アーバンネットワーク
あーばんねっとわーく
概要
“URBAN NETWORK”とラテン文字表記される事も多かった。
京阪神地域を中心に、概ね以下の路線・区間を指した。
特徴
過半数の路線を国鉄時代と異なる名称で呼び始めた(右側に注釈のあるもの)点で、これは運行の実情を反映し、かつイメージアップを図った結果である。
琵琶湖線が象徴的だが、国鉄解体に伴う分社化で米原以東の東海道本線はJR東海の所属となり、京都方面からの直通列車がほとんど無くなった。
一方、北陸本線の長浜~米原間はそれ以北と電化方式が異なり、乗客の流動としても同じ直流電化の東海道本線との縁の方が圧倒的に深い(と言うかそれを受けて本来米原で切り替わっていた電化方式を、長浜まで揃える工事を行った)。そのため多数の列車が京都方面へと直通するようになった。
そして長浜~京都という列車を運行する時、それはもはや東海地方とも北陸地方とも関係が無い。沿線にある「琵琶湖」の名を冠して一纏めにしてしまった方が、圧倒的にわかりやすく親しみやすかったのだ。
こうした周知と合わせて「アーバンネットワーク」の語を積極的に使用していった事から利用者の間によく浸透し、その様子は会社自身がほとんど使う機会の無いまま自然消滅したJR東日本の「E電」とよく対比された。
もっとも、路線間での直通運転も多いという事情から、首都圏とは異なり路線ごとに設定した色がさほど機能していないという欠点も抱えている。
例えば阪和線の案内上の色はオレンジだが、オレンジ色の電車はもっぱら大阪環状線内を走っており、両線を直通する列車は青色の車両が用いられる。初見殺しもいいところである。一応、種別表示(「快速」とか書いてある部分)の下に進行方向と同じ色の線を入れてはいるのだが・・・
なお、一時期は域内を走る列車全てを会社のシンボルカラーである青色に塗り替え、“JR”マークさえ“UN”に書き換えてしまうという案までもが大真面目に検討されていたという。国連か何かか。
ともあれ、楽しそうで何よりですといった調子で盛んに用いていた「アーバンネットワーク」であったが、2005年の福知山線脱線事故を境に自粛の傾向が見え始める。
翌年の北陸本線の直流区間拡大・直通区間延長からはシンプルに「路線図」とのみ表記した案内を掲示するようになり、愛称の付け直しも見送った。
2015年には「アーバン」とは言い難い周辺の地方路線を加える表記再編を行ってもおり、現在定例社長会見を除きこの表現が用いられる事はほぼ無くなっている。
なお、 2010年になって桜井線を「万葉まほろば線」と呼び替えるといった事例も見られており、路線名を元に戻す事は今のところ考えていないようである。