概要
2014年10月14日、フランス・カンヌで開催されたエンタテインメントコンテンツの見本市「MIPCOM」において、ルパン三世のTV最新シリーズの製作が発表された。
全TVシリーズトータルでは第5弾、ルパンが主人公のTVシリーズとしては30年振りの第4弾となり、全24話の2クールで放送された。
このシリーズのルパンは青色のジャケットを着ているのが特徴で、原作者のモンキー・パンチ氏は製作発表時、「新しいアニメーションシリーズのスタートにわくわくしています。ルパン三世の活躍に期待しています」とコメントを寄せている。
総監督に友永和秀、プロデューサーに浄園祐と、ルパンを長らく支えてきた面々を中心に、監督に矢野雄一郎、シリーズ構成に高橋悠也といったスタッフが参加。トムス・エンタテインメントとテレコム・アニメーションフィルムが、共同で製作を担当している。
世界人気が最も高いイタリアにおいて、2015年5月から先行放映の予定だったが、何度も変更されて大幅に遅れてしまい、最終的には8月30日から『Lupin III: L’avventura italiana』というタイトルで放送される事に決まった。順次他国でも配給の予定。
日本では、2015年10月から随時放送開始され、ネット局は読売新聞社系の衛星テレビ局の一つである日テレプラス(CS局)および日本テレビとそのお友達の一部、さらにはお台場のお友達約1局が選ばれている。なお、日テレプラスと同じ読売新聞系の衛星テレビ局であるBS日テレ(こちらはBS局)では2016年3月に集中放送を行っており、さらに集中放送終了後の同年4月から9月まで、日曜23:00~23:30の定期番組として放送された。
これまでのシリーズとは異なり、最終回まで連続したエピソードが存在するのが特徴(現在の新作テレビアニメでは、ほぼ定番となっている)。メインストーリーを数話ごとに分割し、その間に過去のTVシリーズの様な一話完結型の小話を2~3話挟むという変わったスタイルをとっている。また、スピンオフを含むTVシリーズとしては初めて、アバンタイトルが挿入された作品でもある。
次回予告は、これまでのTVシリーズではルパン1人の担当であったのに対し、今シリーズではメインメンバーが交代で行っている。
なお、2016年1月8日には、ストーリーを新しく加えた当作品の総集編という異例のTVスペシャル『イタリアン・ゲーム』が放送された。
イタリアへの放送に向けて
近年日本のアニメは、海外への輸出の低下により、それに対応するために世界中の視聴者に受け入れられるように製作(いわゆる「標準化」)されるという手法が続いている。
そんな中で発表された今回の新シリーズは、それとは対照的に日本以外の特定の国を対象にして製作(いわゆる”現地化”)される事となる。
そのためにまずイタリアを調査し、背景やストーリー等もイタリア人の好みに徹底的に合わせている。例えば以下のとおり。
なお、このシリーズで最も話題となっている、ルパンの青いジャケット。実はこれも、イタリアでの調査の結果である。浄園祐プロデューサーによれば、「イタリア人に、『ルパンはどんな色のジャケットが似合うのか』という質問をしたら、『青色が似合う』と即答された」らしい。更にいうと、「青はやはり、『かっこいい男の象徴』みたいなところがある」のだという(「クローズアップ現代(NHK)」より)。
各話リスト
冒頭には必ず、以下のような台詞が挿入される。
「イタリアが愛の国であるならば、全ての愛は俺の手中にある。ルパン三世」(第1話~第12話)
「優れた芸術と泥棒は似ている。どちらも人の心を盗む術を知っているからだ。ルパン三世」(第13話~第24話)
- 「ルパン三世の結婚」
- 「偽りのファンタジスタ」
- 「生存率0,2%」
- 「我が手に拳銃を」
- 「魔法使いの左手」
- 「満月が過ぎるまで」
- 「ザッピング・オペレーション」
- 「ホーンテッドホテルへようこそ」
- 「殺し屋たちの鎮魂歌」
- 「恋煩いのブタ」
- 「イタリアの夢 前篇」
- 「イタリアの夢 後篇」
- 「ルパン三世の最期」
- 「モナリザを動かすな」
- 「ハイスクール潜入大作戦!」
- 「ルパンの休日」
- 「皆殺しのマリオネット」
- 「始まりの晩餐」
- 「龍は静かに眠る」
- 「もう一度、君の歌声」
- 「日本より愛をこめて」
- 「ルパン、頂きに参ります」
- 「世界解剖 前篇」
- 「世界解剖 後篇」
番外①「ヴェニス・オブ・ザ・デッド」
番外②「ノンストップランデブー」
スタッフ・キャスト
声の出演
レギュラー
今シリーズ専用のオリジナルキャラ
スタッフ
- 原作:モンキー・パンチ
- シリーズ構成:高橋悠也
- キャラクターデザイン:横堀久雄
- 美術監督:山子泰弘
- 色彩設計:山本智子
- 撮影監督:田沢二郎(T2 Studio)
- CG監督:田村和弘(ダンデライオンアニメーションスタジオ)
- 編集:笠原義宏
- 音楽:大野雄二
- 音響監督:清水洋史(東北新社)
- 音響効果:倉橋静男(サウンドボックス)
- プロデューサー:浄園祐
- 監督:矢野雄一郎
- 総監督:友永和秀
- アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
- 製作:トムス・エンタテインメント
蛇足
「30年振りのTVシリーズ」というだけに話題となっている今回のシリーズだが、1つ深刻な問題がある。それは、ルパンの声を栗田貫一が担当するという事に対し、嫌悪感を抱く者が、少なからずいるという事である。それでもやはり、今の段階で変更する事は出来ない模様。前任者の「意向」もあるようだ。
一応、彼は某テレビ局の報道番組に生出演し、”モラハラ”疑惑について完全否定しているのだが。
また、第1話の放送後のみ、絵がとにかくよく動く作画、シリーズを通してのお約束演出、BGM、アイキャッチなどはかなりの高評価となり、放送時間がめちゃめちゃ遅すぎる事以外は何の不満もないという者がかなり多かった。
なお、本作は2015年の「一番面白かった地上波「深夜アニメ」ランキング」で1位を獲得しており、作品そのものも評価は高い方だ(上記において「第1話の放送後のみ」としたのは、その後はそれ自体が当たり前となってネットニュースに取り上げられる事がほとんどなくなるため)。
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ルパン三世PART5 - 本作から3年後の2018年4月から放送開始された新TVシリーズ。メインストーリーではしばしば本作の設定が使用されているため、事実上の続編と言える。