MP17
えむぴーせぶんてぃーん
元々グロック向けにストックが装着できるコンバージョンキットを製造していたFlux社がP320をピストルカービン/PDWとして使用できるように作られたシャーシであり、あくまでもシャーシ単体での販売で最初からP320が組み込まれているわけではない。
商品名そのものはMP17ではなく「Flux Raider」という名称であり、P320を本製品に組み込んだ状態をMP17と呼称している。
名称そのものはM17にマシンピストルの意であるMPを付けたものと思われるが、あくまでも通常のピストルに装着する物でフルオートには対応していない。
また、SBRバージョンとピストルブレースバージョンがあり、前者は主に法執行機関向けで後者は難しい登録を行わずに購入したい民間人向けである。
ただし、ブレース版が肉抜きされている程度で外見的な差異はほとんどない。
ストックはスプリングを使ったギミックで一瞬で展開できる他、ドットサイトはRMRやAcro、AimpointT1/T2等を装着することが可能でM1913ピカティニーレールも取り付けられるため、サイトの拡張性は高く、万が一それらが破損した場合はそれらの取り付け位置下部の穴から元のP320のアイアンサイトがバックアップサイトとして使用可能となっている。
銃身下部にも通常のピストル同様もちろんピカティニーレールがついている為、フラッシュライトの装着も容易である。
装着そのものはP320がFCUと呼ばれるトリガーユニットを複雑な分解無しで取り外せる機構がある為、公式動画によれば最短60秒で組み換えが行えるとのこと。
元のP320/M17/M18も軍用として採用されているため、凍結や砂埃に十二分に強いが、本ブレースもそれらに併せて高所からの落下や車に引かれても問題なく動作する耐久度が確保されている。
マグウェル(旧型ではNOT A GRIP、最新型ではNOT A VFGの刻印があり、フォアグリップではない。公式の紹介動画ではこちらを握っているが、おそらく法規制を潜り抜ける為に意図的にフォアグリップとして扱っていない。)部分には予備弾倉を装着可能で弾切れ時の再装填が早められる他、サイズは通常のSBR/ARピストルPCCの半分程度でQDマウントや専用ホルスターも用意されている至れり尽くせりの内容となっている。
サイズを小さく抑えているため、法執行機関やシークレットサービス、航空機パイロットのサバイバルガンからホームディフェンスまで様々な用途で使用することを念頭に設計されている。
Gen2では元のマニュアルセーフティとマグキャッチを流用する機構と前方のマグウェルのマガジンが嵌め併せで止まっていたものが廃止、マグウェル側に前方のマガジンとグリップ内に収まっているマガジンを同時に落とす、より素早いリロードが行える機構のマガジンキャッチボタンが配置され、人差し指でスライドストップをリリースできるレバーとスライドストップの下に別のセーフティレバーが備え付く改良が施された。
本品は500ドル程の商品だが、大量生産に向かない射出金型と製造に時間のかかる3Dプリント部品で構成されている為、一回のロットの生産数が少なく再生産がかかってもすぐ売り切れになってしまう。
また、その人気の高さゆえに値段を二倍近くに吊り上げて出品する転売が横行しているというのもそれに拍車をかけている。
最近では『バトルフィールド2042』にMP28として登場した。
Tactical Work ShopによってSIGAIR P320/M17/M18用にレプリカフレームが製造販売されており、実銃と同様3Dプリンターで制作した物のようではあるが、実物のそれと比べると表面処理が荒くやや安っぽい樹脂であり、ストックのワイヤー部分は金属切りっぱなしで表面処理はされておらず、フォアグリップ部分に挿す予備マガジンは嵌め併せで止まっている状態で使い続けると削れてガバガバになってしまうという可能性がある点がネック。
ただし、実銃同様組み込みそのものは動画を見ながらであればド素人でも組めるかなり簡単であるというメリットがあるが、値段が2万円台後半~3万円台という高額商品であり、これが欲しくてしょうがないというマニア以外にはあまりお勧めできない代物となっている。