以下（）内はシュメル語での名称
概要
性愛と豊穣と戦いを司る女神にしてウルク市の都市神、ライオンを随獣とし、エアンナと呼ばれる神殿に祀られていた。
シュメールのイナンナ女神と同一視されており、バビロンの守護女神ベーレト・バビリとも関連づけられた。
エンリルと共に、王に王権を授ける神とする説もある（安定期にはエンリル、戦乱期にはイシュタル）。
その人気は非常に高く、キシュ、ザバラ、アガデ、ニネヴェ、アラバイル等、ウルク以外にも多くの都市に神殿を持ち、ギルガメッシュ叙事詩、イナンナ女神の歌、イナンナの冥界下り、グダムの歌、エンキとイナンナ、大王エンメルカルとアラッタの領主等々、多数の神話伝承に登場、後代にはイシュタルの名前は女神を表す一般名詞として使われるようにすらなっていった。
ウル第三王朝(BC2112~2004)からイシン第一王朝(BC2017~1794)の期間には、イシュタル（イナンナ）が王と結婚する「聖婚」と呼ばれる儀礼があった、これは王の即位、または多産・豊饒祈願に関わるものと言われている。
また、娼婦達の守護者でもある。
イシュタルの親族、配下
天空神アンの娘とされるが、月神ナンナ・スエン（シン）や知恵の神エンキ（エア）の娘とする神話もある。
兄は太陽神ウトゥ（シャマシュ）、姉は冥界の女王アラトゥ（エレシュキガル）。
姉とはライバル関係にあり、「イシュタルの冥界下り」の中では、冥界をも手に入れようとした結果、逆に殺されてしまっている（ニンシュブルの尽力とエアの手引きにより復活）。
牧畜の神ドゥムジが恋人とされ、子供に関してはウンマ市の神であるシャラ神を息子とする神話もあるが、それ以外に言及するものは見つかっていない。
従者はニンシュブル女神。
また、幼少時よりイシュタルに仕えるために育てられた、イシュタリートゥと呼ばれる女神官のグループがあったことが知られている。
シャラ、ニンシュブル共に同名異性の神がいるので注意
その象徴
ロゼッタ紋（円形で、中央から放射状に細い花びらがのびた文様）や吹き流しがついた竿が象徴とされた。
また、金星も彼女を表すとされ、DIL BATと呼ばれた。
イシュタルの武器
シタとミトゥムとよばれる2つの武器を持ち、「イナンナ女神の歌」の中では、母であるニンガルより生まれた時からそれを持っていたとされている。（この2つは神々が使う武器の一種で、シタは同歌の中でアマウシュムガルアンナ（'偉大な天の竜'という意味でドゥムジ神のこと）も振るっている）。
キシュのイシュタル女神
キシュのイシュタル女神の神殿は「フルサグカランマ神殿」と呼ばれ、都市神であるザババ神の妻とされている。
バビロン第1王朝の第7代王サムス・イルナがキシュ城壁の修復事業をした際に残した「ザババの最愛の妹」という記述がある。
イシュタルをモチーフにしたもの
- 金星の地表に存在する大陸の名称。
- RPG『女神転生』シリーズに登場する悪魔。→イシュタル(女神転生)
- アクションゲーム『ドルアーガの塔』及び『イシターの復活』に登場する女神、イシターと表記する。→イシター
- SRPG『ファイアーエムブレム』シリーズの『聖戦の系譜』及び『トラキア776』に登場する人物。→イシュタル(FE聖戦)
- オンラインTCG『ロードオブヴァーミリオン』シリーズに登場する使い魔の一人。→イシュタル(LoV)
- パズルRPG『パズル&ドラゴンズ』に登場するモンスターの一体。→イシュタル(パズドラ)
- TVアニメ『ガサラキ』に登場するメタルフェイク →イシュタルMk-Ⅱ
- MUGENにおける東方アレンジキャラクターの一人。 →イシュタル(MUGEN)
- OVA『超時空要塞マクロスⅡ -LOVERS AGAIN-』の登場人物。
- アクションゲーム『メトロイドフュージョン』に登場する生物。→イシュタル(メトロイド)
- オンラインゲーム『Fate/GrandOrder』に登場するアーチャーのサーヴァント。→イシュタル(Fate)
