプティコン」という経済・交通情報を用いたシステムを蹴落とすべく、シビュラを支持する政治団体が仕組んだ工作によって金融・交通機関の大混乱が生じ、交通事故・航空機事故の件数が通常の数十倍に跳ね上がった「地獄の季節」と呼ばれる一件が関与していることが発覚。
やがて彼は、自分(達)の生命と運命を弄び、今なお多くの人々の生を狂わせているシビュラシステムを自らの手で裁くことを誓う。
(※なお、鹿矛囲の手術成功によって東金財団の得た知見がその後のシビュラシステムの技術発展にも大いに活かされたことは想像に難くなく、そうした意味でもシビュラは彼にとって因縁の相手であると言える。)
彼が変装のため身に纏うホロも、すべてこの飛行機事故で命を落とした同級生達の(大人になった)姿を模した物であり、その中には第一期で宜野座伸元のカウンセリングに当たっていた医師も含まれていた。彼はかねてより公安局の内部にも潜入しており、朱達の存在も承知済みだったのである。
また上述の枡嵜医師の手を借り、有力政治家を始めとする各界の大物達を「サイコパスの治療」と騙して殺害しその臓器を強奪、それを(日本国民でないが故に、初めからシビュラシステムのスキャン対象とならない)密入国者の肉体につなぎ合わせて、先述の連行された政治家のような「成りすまし」に仕立て上げていた。
調査報告
第9話にて、鹿矛囲には国土交通省の若手官僚・桒島浩一という協力者がいることが判明。彼も同級生の一人であったが、修学旅行の一週間前に転校していたことで偶然飛行機事故を免れ、それを負い目に苦悩し潜在犯落ちしそうになったところを鹿矛囲に救われた経緯を持っていた。
二人は「シビュラ打倒のための会合」という名目で省の役人達を招集、かつて「地獄の季節」を黙認して巨万の富を得、今も密入国者達の肉体を斬り刻み生きたままグロテスクな動物に仕立てて弄んでいる彼等を、ドミネーターで皆殺しにする。ドミネーターの発動を検知し朱達は現場へ向かうも、既に会場には火が放たれ、鹿矛囲の姿も消えていた。
第10話では彼の複数の信奉者達(いずれも「地獄の季節」で愛する人物を奪われた者達)にドミネーターを握らせ、地下鉄を強襲。混乱し犯罪係数を急上昇させた乗客達を次々にパラライザーモードで執行し、短時間の内にドミネーターから大量の情報をシビュラシステムへ送り込むことでその「処理落ち」(正確にはネットワークのバイパス経路の発動)を引き起こし、それを感知することでシビュラの設置場所を特定し始める。
これを受け、禾生は地下鉄の存在する区画を大量の爆薬(第1話のテロ犯から押収した物)で破壊し、鹿矛囲を約500人の人質ごと抹殺することを朱に命ずる。この時、自分の祖母・常守葵が彼によって惨殺された(※実際は別の人物の仕業なのだが)ことを知らされた朱は憎しみに囚われそうになるも、あくまで法の遵守を貫くことを決意。この命令を拒否し、聴取中の桒島を説得して鹿矛囲へ直接コンタクトを取ることに成功、「人質を解放するなら私が貴方の望みを叶える」と、自ら彼をシビュラシステムの下へ案内することを提案。
当然ながらシビュラがこれを認めるはずもなく、直ちに彼女から監視官権限を剥奪せんとするも、朱はシビュラが
- 自身が複数の脳から成る『集合体』であり、その自身をドミネーターの裁きの対象から除外するためには、同じく『集合体』である鹿矛囲も裁かないようにするしかない
- だがそれでは、およそ『この社会を統べる全能の存在』になどなり得ず、シビュラの存在意義そのものに反する
という全能者のパラドクスに陥っている事を看破し、これを一喝した。
最終話の第11話では、途中東金朔夜の凶刃に襲われるも躱し、朱と共にシビュラシステムの安置されるノナタワー最下層に到着。そこにはドミネーターを手にした禾生(この時の中身は東金財団理事長でもあった東金美沙子)が待ち構えており、監視官権限を奪われた朱共々始末されそうになるも、彼は怯まずシビュラに問う。
「裁きの神を気取るなら、選ぶ道は一つだ!!」
「お前達がお前達でいる為に乗り越えねばならない存在が目の前にいるぞ!!」
「裁けるか? 僕達を!! 問えるか? 僕とお前の色を!?」
次の瞬間、ついにシビュラが鹿矛囲(と自分自身)を裁くために必要な「集団的サイコパス」という概念を認め、その結果眼前の東金美沙子も犯罪係数300オーバーの潜在犯と認定、鹿矛囲の握るドミネーターのエリミネーターモードで逆に執行される。
やがて辿り着いたシビュラシステム本体にドミネーターを向けると、シビュラは自分自身のサイコパスを悪化させている原因となっていた一部の脳を自ら廃棄すると同時に、「集合体」鹿矛囲の実存を認める。かくして彼はようやくその存在の認知を勝ち得たが、同時にそれは自らが執行対象になることを意味していた。
シビュラから鹿矛囲の執行を急かされるも、あくまで彼の「逮捕」に拘る朱。彼はそんな朱に「シビュラの真の裁き手」となる事を期待するが、その時朔夜が乱入。朱の祖母を殺したのが自分であることを明かし、彼女の犯罪係数を上昇させて鹿矛囲共々ドミネーターで始末せんとするも、朱は鹿矛囲の言葉で立ち直り失敗に終わる。それを見届けた鹿矛囲はドミネーターを朔夜へ向け発砲。互いに犯罪係数300オーバーであった彼と朔夜はエリミネーターモード同士での相打ちとなり、朔夜は右腕を失う致命傷を負いその場から逃亡、鹿矛囲は最期に朱へ微笑みを向けながら、弾け飛び絶命した。
ファンの評価等
本作における一連の事件の黒幕ではあるものの、その性格はおよそ悪人のイメージからはかけ離れた慈愛に溢れるもの。自身も悲劇的境遇の下に生まれた存在でありながら、常に(シビュラ支配下の社会から爪弾きにされた)弱者達の心に寄り添い救いの手を差し述べ続けるその姿は、少なくとも彼の信奉者達にとっては偽りなき「救世主」であったと思われ、第一期の槙島聖護とはまた異なる魅力を持った悪役であると言える。
だが一方で、彼が目的達成のために犯した行為の数々は、シビュラの関係者・協力者のみならず無辜の人々までも平然と惨劇に巻き込むものばかりであり、その性格とは裏腹に悪逆非道そのもの(特に、彼によって犬死にに等しい悲惨な最期を遂げさせられた青柳璃彩のファンからは非常に評判が悪い)。
こうした性格と行動の乖離には、彼が上述の理由により生み出された(真の意味での)多重人格者であることも大きいと思われるが、いずれにせよ彼の犯罪によりもたらされた被害は情状酌量可能なレベルではない。最終的に計測された彼の300台越えの犯罪係数も、重ねた罪の重さを鑑みるなら十分納得のいく数値である。
悪役キャラとしても「槙島の方がはるかにカリスマ性があった」という意見が少なくなく、今なおファンからの評価が大きく分かれるキャラクターでもある。