概要
姿を見た者は殆ど居ないが、何故か老女の姿をしていると言われ、名前はその事に由来する。
竹やぶや寂しい山道などで、通りがかった人に砂をかけて驚かすと言う悪戯をするが、それ以上の悪さはしない。
似たような悪戯をする妖怪には「砂ほりばばあ」「砂撒き狸」「砂撒き鼬」「砂ふらし」などがおり、正体を狸やイタチとする説もある。
口碑のみで伝えられる妖怪だったが、水木しげるが姿を描き、漫画作品「ゲゲゲの鬼太郎」にレギュラーとして登場させて以降、知名度は劇的に上がった。
ゲゲゲの鬼太郎
「すなかけ」や「おばば」とも呼ばれる。
鬼太郎のおばあさん代わりな存在。母親のように面倒見が良いが、口より先に手が出る程気短で、ねずみ男の悪さを見てはビンタすることが多い。子泣き爺、鬼太郎、猫娘へも怒ったら遠慮なくビンタしている。
老婆の姿をしているがかなりの実力者である。能力は多彩だが、特に名前通りの砂を扱った行動を得意とする。砂を相手にぶつける目くらましや、様々な砂をブレンドして作り上げたオリジナルの砂(属性効果を持つ)で鬼太郎達の戦いをサポートする。
身体の様々な部位や壺や地面などから砂を出すなどの遠隔操作ができ、髪の毛は一本一本が「砂まき機関銃」になっている。自分の体内以外でも、消火や鬼太郎の攻撃の強化など様々な属性を持つ砂を調合できる。第3期では、破魔・拘束・敵を砂化できる妖怪砂が非常に強力で、敵の軍勢を一人で瞬殺している。第6期でも披露した砂太鼓も強力。
自らを解体して砂化したり、口から砂を吐いたり、竜巻や結界術(自然災害は防げないが妖怪等は入れない)、封印術や対魔策、薬草採集なども得意。占術にも長けており、鬼太郎の妖怪アンテナに似た能力を見せた事もある。アニメ3期では妖怪玉で妖気を捕まえて探っている。第6期では、扇子を武器にしている。
なお、本人いわく「攻撃と防御は別」らしく、例えばほうこうの攻撃は防げない(参照)。
身長は130cm で体重は23kg。年齢は約2800歳(しかし、同作内で1200歳発言もある他、4期では「数百年」または以下のように「500年前に妙齢」だが子泣き爺が「その頃から老婆だった」ともしていることから、年齢をごまかす部分があるのかもしれない)。三韓征伐(神功皇后の時代)にお供をしたことがある。
人間嫌いを公言して人間の傲慢さを皮肉る発言も多いが、困っている人間には救いの手を差し伸べる優しい性格である。
目玉おやじとは彼が元の健康な体を持っていた何百年も前からの旧知の仲であり、妖怪に関しての造詣も仲間では目玉おやじに次いで深く、日本に古来より伝わる民俗文化にも精通している。
英語では「Sand Witch(砂の魔女)」と訳されている。
主に竹藪の中で暮らすことが多く、タケノコを主菜とした料理などを仲間妖怪たちに振舞うこともある。自身の好物は蝙蝠の肝である。料理や家事などを少女妖怪の猫娘に教える時もある。ただし自慢の砂を交えたおにぎりは、妖怪たちには好評だが人間には閉口されたことがあった。食したエネルギーを体内で砂に変換できる内臓を持ち、血液ではなく砂が循環されている。
同じ老人系の妖怪故か子泣き爺と行動を共にする事が多いが、互いに恋愛感情があるかどうかは判断しがたく、普段は腐れ縁の茶飲み友達である。爺が若い娘にやさしくしたりすると、年甲斐もない嫉妬をすることもある。
妖怪アパート(アニメ5期では妖怪長屋)の大家であり、近隣やゲゲゲの森(5期では妖怪横丁)に住む妖怪たちの面倒を見ている。が、(特に5期では)子泣き爺を始め家賃を滞納する者が多い。
時たま自分の事を「レディ」と称して周囲を呆れさせるお茶目な面もある。
4期では、のづち塚に若いころの人間の男性に宛てた恋文を棄てていたこともある(ケイブンシャの「ゲゲゲの鬼太郎大百科」などでは「若い頃は砂かけ娘だったのか?」などの記述もある)。ただし、本人曰くこの時期は500年も前とのことだが、付き合いの古い子泣き爺は「その頃からもう婆じゃったぞ」と身も蓋も無い発言をされ、「デリカシーが無いんか、このクソじじい」と砂かけは返している。また、別の回ではその相手が漁師だったらしいことも語っており、「わしが妖怪となって遥かな年月が流れた」と生まれながらの妖怪ではなかったかのようにも解釈できそうな発言もしたが、元は人間だったか否かは不明。
