国鉄の貨車に「タキ6500形」「ホキ6500形」、同じく国鉄の蒸気機関車に「6500形」などの例があるが、旅客用では東京都交通局の例しかない。
東京都交通局6500形(軌道線)
初代の6500形は「都電」の車両。「6000形の6291号車」として1954年に製造される予定であったが、床下機器をカバーで覆ったり、駆動方式をツリカケ駆動からWN駆動に変更したりなど複数箇所で設計変更があったため新形式となった。1両のみ製造。
1967年の第1系統廃止にともない保守・運用面で問題があったため、特殊な5500形共々お役御免となった。解体され現存せず。
東京都交通局6500形(地下鉄)
2代目の6500形は「都営地下鉄」の車両。
都営三田線の東急新横浜線などへの乗り入れに備えた8両編成化、及び従来の6300形1・2次車の代替も兼ねて新型車両が製造されることになり、それにより開発・製造されたのが本形式である。2020年に第1編成が製造され、各種試運転を経て2022年5月14日より営業運転を開始した。
東急新横浜線の開業から予定通り新横浜駅まで乗り入れているが、その先の相鉄線へは現時点で乗り入れられる車両がJRと東急のそれに絞られているため、乗り入れが出来ていない。ただ、将来に備えて最低限の準備工事はなされている。
デザインの基本コンセプトは「スマート+コンフォート」。
車体はアルミ合金製のダブルスキン構造で、炭化ケイ素(SiC)素子を使用したVVVFインバータ制御方式を採用。都営地下鉄では初めて走行中の車両各装置の動作情報を車両基地に伝送できる車両情報管理装置を搭載し、これを利用して三田線では車両の状態をリアルタイムに可視化する「車両情報収集システム」の運用が開始されている。
客室内は三田線のラインカラーである青を基調とし、透明感や解放感を出すためガラスも多用されている。全ての車両にはフリースペースが設けられたほか、乗降ドア上部には多言語対応の液晶モニターが3基(左側で広告を、中央と右側で路線情報などを表示)設けられ、更にシートを7人→6人に減らす代わりにシートピッチも拡張されている。
これらの取り組みもあって、2022年度グッドデザイン賞を受賞した。
編成表
導入完了後の陣容。VVVF=制御装置、SIV=補助電源装置、CP=コンプレッサー。
←西高島平 | 目黒 | 日吉 | 新横浜→ | ||||||
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形式 | 6500-1 | 6500-2 | 6500-3 | 6500-4 | 6500-5 | 6500-6 | 6500-7 | 6500-8 | 製造年 |
号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | |
MT構成 | Tc1 | M2 | M3 | T4 | T5 | M6 | M7 | Tc8 | |
機器構成 | VVVF | SIV/CP | VVVF | SIV/CP | |||||
第1編成 | 6501-1 | 6501-2 | 6501-3 | 6501-4 | 6501-5 | 6501-6 | 6501-7 | 6501-8 | 2020年 |
第2編成 | 6502-1 | 6502-2 | 6502-3 | 6502-4 | 6502-5 | 6502-6 | 6502-7 | 6502-8 | 2021年 |
第3編成 | 6503-1 | 6503-2 | 6503-3 | 6503-4 | 6503-5 | 6503-6 | 6503-7 | 6503-8 | 2021年 |
第4編成 | 6504-1 | 6504-2 | 6504-3 | 6504-4 | 6504-5 | 6504-6 | 6504-7 | 6504-8 | 2021年 |
第5編成 | 6505-1 | 6505-2 | 6505-3 | 6505-4 | 6505-5 | 6505-6 | 6505-7 | 6505-8 | 2021年 |
第6編成 | 6506-1 | 6506-2 | 6506-3 | 6506-4 | 6506-5 | 6506-6 | 6506-7 | 6506-8 | 2021年 |
第7編成 | 6507-1 | 6507-2 | 6507-3 | 6507-4 | 6507-5 | 6507-6 | 6507-7 | 6507-8 | 2022年 |
第8編成 | 6508-1 | 6508-2 | 6508-3 | 6508-4 | 6508-5 | 6508-6 | 6508-7 | 6508-8 | 2022年 |
第9編成 | 6509-1 | 6509-2 | 6509-3 | 6509-4 | 6509-5 | 6509-6 | 6509-7 | 6509-8 | 2022年 |
第10編成 | 6510-1 | 6510-2 | 6510-3 | 6510-4 | 6510-5 | 6510-6 | 6510-7 | 6510-8 | 2022年 |
第11編成 | 6511-1 | 6511-2 | 6511-3 | 6511-4 | 6511-5 | 6511-6 | 6511-7 | 6511-8 | 2022年 |
第12編成 | 6512-1 | 6512-2 | 6512-3 | 6512-4 | 6512-5 | 6512-6 | 6512-7 | 6512-8 | 2022年 |
第13編成 | 6513-1 | 6513-2 | 6513-3 | 6513-4 | 6513-5 | 6513-6 | 6513-7 | 6513-8 | 2022年 |
余談
車両デザインの初公開時、前面・側面とも現代の車両にあるまじき超シンプルで角々なデザインとなったことが、反響を呼んだ。
(非公式ながら)愛称は「キングジム」。前面のデザイン・配色が、オフィス・家庭用の文具を製造・販売している「キングジム」のロゴ(の色違い)に見えなくもないことから、キングジムの公式Twitterが「なんだか親近感わく」と言及していた。デビューの際にはキングジム公式から祝辞が贈られた他、東京都交通局も本形式のオリジナルプラレールを購入すると特典としてキングジムの限定コラボ商品が付属するというコラボ企画を実施している。