概要
一部の文献では“麻桶毛”とも表記される徳島県の古書『阿州奇事雑話』に記載される阿波の三好郡加茂村に出現したという妖怪。
その正体は加茂村の彌都比売神社(あるいは弥都波能売神社)御神体の麻桶に収められた髪の毛とされており、妖怪というよりも神様と表現した方が正しいのかもしれない。
普段は何の変哲もないただの髪の毛だが、神社に祀られている神の心が穏やでない時は、その毛が長く伸びて麻桶から飛び出すと人々に襲い掛かって来るといい、以下のような伝承がある。
かつて近隣の村々を荒らし回っていた山賊たちが、ある晩、神社の祠に集まって盗んできた盗品を仲間同士で山分けしていた。すると気付かぬうちにこの身体の毛が長く伸びて麻桶の蓋を付き上げ、1本の毛が山賊の人数分に裂けたかと思うと、あっという間に山賊たちを締め上げてしまった。身動きできなくなった山賊たちは、翌朝追手に捕えられてしまったということである。
ゲゲゲの鬼太郎
CV/ 白鳥哲(6期鬼太郎・男雛)、柿沼紫乃(6期鬼太郎・女雛)
漫画『新編ゲゲゲの鬼太郎』で“麻桶毛”という名称で登場。
伝承と違い、普段は一筋の髪の毛の姿をしているが、何か腹立たしいことがあると何百何千にも裂けてのびだし、人を襲う妖怪。神社に祀られているものもいるらしいので、やはり神様と妖怪の間のような存在なのかもしれない。
なお、神社に祀られていない麻桶毛は古い人形の髪などに隠れて何千年も生き続けており、鬼太郎と対決した麻桶毛はこちらに当たる。
劇中ではとある古家の仏壇に収まっていた不気味な人形に潜んでおり、その家へと引っ越してきた少女を腹の中へと取り込んだが、それを知った鬼太郎たちと戦い事となり、最後はつるべ火に燃やされ退治された。
本作では雛祭りの放送日に合わせて、男女2体1対の麻桶毛が登場した。
人間の精気を吸い取り人形に変えてしまうという、ゲーム版のオリジナル妖怪とよく似た力を持ち、とある人形供養の神社に封印されていたが、食べ物や金目の物を物色していたねずみ男に封印を解かれて復活。早速とばかり数百年ぶりの獲物を求め、ねずみ男を脅して、自分たちが憑りついている雛人形が人間の手に渡るよう仕掛けさせた。
ねずみ男の口車に乗って雛人形を購入した学校の先生を通じてまなが通っている小学校へと潜り込み、彼女のクラスメイトや裕太を次々に襲撃、精気を奪い雛人形へと変えていった。
まなから連絡を受け、学校に乗り込んだ鬼太郎も、不意を突かれて雛人形に変えられてしまった。また、その髪の毛はねこ娘の爪攻撃すら受け付けず、逆にボロボロにしてしまう程に硬い。
男雛に宿る“麻桶毛”がねこ娘と戦っている隙に、女雛に宿る“麻桶毛”がまなを襲撃したが、名無しがまなに施していた呪が発動したことで、女雛の麻桶毛が魂すら残さずに消滅。それを察知した男雛の麻桶毛も、復活した鬼太郎の指鉄砲で自身が宿っていた男雛の頭部を打ち抜かれ、消滅した。