概要
東方Projectに関連したファンイベントの一つで、同作の作品の一つである『東方鈴奈庵』(書籍作品)に関連したオンリー同人誌即売会である。
主催主体は「鈴奈幻想絵巻準備会」。
イベント公式ホームページによれば本イベントの参加要件の一つにはは「『鈴奈庵』を題材とした二次創作物を一点以上取り扱っていること」があり、キャラクターは限定されていない。
さらに詳細は次のイベント公式ホームページを参照。
他の東方Projectファンイベントとの連動企画が開催されることもあり、例えば第一回開催回では小鈴とも縁の深い稗田阿求に関連したファンイベントである「求代目の紅茶会」及び「御阿礼祭」と連動した企画が行われた。
『鈴奈庵』の登場キャラクター等
『鈴奈庵』には主なエピソードを伴って本編中に複数のキャラクターが登場しており、さらに他の東方Projectの書籍作品にも見られるように個別のエピソードなどは伴わなくともその姿が作中に描かれることもある。
次のリストはこの内で『鈴奈庵』に個別のエピソードを伴って登場したキャラクターや登場した場所の一例である。ここでの「個別のエピソード」は一部を除いて作中に二つ名を伴って登場しているかどうかという点を参考にしている。
登場キャラクター例
キャラクター名 | 『鈴奈庵』初登場話 | 『鈴奈庵』での二つ名 |
---|---|---|
本居小鈴 | 第一話 | 判読眼のビブロフィリア |
稗田阿求(鈴奈庵阿求) | 第一話 | 九代目のサヴァン |
霧雨魔理沙 | 第一話 | 極めて普通のマジシャン |
博麗霊夢 | 第一話 | 楽園の素敵なシャーマン |
十六夜咲夜 | 第三話 | 吸血鬼のメイド |
二ッ岩マミゾウ(鈴奈庵マミゾウ) | 第四話 | 捕らぬ狸のディスガイザー |
レミリア・スカーレット | 第六話 | 紅色のノクターナルデビル |
秦こころ | 第十話 | 表情豊かなポーカーフェイス |
少名針妙丸 | 第十二話 | 輝く針のリリパット |
河城にとり | 第十五話 | 水の中のエンジニア |
鈴仙・優曇華院・イナバ(鈴奈庵鈴仙) | 第二十一話 | 地上のムーンラビット |
東風谷早苗 | 第二十二話 | 風と湖のテウルギスト |
森近霖之助 | 第二十六話 | 古道具屋のキュリオスフェロー |
封獣ぬえ | 第三十一話 | 正体不明のアンノウンX |
射命丸文(社会派ルポライターあや / 鈴奈庵文) | 第三十二話 | 鴉天狗のジャーナリスト |
聖白蓮 | 第三十四話 | 妖怪寺のマスタープリースト |
アガサクリスQ | 第四十話 | |
八雲紫(鈴奈庵紫) | 第四十三話 | 幻想郷のゲートキーパー |
この他読み切りや劇中劇など番外編部分では上記の白蓮の他命蓮寺の面々も登場している。
また上記キャラクター以外にもきわめて個性的なキャラクターが多数登場しており、例えば次のような多様な存在の登場がそれぞれのストーリーを伴って描かれている。
キャラクター名 | 『鈴奈庵』初登場話 | 概要 |
---|---|---|
煙々羅 | 第三話 | 妖怪 |
ツパイ | 第六話 | ペットのチュパカブラの名前 |
邪龍 | 第九話 | 龍 |
沓頬 | 第十三話 | 妖怪。「くつつら」と読む。 |
手紙を欲しがる怨霊 | 第十七話 | 怨霊 |
子狐 | 第十九話 | 子供の妖怪 |
蟒蛇 | 第二十三話 | 妖怪 |
なめえもん | ぬいぐるみ? | |
易者 | 第二十五話 | 元人間の妖怪 |
抗鬱薬おじさん | 第三十四話 | 抗鬱薬の効能に感激する男性の通称。人間 |
塩の長者(馬憑き) | 第三十六話 | 人里の塩問屋の長 |
箒の付喪神 | 第三十八話 | 付喪神 |
百鬼夜行絵巻の付喪神 | 第五十一話 | 付喪神 |
さらに『鈴奈庵』には複数の書籍が登場しており、「妖魔本」を一つのジャンルにネクロノミコンや百鬼夜行絵巻など様々なものが登場している。妖魔本以外では阿求執筆による今代の「幻想郷縁起」やアガサクリスQ執筆の推理小説、マミゾウによる手作り絵本等が登場している。
三重の「本居」
本イベントが主題とする『鈴奈庵』の主人公である小鈴は、その姓名や能力、「本」や未知のものに対する愛着や熱意、あるいは「稗田」と縁深い間柄などの様々な要素からそのキャラクターのモデルに江戸時代の学者である本居宣長との関連性がファンの間でも想像されている。
本イベントの開催地である三重県松阪市は宣長の生誕の地(当時は「伊勢国」の「松坂」)であり、宣長は少年期や青年期に何度かこの地を離れることがあるがその都度松坂に帰ってきており、また後に紀州徳川家に仕官した際も松坂に居住し続けるなどこの地を生活と活動の拠点とし続けた。
本イベントの最寄り駅である松阪駅周辺には宣長に縁のある場所や宣長に関連した施設が多数ある。
例えば今日でも「本居宣長旧宅」として残る住まいは宣長が12歳の時からの終生の住まいである。
宣長は「鈴」を愛し、この邸宅にも書斎など鈴を飾り二階書斎については「鈴屋」(すずのや)とも呼んだ。現在「鈴屋」は保存のため一般入場禁止となっているが指定の見学場所はあり、さらにその他の部屋は観覧可能である(2017年現在)。ただし本イベントとも関連した例外のケースがあり、これについては後述。
