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SCP-2737

いっぴきのしんだやつめうなぎ

SCP-2737とは怪奇創作サイトscp_foundationに登場する異常存在の一つであり、屈指の泣けるSCPとして有名である。

ドミティウスは演説者クラッススに言った、

「お前は溜め池で飼っていたヤツメウナギが死んだからといって涙を流したような輩ではなかったか」。

「ならば貴方は」、

クラッススは彼に返した。

「細君を三人まで埋葬しておきながら涙の一つも流さなかったではありませんか」


概要編集

アイテム番号 SCP-2737

オブジェクトクラス safe

SCP-2737とは怪奇創作サイトscp_foundationに登場する異常存在の一つである。

メタタイトルは「一匹の死んだヤツメウナギ」。

コイツはローマ時代に死んだと思われる一匹のヤツメウナギで、ローマ風の壺に入っている。


元々はAnomalousアイテムとして保管されていたが、とある博士が曝露し、「財団にはSCP-◾︎◾︎◾︎を傷つける資格はない!!」と叫び対象を収容違反を起こそうとした事から終了

彼がその日扱ったオブジェクトがコレしかなかったことで関連性が確立された。


その異常性は所謂ミーム汚染、壺そのものには特に何の異常性もないが、中のヤツメウナギを視認、あるいはその異常性を理解した上で「ヤツメウナギ」「死」の二つのワードをミーム感染させる目的で相手に認識させると相手にミーム汚染を引き起こす。


このミームに曝露すると共感性が感情・認知の両面で拡大され、強制的にエンパス(他者の気持ちを考えられないサイコパス、ソシオパスの対義語で、他者に感情移入しすぎる性質、酷いものでは目の前で人が殴られたのを見て自分も痛みを感じ、そこに青あざができるほど)の様な状態になる。


更に急性のタナトフォビア(自他問わず「死」という現象を極度に嫌悪、恐怖する性質)、大鬱病性障害を発症することもある。

他にも弁神論(神が善ならばこの世に悪があるのはなぜか、という命題)、人間の非不死性、トランス・ヒューマニズム、エントロピーなどに関する強迫的思考、集団的経験および相互に繋がりを持つ生活に係る信念の励起が挙げられる。


まとめると、このウナギに曝露した対象は、死について強制的に深く考えさせられ、その意味を感情と理性によって受け止めるようになるのである。

ちなみにこのうち、鬱病の発症についてはミームではなく、感染による二次災害と見られる。

死を正確に共感し、リアルに体感して、あと何十年かしか生きられない、その後どうなるのか等を強制的に考えさせられ続ければ気分も沈もうというものである。

そのためこのヤツメウナギが持つ性質は「共感性の拡大」のみであり、他はその結果として起きるだけの非異常性精神活動である。、


Dクラスを用いた実験においては殺人の前科持ちの場合「ナイフの刃の部分がこんなにも冷たいなんて思わなかった」「死は醜い」「もうやり直せない、時間がない」という極度な悲観主義を発症、挙げ句の果てには「自分は気づいてなかっただけ、殺したかったわけじゃない、でもそうやって何匹も道端にいた虫を踏み潰していた」とその辺を歩いている虫にまで感情移入し、罪悪感を覚えていた。


また、博士を対象にした実験では、インタビュー担当の博士に「自分はただ指示に従っただけ、そうだな? ただの実験に使う新鮮な素材に過ぎないんだな? 求める物を見つけ出すまでにどれほど多くの腹を裂いてきた?いったいお前はどれだけ殺してきたんだ、見下げ果てたクソ野郎め!」「あのモルモットたちと同じように、お前が解剖されるのを見てみたいもんだ!」と激昂し、Dクラスという一個の生き物に敬意を払わない制度に対して怒りを露わにしていた。(感情が、泣く落ち込むといった静的ではなく、激情によって動的に爆発した唯一の事例)


記憶処理後担当と被験者を入れ替えて実験を行うと、その博士は過去難病の父が、病状の改善のため、と全身を次々切除されていく様子を想起、死は友人などではないと断じ、またこの体験を忘れなければならない事を惜しんでいた。


コレらを事例をみれば分かる通り、このオブジェクトの異常性は「共感性を拡大し、トラウマを想起させ対象に突きつける」と言うものである。

コレだけ聞くと「人の心をほじくり返して錯乱させるタチの悪い奴」の様に思えるかもしれないが、それは誤解というものである。


そもトラウマについて本当の意味を知っているだろうか?

昨今は「ショッキングな出来事や演出」をトラウマと称する、また広義の意味としてPTSDをトラウマと言い換えることもある。

しかしながらそれらは厳密にはトラウマとは言わないのである


具体例として「男性に乱暴された結果、男性が恐怖の対象となり、触れられるだけでストレスになる」という女性がいるとしよう

これはPTSDではあるが、トラウマではない。

「何故男性が怖いのか」を明確に説明出来るからである。


対して「太いしっかりした枝、マフラーやネックウォーマーのような首に巻き付く感覚に異常な嫌悪感を抱き、場合によっては過呼吸にすら発展する」これはトラウマである。

「何故それらにストレスを感じるのか」説明出来ないからである(条件を見れば何故そんな反応をするのか想像が可能であるが)


もっとわかりやすく言うなら、トラウマは心の傷そのもの、PTSDは心の傷によって生じる支障を指し、それを取り除くために心の傷のケアを行う。

そして原義におけるトラウマとは本人は認知できず想起できない、これは心の防衛反応である以上当然の結果である。


これはあくまで逃避行動であり、根本的解決にはなっていない。

何故それが怖いのかを認知できているなら、それは時間が癒してくれるだろう

ただ認識できないだけならそれはそれで放っておけば良い


認識できない上で、それに苦しんでいるのであればそれは早急に治療しなければならない。

だが傷があることすら認識できていなければ、治しようがないのだ

このヤツメウナギはそう言った思い出せない心の傷を眼前に突きつけ、治す手助けをしてくれるのである。


現にこのヤツメウナギに曝露した被験者は感情を爆発させた後、総じてどこかすっきりとした様な前向きな気持ちになるのである。


付け加えておくと記事冒頭の会話はSCP-2737の表面に彫り込んであった、プルタルコスの著書「動物の知性について」の抜粋である。


「SCP-2737曝露は心的外傷後ストレス障害、大鬱病性障害、二次的心的外傷後ストレス、並びに全般性不安障害の軽減に対して、心理・薬物療法を凌ぐ効果を上げている。数十年の研究を通して、我々は治療プロセスを微調整してきた。このセッションが終わる頃には、君は負担から解放されたように感じるだろうし、この文書とそれに関連する経験の回想記憶は残らない。」

「メンタルヘルスとその運用に関しては不当な偏見がある。SCP-2737療法を通じて、君は何かを判断されることも分析されることもないし、誰も君自身の人生をどう生きるべきかを説くことは無い。君自身と向き合って考えるか、或いはそれを口に出してみればいい。2000年前に死んだ一匹のヤツメウナギが、驚くほど親身に君の話を聞いてくれるはずだ。」

「今日、君は泣くだろう。嘆くだろう。これまでに喪った全てを思い出すだろう。」

「そして、それを通して、君は癒されていくのだよ。」


関連タグ編集

SCP_Foundation ミーム ミーム汚染 泣けるSCP

荒療治 トラウマ PTSD

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