概要
「ラアルゴン」とは「宇宙一の無責任男シリーズ:無責任艦長タイラー」における、ジャスティ・ウエキ・タイラーが属する地球人類と敵対する対抗勢力、及びその人種のことである。
モデルはSFシリーズ「スタートレック」に登場する異星人である「クリンゴン人」。
主にその戦闘民族の性質などが参考となっている。
また、原作版やアニメ版では、その設定やデザインが、中東系やアラビア系の印象を与えるが、『真・タイラー』シリーズ過去編より「多神教の遊牧民」がイメージされるようになった。
原作版
炎のように燃え盛るような紅い髪と、ルビーのように紅い瞳が特徴。
更に男性は毛深く長身、そして頑強たる筋肉質の身体が特徴となるが、女性は一見して地球人類と変わらない。が、その紅毛と紅眼で判別は容易である。
惑星「ラムザン」の「ベヒモス」を首都として、「神聖ラアルゴン帝国」を形成。
地球人類が構成している「惑星連合」と対峙することになる。
種族の特徴として「戦争こそ我が人生」と豪語するほど闘争心が高く、勇猛果敢に戦場に赴き「しょっちゅう戦争をしているような連中」である。
これは男性、女性共に変わらず、軍事に従事する女性は男性と変わらぬ戦力扱いとなる。
しかし、女性によっては地球人と変わらない性質を持つ者もおり、また惑星連合(地球)よりも「男尊女卑」の考え方が根強く残っている。
引くこと、つまりは「撤退は恥」とされ、その基本的な戦法も、艦隊を楔型に編成して相手の陣に突入し「突っ切る」策である「ラアルゴン・ギムレット(ラアルゴンの錐)」が常套手段である。
その「馬鹿の一つ覚えの策」を惑星連合側に利用される事も多々ある。
ちなみに「撤退をしてしまったラアルゴンの恥さらし」が全くいないわけではない。
また「捕虜というもの」は存在せず、自らが捕虜になろうものなら、自決するか、その余力がある内に、一人でも多くの敵を倒す。
そしてもしも地球人類が敗北し捕らえられた場合は、「自らの死」を覚悟することとなる。
そのため長らくラアルゴン人の情報については不明な点が多かった。
しかし、ジャスティ・ウエキ・タイラーのように、極僅かであるが例外が存在し、その「優遇された地球人類」がきっかけでラアルゴンとの融和が成される事もある。
地球人類との「交配」は可能であり、原作序盤では最前線の折衝都市で生まれたハーフの存在が確認されている。
(ラアルゴン工作員のゲッショウ)
「交配」は父親がラアルゴン人であるケースがほとんどで、母親がラアルゴン人であることは滅多に見られず、母親がラアルゴン人であった場合、妊娠中毒症になることなどの障害もまた多い、とされていた。
しかし、マコト・ヤマモトとシア・ハス、そしてゴザ16世(ルッチナ1世)ことアザリンとイサム・フジがその常識を覆すことになる。
更に言うと「多産系」の種族でもあるため、多くの子を成すこととなる。
アザリンとフジ・イサムは9人、マコト・ヤマモトとシア・ハスに至っては12人の子を成している。
ちなみにラアルゴン人の女性と婚姻関係となった場合、「日々の闘争」に明け暮れることとなるようである。
(原作続編シリーズ番外編「オキュパイト ハネムーナー」を参照のこと:単行本『カトリくんタンマ』に収録)
またヤマモトとハスの息子である「シゲチヨ」がジャスティ・ウエキ・タイラーの娘「キサラ」と子を成したため(『無責任カルテット』の主人公である「エド」)、
「タイラー一族」にもラアルゴンの血が入る事になる。
地球人類にラアルゴンの血が入った場合、髪の毛の紅色と瞳の紅色の濃さで、その「血の濃さ」が判別できる。
血が濃ければ濃いほど、つまりは髪がより赤く、瞳がより赤ければ赤いほど、ラアルゴン人の特性である「闘争心」がその性格に反映されることになる。
アニメ版
紅髪紅眼の特徴を持つ「戦闘民族」であるのは原作版と同じ。
更にアニメ版ではエルフ耳が追加されている。
また、年配のキャラクターの髪の色は、紅色が抜けた灰色として描かれている。
