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GPZ900R

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じーぴーぜっときゅうひゃくあーる

GPZ900Rはかつて川崎重工業が生産・販売していた日本の大型自動二輪。「Ninja」の名を初めて冠したことで有名な伝説のバイク。

概要

川崎重工業カワサキのバイクにおいてスポーツバイクのペットネームとして知られる「NINJA」。現代においても250ccのシリーズが多く走り回っているなど、幅広い人々に知られるカワサキの主力シリーズとも言えるNINJA。その元祖、初めてNinjaの名を冠した伝説のバイクがGPZ900Rである。

バイクに詳しく無くとも、映画「トップガン」でトム・クルーズ演じるマーヴェリックがF-14と並走するなどして乗り回していたあのバイクだと言えばピンと来る人も多いと思われ、この映画によって当時の世代に留まらず、幅広い世代に親しまれるようになったバイクとも言えるだろう。

特徴

1980年台はじめ頃、カワサキ内部ではZ-1以来とも言える大型エンジンのバイク開発が主力だったものの

エンジンの大型化→バイクが重く、大きくなる→バイクの機動性の悪化

という負のサイクルが出てきてしまっていることに悩んでいた。そこでカワサキは一回り小さくとも、高性能、ハイパワー、そして最速を目指すスポーツバイクを生み出そうと考えた。

こうして1984年、カワサキは排気量は当時カワサキ最強であったGPz1100より小型の908cc、それでいて馬力は115馬力フルカウルによって空気抵抗を抑える設計と低重心による安定性の高い設計、そして何よりも当時世界最速である時速250kmを可能にするというGPZ900Rを誕生させた。

パワーこそエンジンの小型化によりGPz1100には劣っていたが、最高速度、コーナリング性能、加速力などあらゆる面でGPZ900Rは優秀な性能を叩き出していた。

また、このエンジンはただ小型・高性能エンジンを搭載したのではなく、カワサキ初の第一世代水冷エンジンを採用し、それまでこだわっていた空冷エンジンをやめ、水冷エンジンを取り入れたというのもそれ以前からの大きな変更点である。(この水冷エンジンの導入による差別化があるためGPzからGPZとそれまでと名前が変わった。)当時の日本にはまだ排気量制限が存在していたため、国内向けの販売は750ccのバイクが上限であった。そのため、GPZ900Rは海外向けへ販売、国内向けにはボアダウンモデルであるGPZ750Rが販売されることとなった。

なお、カワサキの代名詞であるカラーリングのライムグリーンカラーは登場時のA1型にはラインナップされておらず、マイナーチェンジが施されたA2型からの登場となる(このA2がトップガンに採用された型である映画のは黒だったが)。

Ninja伝説の始まり

カワサキはこの新型バイクを海外向けへ輸出モデルとして販売。北米の販売担当者であったアメリカ人がその優れた性能に驚嘆した際に付けたペットネームがその後伝説となる「Ninja」であった。

この数年前にスズキから発売されたGSX1100S刀/KATANAに対抗して付けられたとも言われるこのペットネームであるが、ぶっちゃけて言えば「アメリカ人はNINJA大好きだから」という理由で付けられたと言われる。丁度この頃、アメリカで「サムライ・カラテブーム」が起きており、忍者もののテレビが流行っていたとかで、GPZ900Rのパワフルながら軽快な走りが忍者っぽかったからというのが理由なんだとか。

しかし、ここまで好評価を得ていたにもかかわらず、日本国内などではあまり売れていなかったとも言われる。(国内のNinjaは国内向けの750ccモデルだったが)

そんな中へ空前のNinjaブームを巻き起こす一本の映画が日本へ上陸した。それが、トム・クルーズ主演の名作「トップガン」であった。

主人公マーヴェリックがノーヘルで(!!)基地から発進しようとするF-14トムキャットのそばの道路を並走する形で黒いバイクに跨って疾走する印象的なシーン、ヒロインを迎えに町中を走るシーン、そのバイクこそGPZ900R Ninjaだったのだ。

この映画に採用された理由としては高性能であったという点が大きかったようだが、トップガンが予算カツカツな中で作られていたため、KAWASAKIのロゴとNinjaのステッカーは上からマーヴェリックがペタペタ貼ったステッカーに隠されるという形で隠され、「謎のバイク」として扱われ、使用料を払わない形で撮影されたとされる。

しかし、ステッカーでロゴを隠そうとも視聴者たちにはあのかっこよくもあり、美しくもあるボディや、格好良さに痺れる高速航行の姿、町中での軽快な走行の姿などが目に焼き付いて離れず、多くの者を魅了し、それまであまり売れていなかったNinjaの売れ行きが爆発的に上がる事態を引き起こした。そして750ccでは満足できない人々に向けて900ccの元祖Ninjaを逆輸入するという事態まで引き起こした。

これはスズキの刀/KATANAも同じような現象を引き起こしたが、現代に見られる逆輸入の先駆けとも言える現象であり、逆輸入車ブームはここから始まったともされる。

その後

その後もマイナーチェンジを続け、A1型から始まるマイナーチェンジはA16型にまで及び、生産が20年近くに渡って行われる超ロングセラー車両となったが、2003年に海外でのファイナルエディションを最後に生産は終了した。(このファイナルエディションモデルは正規代理店仕様には「FinalEdition」のプレートが付いていた)

しかし、生産終了後もある人はリアルタイムで乗り回して以来惚れ込んでまたNinjaを乗り継いだり、またある人はトップガンをDVDで見て惚れ込んで乗り回したりなど、性能、設計が古いながらも未だに人気が高い車種でもある。

また、ペットネームであったNinjaは今現在カワサキのスポーツバイクのブランド名になるまでに神聖化されており、「カワサキ最強の称号」、「カワサキ最速の称号」とも言える地位を確立している。

今も街を多く駆け回るNinja達、下忍や中忍、上忍達の更に上の開祖や火影ともいえるGPZ900Rはまさにカワサキの歴史、バイクの歴史に名を刻んだ名車であったと言えるだろう。

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