本項では藤崎竜の漫画作品封神演義における太乙真人(たいいつしんじん)についても説明する。
概要
原作
崑崙十二仙のひとりで、乾元山・金光洞を同府とする。
玉虚宮からの命を受け、太公望を支援するために霊儒を作り李氏(李靖将軍の妻)に埋め込み、(本来なら死産になるはずだった)三男・李哪吒を生ませた。
哪吒が東海龍王の子を殺したことを悔いて龍王の前で自害すると、彼の遺体を引き取り魂を蓮の人形に埋め込んでサイボーグ「哪吒太子」として蘇らせ、以降は太公望に仕える立派な道士として育てるべく武術や宝貝術、学問などを教えた。
しかし哪吒太子が、「李靖が(龍王への忠義立てのために)自分の墓を荒らしていた」と知って山を飛び出し李靖をボコボコにしてやろうと、恐らく中国史初のDVを思い立ったのを知ると慌ててこれを追いかけ、宝貝九竜神火罩で哪吒太子を封じ、さらに李靖に玲瓏塔を与えることで「今度うちのバカ弟子がお父様にご迷惑をおかけしたらこれで存分に返り討ちにしてやってください」と謝った。
太公望が周の文王に帰順してからは哪吒太子を周に派遣、自身も崑崙十二仙として周の易姓革命を支援する。
藤崎竜版
CV:阪口大助(アニメ版「仙界伝」)。
基本設定は原作と変わらないが、少年漫画化に際しかなりイケメン化されている。
哪吒の生みの親にして師匠であり、気さくな物腰でやわらかい話し方をする。
科学を得意とし、「さすが科学マニア!」と言われた際には「オタクの方がいいねぇ、科学オタク!」と自ら称していた。
哪吒にはよく新作宝貝を作っていたが、当の哪吒からはことあるごとに「コロス」と言われ追われていた。
太公望曰く「親バカ」。
哪吒の宝貝だけでなく、太公望のカラクリ義手や崑崙山2を作ったのも太乙である(勿論、そんな設定は原作にはない)。
原作同様に宝貝・九竜神火罩を持つが、ほとんど哪吒から逃げるために使っていた。
十二仙としては最も登場が早い。
仙人であるが、高所恐怖症で高い所でよく震えていたり、ハンモックで無防備に寝ていたり、ぐふふと笑ったり、カメラ目線が得意技だったり楊戩 と張り合って(?)いたり、道徳、雲中子とあわせてイロモノ三仙と称されたり、あまつさえはミイラ化という無碍なまでにギャグ要素の強い描かれ方をしていた。
所持・開発している宝貝
・九竜神火罩(きゅうりゅうしんかとう)
捕獲・避難用のカプセル型宝貝。
発動すると太乙真人の身に着けている両肩の肩当ての「ピラミッド状の部分」が飛び出して巨大化し、相手に上下から覆いかぶさり、肩当てパーツが合わさったカプセルの中に閉じ込める。
仙人界でも最硬(黄巾力士らの宝貝合金よりも頑強か)とされており、閉じ込めた相手の脱出は容易ではない。その強度ゆえに、何か外界が危険な状況になった際には自分たちが逃げ込むシェルターとしても使用可能。
哪吒には改良型の「九竜神火罩Ⅱ」を渡しており、こちらは太乙のⅠと同じ使い方ができるだけでなく、相手を上下カプセルから電磁波を浴びせて閉じ込めながら焼くという、安納務の原作小説版さながらの機能も持たせてある。
・霊珠(れいじゅ)
哪吒や馬元ら、宝貝人間のコアユニット。
宝貝人間はそれゆえにどれだけ体が破壊されようともここさえ無事なら修繕した肉体で再活動が可能であり、またここが破壊されると死亡する。
胎児になり損なった肉の塊に埋め込むことで、その埋め込んだ肉の塊を血肉とした宝貝人間を生み出すことができる。哪吒は、李靖の妻・殷氏(当時妊娠三年六ヶ月)の胎内の胎児(になれなかった肉の塊)に太乙がこれを移殖した事で誕生した。
呂岳が作り出した宝貝人間・馬元もこれをコアとしているが、太乙と呂岳のどちらが先に霊珠を作り出したのかは定かではない。
また、「ただの肉の塊」を「心と活動能力を持つ宝貝人間」に変えるという、いわば外付けの人工魂魄としての役割を果たす宝貝だが、宝貝人間として生まれてから長い期間を過ごしていくうちに、霊珠内部において「作り物ではない本物の魂魄」が育っていくという作用を持っている。
・李哪吒(り・なたく)
血縁上での両親は李靖・殷氏夫妻だが、宝貝人間としてのコアユニットの製作者(=存在そのものの親)は太乙であるため、彼もここに記載する。
・乾坤圏(けんこんけん)
・風火輪(ふうかりん)
・火尖鎗(かせんそう)
・金磚(きんせん)
哪吒の宝貝として太乙真人が開発した。
詳細は哪吒の項目を参照されたい。
・黄巾力士(こうきんりきし)
崑崙山の幹部である崑崙十二仙用の戦力として太乙が開発した巨大ロボット。
まん丸な頭・手足・胴体を蛇腹状の腕と脚でつなぎ合わせた外観で、黒い胴体にでかでかと持ち主の名前が書いてあるのが特徴。また、その名前の由来でもある首に巻かれた黄色いスカーフは、崑崙山のコアから湧き出す霊力を受けて黄巾力士のエネルギーとする受け取り機関でもある(太公望の宝貝・杏黄旗にも同じ作用が用いられている)。
装甲は仙人界特有の宝貝合金製。
空を飛ぶことが可能で、その巨体と頑強性とパワーを生かした格闘戦が主な戦闘スタイルだが、ビーム発射機能も備えている(黄巾ビーム)。
なお、崑崙山のトップである元始天尊や十二仙と同格である太公望にも、特別に黄巾力士が作られ渡されている。太公望機は頭に彼のトレードマークである「二本角めいた頭巾の結び端」を象った二つのお団子と、同じく燕尾服のような裾の外套を象った枝分かれした黒い羽がついている。
なお、太乙真人が十二仙入りしたのは燃燈道人が崑崙から姿を消した後だったため、燃燈機は製作されていないものと思われる。
関連イラスト
表記ゆれ