概要
アイテム番号:SCP-514
オブジェクトクラス:Euclid
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「鳩の群れ」。
公園や式典などでよく見かけるカワラバトの群れが特異性を持った存在。長期的な収容場所が存在しないため、専門の特殊機動部隊「ラムダ-4」によって観察と追跡が行われている。この群れに脅威が迫った場合、ラムダ-4はあらゆる手段によってその脅威を排除する事を許可されている。
肝心の異常性だか、この群れに所属するハトは特殊なオーラを放出する能力を持つ。これは「兵器無効化オーラ」と呼ばれており、このオーラに取り込まれたあらゆる武器や兵器の類は全て機能不全に陥り、最悪の場合は完全に破壊される。具体的には銃器は悉くジャムるし、火薬や毒薬などの薬品類は全て不活性状態と化すし、剣などの近接武器に至っては塵に姿を変える。また、ステーキナイフやバットなど一般的には武器として扱われない代物でも、それを用いて何かを傷付けるなど暴力的な使い方をしようとすれば即座に無力化される。
また、ハトに直接攻撃を加えようとした場合でも、オーラの影響によって対象者は即座に戦意を喪失してしまう。攻撃だけでなく捕獲を試みた場合でも同様。とにかく群れに所属する個体に脅威が迫ればどのような形であれ即座に対応してくる。また、怒りなどの激しい感情を抑制する効果もあるらしく、オーラの影響を受けた人物は口を揃えて穏やかで満足感を感じていると答える。
確かにハトは「平和の象徴」として広く知られるが、ここまで直接的且つ極限的な力を持つのはまさしく異常と言わざるを得ない。文字通りのピースメーカーである。
「兵器無効化オーラ」は基本的には群れの周囲およそ500m範囲に展開されるが、群れの規模が大きくなるとそれに応じて範囲も拡大する模様。
しかし、皮肉な事にその能力は武器として最適であった。何しろ存在するだけで生物だろうと無機物だろうとあらゆる敵を無力化できるのだ。その能力の根源たるSCP-514をコントロールできれば、如何なる脅威も恐れるに足らず。財団の軍部の高官だけでなく、その存在を知った様々な政府関連機関も非常に強い関心を示した。
しかし、平和の象徴を軍事利用するという本末転倒な考え方は、当のSCP-514によって無力化された。前述したようにSCP-514は捕獲を試みる対象に対してもその能力を発揮する。よって捕獲のために動く人員は悉くその捕獲行為や作戦を拒絶してしまう。監視命令を出されているラムダ-4でさえその影響からは逃れられず、あくまで監視のみに徹している。
結論としてそのコントロールに成功した組織は一つとして存在しない。しかしその能力を求める輩は次々に現れる。それに伴いラムダ-4の全人員はSCP-514を保護し続けるため、あらゆる非暴力的な競争活動への熟練が要求される事となった。
「非暴力的な競争活動」というのは、要するにお互いを直接傷付ける事が無いスポーツやゲーム類、それと雑学、なぞなぞ、じゃんけんなどの事である。
そしてそんな報告書を呼んだO5の一人のコメントがこちら。
「真面目に言ってるのか?我々のSCPの1つの運命がジャンケンの結果で決まるというのか?!」
……いやぁごもっともである。しかしそんなO5の悲痛な訴えにもラムダ-4の隊長は「保証致します、貴殿に何の不安も抱かせません。」と自信満々に返答した。
しかし、最終的にはじゃんけんではなくカードゲームに収まったようだ。
「隊長、君達の主な対立を解消する手段として…
より威厳のある物を…競技として選ぶことはできないかね?
黒ずくめの戦術装備を身に纏った二人の成人が子供のカード遊びを凄く真剣に行う様は、
その…滑稽だ。」
……え? 奇抜な外見の二人が真剣に決闘して、その勝敗で何かしらの命運が決するとかむしろカードゲームではよくあることじゃありませんか?