ラアルゴン人は、基本的には大なり小なり癖毛があるが、アニメ版デザインのアザリンはストレートヘアで描かれている。
旗艦「メルバ」がラアルゴン側の主な舞台となる。
アニメ版の「メルバ」は単なる「皇帝のお召し艦」ではなく、その上部に透明ドームに覆われた住居スペースとしての大都市が設けられている。
そして第16話「ストレンジ・ラブ」にて、母星とおぼしき光景が登場し、その光景を見たアザリンが「母星(ははぼし)」と呼んだことから、
なんらかの理由で母星を離れ、船団国家として新天地を探しながら戦い続けている設定であると推察される。
そして戦艦などのメカニックデザインは、生物系をモチーフとした有機的なデザインとなっている。
また、動力が「動力球」、主な武器はエネルギー水晶体から発せられるビーム光線、そして「メルバ」からの戦艦射出口はゼリー状の物質で覆われているなど、全体的に有機系科学で構成されている。
また、「ラアルゴンの医療では地球人の治療が出来ない(第18話「告白の行方」)」ことや、「ラアルゴン人と地球人との交配が可能かどうかは不明(第21話「パコパコ ジュニア!」)」など、その微細な設定は原作版と異なっている可能性がある。
リライト版
基本設定は原作版と同じであるが、
過去編となる『無責任黙示録』より、ラアルゴンに関する更に詳しい設定が追加された。
また、「カール・ビョルン・アンドレセン」は、『無責任黙示録』にて、
「過去に地球に亡命したラアルゴン人の末裔」という設定に変更された。
言語
もともと原作版より(第4作目『無責任元帥タイラー』222P以降)、ラアルゴン人は地球人類とは異なる言語を用いており、自動翻訳機を介して互いにコミュニケーションを取っている、という描写は出ていたのだが、それがより具体的になったのが、過去編となる『無責任黙示録』からである。
日本語と同じく「膠着語」であり、地球における「ウラル=アルタイ語」が起源である、と考えられている。
要はその時に応じて原作者が思い付きで単語を追加しているので、
げふんげふん。
その他の詳細については『無責任黙示録』第4巻の巻末を参照のこと。
主な言葉として、
「マハードゥム」→「こんにちは」
「マハービラ」 →「こんばんは」
「ビット」 →「はい」
「ナブ」 →「いいえ」
「ビラン」 →「犬」
「サロッカ!」 →「なんじゃと、ワレ!」
「テラトール」 →「地球人」
「カァーン」 →「皇帝」
などがあるが、本編で一番よく使用されたのは、
「ヤラチケ」 →「ありがとう」
である。
宗教
主に闘神「アードラ」を崇めている、という設定は原作版から存在していたのだが、
(他にシード教、という異端も存在する)
リライト版より、部族統一の過程で緩やかな多神教から、闘神「アードラ」を主神とした準一神教へと移行した、という追加設定が成された。
また、ラアルゴンの宗教体系は仏教に似ていること。
更には、極端な明王信仰であること。
そして主神である闘神「アードラ」は、「軍荼利明王(クンダリーニ)」に似ていること。
などの設定が追加され、
自らの調査によりその事実に気がついた『無責任黙示録』の主人公:平松巌は、銀河の恒久平和にこれらの事実を生かす為に、僧職を捨て、惑星連合宇宙軍に身を投じることになる。
以上の設定から作中では、ラアルゴン側の衣装に梵字(サンスクリット語)の意匠が用いられたり、対ラアルゴン艦隊に対する対抗策として、曼陀羅絵をシミュレートした艦隊陣形が登場する。
ちなみに、本作品最大の悪役である「ナク・ラ・ワング」は、この教団の大僧正となっている。
軍事組織体系
ラアルゴンの軍事組織の体系は『無責任黙示録』第2巻 P52からの本文で解説されている。
兵卒から提督まで、25ないし30の階級があり、事細かなため、少佐や]]大佐に該当する呼称はない。
例えば、
駆逐艦艦長は「ウルス・エリス・デト・アーン」、
巡洋艦艦長は「ウルス・エリス・デト・オーン」、
戦艦艦長は「ウルス・エリス・デト・オーメ」となる。