また宣長は生前に自身の死後についての手続きや葬儀の執り行い方などを細かく指定した遺言を残しており、この遺言に従って建てられた墓(「本居宣長奥墓」。「奥華」は「おくつき」と読む)もまた松坂市にある。
現在は本居宣長関連の中心的な施設として本居宣長記念館(月曜休館)があり、記念館は先の本居宣長旧宅と入場料金が共通のものとなる共通券での観覧が可能となっている。
本居宣長記念館及び本居宣長旧宅は本イベント会場最寄駅となる松阪駅周辺圏内で、松阪城跡の敷地にある。道路を挟んでは本居宣長を学問の祭神とした「本居宣長ノ宮」もあるなど宣長に関連した様々な施設や寺院を近場を訪ねることが出来る。
また松阪城跡方面ではなく松阪駅(南口)から直進した方向には「本居宣長・春庭墓」を擁する「樹敬寺」もあるなど松阪駅周辺は本居宣長の足跡を様々に体験することも出来る。
なお、本居宣長以外の関連として松阪駅周辺には八雲神社がある。
八雲神社の「八雲」は主にスサノオなどに関連した「八雲」であるが、東方Projectにおいても、あるいは小鈴においても「八雲」は特別な意味を持つ存在であり、同地域は、「本居」の深い息吹を感じつつ、それと同時に『鈴奈庵』で小鈴達を通して語られた人間と妖怪の物語にも象徴的に思いを寄せる事の出来るエリアともなっている。『鈴奈庵』、ひいては東方Projectならではの楽しみ方も出来る場所とも言えるだろう。
時間等々許すようであれば、松阪(松坂)の地でマナーも守りつつビンビンの刺激にゾクゾクするような本居ライフを求めてみるのも良いかもしれない。
開催実績(予定含む)
開催回 | イベント名称 | 開催日時 | 開催場所 |
---|---|---|---|
第一回 | 鈴奈幻想絵巻 | 2018年07月01日 | 松阪市産業振興センター※ 2階・3階 |
※第一回開催時の会場について、松阪市産業振興センターには別ブロックの別館として「松阪市産業振興センター カリヨン別館(カリヨンプラザ)」(松阪市日野町778番地)があるが、本イベントはカリヨン別館ではなく本館(松阪市本町2176番地)の方で行われた。
本館とそのアクセスについては下記の外部リンクも参照。
松阪市各所との連動・コラボレーション
第一回開催回では本イベントはファン交流のイベントという点に限らず先のような本居宣長に深く縁する松阪市の各所との連動・コラボレーションも行われた。
例えば松阪市の一部書店では本イベントに合わせて本イベントポスターと共に本居宣長関連書籍と『東方鈴奈庵』全巻の特設コーナーが設置された。イベントポスターの掲載は市内の広報掲示板にも一般のお祭りのポスターと並んで行われており、さらには松阪市観光案内所をはじめ本居宣長旧宅入り口正面にも本イベントのポスターが掲載された。
この本居宣長旧宅(及びそれを管理する本居宣長記念館)とはさらに特別な連動も実現しており、特筆すべき点として、本居宣長記念館の厚意で本イベントにあわせて先の「鈴屋」の2階が特別一般公開されたことが挙げられる(夕刊三重、2018年6月30日記事)。公開日は6月30日と7月1日。
このうち本イベントのカタログを持参した場合、「特別入館券」の購入が可能であった。このカタログ自体も「鈴屋」前で頒布されており、頒布作業は本イベントのスタッフが担当した。
特別入館券チケットには当時本居宣長記念館において「夏の企画展」として開催されていた「教えて! 宣長先生の勉強法」の展示についての紹介と共に小鈴(大人用入館券)と阿求(子供用入館券)のデザインが描かれている。
イベント前日には先述の通り「夕刊三重」に「鈴屋」特別公開と本イベントに関連した記事が掲載されるなど、「本居」を中心的な縁の結びつきとして、松阪市の各方面からも支援と協力を受けた、地域ともつながったイベントとなった。
関連タグ
外部リンク・会場アクセス一例
イベント会場
アクセス例・徒歩等
- JR松阪駅南口(紀勢本線寄り出口)を出て大通りを直進
- 三つ目の信号(日野町)を右折
- 60号(旧伊勢街道)をしばし直進し、二つ目の信号(本町)を左折
- 右手側に松阪市産業振興センター
なお、(2)の段階の日野町の信号を右折して直進を始めた時点で左手側に先述のカリヨン別館(カリヨンプラザ)が目に入る。こちらは別館なので注意。そのまま日野町(信号)を越えて本町(信号)まで行こう。
また、先の本居宣長記念館も建つ松坂城跡は(3)の本町の信号を左折後はそのエリアを正面に捉えることにもなる立地となっており、松阪市産業振興センターも右手にしつつ通りにあたるまで直進するとそのまま足を運ぶことも出来る。
ただしいずれの施設についても開館・閉館時間または休館日には注意。
アクセス例・バス
・「鈴の音バス」(市街地循環バス)
- JR松阪駅で「久保中学校学校方面」(左回り)乗車、「プラザ鈴」で下車(乗車約3分ほど)
- 「本町」信号方面に歩き一つ目の信号(本町)を左折
- (あとは上記の徒歩の例の4.と同じ)
・「阿坂小野線」(三重交通。松阪市委託運行バス)
- 「松阪駅前」で「阿坂小野線」乗車
- 「本町」下車
- 反対側正面にすぐセンターが見えるため、最寄りの横断歩道から反対側へ
ただしいずれの路線でも交通状況などで時刻が変動し得るなど状況変化もあるため、現地での確認が必要である。また鈴の音バスは平日運行と土日運行で異なるため注意。