概要
ルーマニア語で『吸血鬼』の総称。及びこれを意識して命名された架空の人物等。
語源は更に古くスラヴ語からギリシャ語まで遡り、『病気を含んだ』を意味する"νοσοφορος"に由来する。
誘導
カタカナでノスフェラトゥとした場合、主に以下のような意味がある。
- 吸血鬼、もしくはその亜種、あるいはより漠然と不死系のモンスター。
- 1922年のドイツ映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』(Nosferatu – Eine Symphonie des Grauens)
- 上記の映画に登場する吸血鬼オルロック(Orlok)伯爵
- 1979年の西ドイツ映画『ノスフェラトゥ』(Nosferatu: Phantom der Nacht)。上記のリメイク。
- 1994年のSFCソフト『ノスフェラトゥ』。
- 『バイオハザード_CODE:Veronica』のキャラクター。→ノスフェラトゥ(バイオハザード)
- 『ファイアーエムブレムif』のキャラクター。→ノスフェラトゥ(FE) / ノスフェラトゥ(FEIF)
- 『ベルセルク』のキャラクター、ゾッドの称号。
- 『ロザリオとバンパイア』のキャラクター、アカーシャ=ブラッドリバーの称号。
『ノスフェラトゥ 恐怖の交響曲』オルロック伯爵
不死身探偵ではありません。
本来この映画は『吸血鬼ドラキュラ』を原作とするはずが著作権の問題をクリアできず、タイトルと人物名を変更し設定にも独自解釈を加え強引に作成・発表した。
オルロック伯爵は禿頭、ギョロ目、犬歯ではなく門歯が長く尖っているという獣じみた風貌(メイン画像参照)で、舞台演劇で確立された『精悍で高貴なドラキュラ伯爵』とは対照的に、不気味で病的な印象の持ち主である。
オルロックの怪物性と、これを最大限に引き出す演出の妙により、ホラー映画としては現在も高く評価する意見は多い。
1925年、ドイツの法廷はこの映画が盗作に当たることを認め配給停止の判決を下し、『吸血鬼ドラキュラ』の版権元であるフローレンス未亡人(ブラム・ストーカーの奥方)によって全て差し押さえられ、一部を除き破棄された。
原作者の没後50年となる1962年に著作権が切れ、配給停止処分も無効となり、破棄を免れ保管されていたフィルムから復元され、再び映画愛好家の前にその姿をあらわすこととなる。
1979年のリメイク版は吸血鬼の名前をドラキュラ伯爵としている(キャラクター名がパブリックドメインになっているため)。
なお、1922年当時の製作舞台裏をモチーフとしたアメリカ映画『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(2000年)では、オルロック伯爵を演じた俳優マックス・シュレックが本物の吸血鬼だったということになっている。
現代では一部の作品(特にゲーム)において、ドラキュラではなく敢えてオルロックを意識したヴァンパイアが登場するケースがある。
FC版のwizardryにおいて末弥純がデザインしたバンパイアロードが貴族的イメージの美形モンスターであるのに対し、その下僕として付き従うバンパイアは裸に皮衣・オルロック的なご面相と、ロードとの間に大きな落差がある。
更にベニー松山による小説版シリーズでは、KODに出現したバンパイアロードは偽者ということになっており、百年後に再出現した偽バンパイアロードがオルロック的な怪人として描写されている。
ベラ・ルゴシやクリストファー・リーに代表される正統派のドラキュラ像に対し、オルロック系のキャラクターは異端のドラキュラ像、あるいはドラキュラの名に捉われない吸血鬼像を確立する上で重要な役割を果たしたともいえる。