曖昧さ回避
名鉄6500系
1976年に登場した6000系電車は通勤ラッシュの混雑解消に一定の成果を上げ、更なる増備が望まれていた。しかし初登場から10年近く経ってモデルチェンジが要求されるようになり、ならばと前面非貫通構造、回生ブレーキ採用などの改良を加え、1984年に登場したのがこの6500系である。
構造
前面は6000系とは異なり非貫通型となり、ステンレス製の飾り帯が付けられている(通称鉄仮面)。6次車からは前面を大型の曲面ガラスを使用したものに改めた(通称金魚鉢)。当初は標識灯は白熱灯を用いた二灯式であったが、2次車からはLEDの一灯式に改められ、二灯式を装備した1次車も後に3300系(2代)から流用されたLED式のものに交換されている。この他にも車体構造が一部変更されている。また1.5人がけ座席と酷評されたクロスシートも寸法見直しにより居住性を改善している。
制御装置には回生ブレーキ付GTO界磁チョッパ制御を採用。主電動機はTDK-8225A直流複巻整流子電動機出力150kwを採用している。
主な仕様変更
- 第1次車
6000系8次車と違う点は、運転室の居住性向上の観点から、車体前面部を非貫通構造とした。この変更で全室運転室となり、運転室にも冷房機器が取り付けられた。また、正面下部左右にはシールドビーム2灯式の標識灯が設けられた。正面窓上はライトグレー、客用扉の上半分を白に塗装し(3500系登場以降はライトグレーに塗り替えられたが、一般車の2扉車が全廃されたあとは名鉄スカーレットで統一された)、正面窓下部にはステンレス製の飾り帯を設けた。編成の組み合わせによって扉位置が変わることを回避するため、先頭車・中間車とも扉中心間距離を統一し、座席もクロスシートが減少してロングシート部分が増加また、固定クロスシートの構造を見直し、それまでの6000系と比較してシートピッチを拡大、補助電源装置は、GTO素子を用いたSIVに変更され、
界磁チョッパ方式と回生ブレーキを採用した。なお、シールドビーム2灯式標識灯は、2003年5月からLED1灯式の3300系(2代)廃車発生品に交換した。4本が製造。
そのうち6504Fが2011年にリニューアル工事を受け、ドアチャイム設置や吊革の交換といった改修が行われたが、試験的なものだったのか他には波及せず、鉄仮面タイプと5次車の6517Fではより徹底的な改造となっている。
- 第2、3次車
前面の標識灯が3色LEDを使用した1灯式に変更され、運転室後部のロングシート長さを変更したほか、両端脇のクロスシート部の仕切り板と中央部のロングシート位置を扉側に寄せたられた。
- 第4次車
2本が増備された。側面には当時製造されていた5700系と同様に、種別・行先表示器を設けた。このグループからは方向幕が車掌室から操作するだけですべての幕が連動して動くようになっている。(1〜3次車の方向幕は非連動のため、運転台と車掌室双方で個別に操作しなければならない仕様だった。連結面に入っている運転台が白幕を出しているのはそのためである)
- 第5次車
2本が増備された。運転室と客用扉の間に小窓が付けられた。冷房装置は6000系5次車以来、2台と熱交換器1台という構成だったが、この5次車より再度3台構成に戻された。
- 第6次車
3本が増備された。この時の増備から車体構造は大幅に変更され、車体幅を拡大した。前面は大型曲面ガラスを2枚使用したものとなり、あわせて乗務員室の仕切り壁の窓を拡大、客室からの前面展望を向上させた。側面窓は連続窓風のスタイルに変更となり、一部の窓は一段下降窓としたほか、窓回りはゴールドの金具で押さえる方法に変更した。内装についても、座席形状を見直し、ヘッドレストを装備するとともに、シートピッチを8拡大したほか、ロングシートの形状も変更された。また、乗務員室内の色彩がグリーンからクリームに変更された
- 第7次車
2本が増備された。基本仕様6次車と同一であるが、運転室後ろの仕切り壁の窓の押さえ棒をプラスチックから、車掌台側同様の金属に変更された。
- 第8次車
2本が増備された。この最終増備車では、扉付近のスペースを広くしたオールロングシートに変更された。立客の視界を確保するため客用扉の窓が上方に大型化されたほか、扉窓の固定方法が金具によって押さえる方式に変更された。内装の配色も変更され、パープル系に、化粧板がクリーム色に変更された。車内のつり革も枕木方向に増設されたほか、車号板の文字色が黒から群青色に変更されている
運用
名鉄名古屋本線伊奈~岐阜間を始めとしてワンマン運転を実施している蒲郡線、広見線末端部、築港線など、独立線区である瀬戸線を除く名鉄全線で見かけることが出来る。名古屋本線豊橋駅に乗り入れる運用は緊急代走しか存在しない。
三河線ではワンマン化以降はイベント開催時の応援しか運用がなかったが、金魚鉢スタイルの後期リニューアル車がワンマン運転対応に改造され転入したため、運用が復活した(代わりに6000系4両が本線に戻り、6002f、6016F、6017Fおよび6001Fの中間車2両(モ6301&サ6101)が廃車されている)。以降、6521F、6519Fの順にワンマン化・リニューアルを受けて三河線に転属している。リニューアルに伴い、新たに17インチLCDディスプレイが装備され、さらに鉄仮面スタイルでもっとも新しい5次車の6517Fも改造の対象とされ、2024年2月から運用入りした。同年4月には、金魚鉢の中で最後まで未更新で残っていた6524fもリニューアルが完了し、予定されていた6517f〜6524fの8本のワンマン化が完了、これによって6000系初期型4両編成が三河線から正式に退いたと思われる。
廃車
初期車のデビューから40年近く経ち老朽化が進行しているため、2023年4月に6507Fが、同年6月に6505Fが廃車となり、徐々に数を減らしつつある。