それぞれ、ウルス=「頭」、エリス=「指揮する」、「デト」=「~の」の意味となり、
アーン=「駆逐艦」、オーン=「巡洋艦」、オーメ=「戦艦」の意味となり、
「駆逐艦を指揮する頭(リーダー)」
という意味となる。
また、提督の階級呼称は「指揮する艦隊の戦艦の数」によって分けられる。
最下級の提督は「ギドバ・デト・セトラ」。
ギドバ=「提督」、セトラ=数字の「8」、
つまりは「8隻の戦艦を指揮する提督」と意味となる。
ラアルゴンでは、立方体の一辺を8隻として陣を組むため、「8」が艦隊の基本単位となる。
なので、これ以降は「常に8倍」ごとの艦隊計算となり、
8の8倍=64は「クエンカラ・シム」なので
「ギドバ・デト・クエンカラ・シム」=六十四隻提督となり、
64の8倍=512は「ガラバ・ドゥ・レム」なので
「ギドバ・デト・ガラバ・ドゥ・レム」=五百十二提督となる。
そして「元帥」に相当する階級は、
「マハ・ギドバ・デト・ドリマーン・ツタバ・アカラ・クエンカラ・セトラ」となり、
全艦隊「三万二千七百六十八隻(32,768隻)の指揮官」の意味となるのだが、さすがに覚えきれないので(笑)
「マハ・ギドバ」、つまりは「大提督」と呼称されている。
ジップ・カァーン
ラアルゴン式の将棋のこと。
戦争における艦隊指揮の訓練の一環として、ラアルゴン人の男子は一通り習う事となっている。
モデルは「エドガー・ライス・バローズ」によるSF作品「火星シリーズ」の作品の一つである『火星のチェス人間』に登場する、バルスーム(火星)式チェス「ジェッタン」。
更に「中将棋」と呼ばれる古式将棋のルールも参考とされている。
駒の種類や動かし方や「成る駒」などの詳細なルールは、『無責任黙示録』第3巻の巻末に記載されている。
王将にあたる「王(ジップ)」も「皇帝(カァーン)」として「成る」事が出来るため、「ジップ・カァーン」と名付けられた。
『無責任黙示録』にて平松巌が習得。
第4巻『勝ってはいけない』での「人間ジップ・カァーン」による「ラアルゴン皇帝位決定戦」が、本作品の山場の一つとなる。
そして巌が「持ち帰った」ため、その子孫となるリライト版のジャスティ・ウエキ・タイラーは、ジップ・カァーンの指し手となっている。
ちなみに「王手」のラアルゴン語は「エル・ラ・ドメス」と言うのだが、
その意味は「その命、貰い受ける」となる。
起源
そもそも「銀河の両端に存在していた、全く異なる人類の種族同士が、何故に交配可能なのか?」、
また「何故に互いに惹かれ合うのか?」、
という疑問は、原作版の頃からあったのだが、
『無責任黙示録』第2巻 P196にて、
ラアルゴン人のルーツは地球人と同じであり、過酷な環境で暮らすうちに、独特な外見と強靭な体力、そして不屈の闘志を持つラアルゴン人へと進化した。
という設定が追加され、
ヒューマノイドや亜人種ではなく、れっきとした「地球人類から分かたれた人種の一つ」という設定が追加された。
(但し『黙示録』本編内では「邪説」扱い)
また、『真・無責任艦長タイラー』第5巻 P221では、ル・バラバ・ドムが
「元は一つであった種族が、激しくぶつかり合いながらも、また、一つになろうとしているのかも知れん」
との、述懐をしていた。
主なラアルゴン人
アザリン・ド・エル・クラン・ライクン(アザリン):ゴザ16世
※左から、
原作版『宇宙一の無責任男シリーズ』初期デザイン
アニメ版「無責任艦長タイラー」デザイン
親兄弟の急死により皇帝となってしまい、初めは「ナク・ラ・ワング」により傀儡とさせられていたが、「ジャスティ・ウエキ・タイラー」との出会いがその運命を変える。
※アニメ版デザイン
「ジャスティ・ウエキ・タイラー」に興味を持ち、そのライバルとなる。
※アニメ版デザイン
「マコト・ヤマモト」と縁を持つ。
関連タグ
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