実写版にも登場しており、「月曜ドラマランド」版では由利徹が、「妖怪奇伝ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム」では奥村公延が、「ゲゲゲの鬼太郎(実写映画)」「千年呪い歌」では室井滋が演じている。
映像作品の砂かけ婆
最も演じたことがある声優は山本圭子氏で、実に2作・4作・5作と3シリーズもレギュラー担当だったため、総じて山本氏の声のイメージが定着している感もある。
アニメ1作目
声:小串容子
他の鬼太郎ファミリーとは異なり、この頃から半ば準レギュラー化していた。声優も固定である。それでも登場回数は全65話中僅か13回と、他のメンバーよりマシなだけでやはり少ない。おまけにデザインがまったく定着しておらず、出てくる度に顔や衣装が変わっていた。
しかし、目玉おやじ同様頼りになる年長者というポジションは、この頃から意識されていた。子泣き爺とのコンビも概ね定着していた。
アニメ2作目
声:山本圭子、小串容子(第2話)
本作から一気に存在感を増すようになり、デザインもややムラがあるが安定化した。とはいえ、まだまだ完全なレギュラーとは言い難かった。この頃から妖怪アパートの大家という設定が付随し、家賃をチャラにするなどの条件で、住人を鬼太郎の協力者に仕立て上げるなどしていた。2話から登場し、その回のみ1作の続編という事で小串氏が続投したが、小串氏は本作で猫娘がメインになったため、3話からは山本氏が引き継ぐ事となり、これが後年の4作と5作に大きな影響を与えることとなる。
鬼太郎の妖怪アンテナのように髪の毛を立てて、鬼太郎親子の妖気テレパシーを感知するという滅多に見れない描写があった。人間に対しては辛辣な物言いが目立ち、人間嫌いを公言する場面もある。特に生物を無尽蔵に食い尽くす妖怪「やかんづる」を開放せざるを得ない状況になった際は、「人間が興味本位でちょっかい出して大きな被害が出る」ということを説明するために、いかに人間が愚かなのかを、これでもかというくらいに誇張して語るという有名なシーンがある。同世代(?)の子泣き爺とは、アパートで将棋やトランプをするなど馴染み深く描かれてもいるが、意見の衝突で口喧嘩となることもしばしば。また、同じ女性妖怪同士として猫娘との会話も多い。
アニメ第3作目
声:江森浩子
明確に「鬼太郎の母親代わり」という役割が与えられており、人間嫌いな前作に対して非常に母性的な面を持つようになる。他作品と比べて人間チックなデザインへとアレンジされているのが特徴。占いや医術などの面でも活躍するようになった。第1話から登場(本作以降5作目まで、1話から登場が続く)。
長年の年寄り友達だった児啼き爺とは、周囲から「熟年カップル」と言われる程に行動を共にすることが多かったが、終盤で正式なカップルとなった。
アニメ第4作目
声:山本圭子
前作同様「鬼太郎の母親代わり」と言われるが、鬼太郎自身がやや達観した存在だったこともあり、それほど母性的な面は目立たず、猫娘には薬草や植物の知識を教えるなど、鬼太郎や猫娘にとって世話好きのお婆さんとしての面が強かった。声優は2作目の山本氏が再び担当した。デザインが原作寄りになったものの、化け物じみた面は抑えられ、2作目と3作目の中間といった外観となっている。本作では、戦う時に砂だけでなく粉薬もまいてさまざまな効果も齎している。
また、本作のみ「まだ人間だった頃」が存在する元人間という設定も作中で語られているが、真偽は不明。付き合いの長い子泣き爺は「その頃からもう婆だった」と身も蓋も無い発言をしている。子泣き爺とは相変わらずの茶飲み友達で、普段は「お互い腐れじゃからのう」という関係で、特に子泣きが妖怪に操られた砂かけに手を握られ「恐ろしい思いをした」や、妖怪温泉で「100歳は若返るわい」と言う砂かけに「見たところは変わらんが」など余計な一言で怒らせる事も多いが、時に「子泣きは案外ええ男じゃのう」「砂かけも中々チャーミングじゃよ」などと、お互いまんざらでもない雰囲気も見せている。肌の色は桃色がかった白で、髪の毛は水色。
アニメ第5作目
声:山本圭子
本作では「鬼太郎の母親代わり」という役割は鬼太郎や猫娘が幼かった過去の話となり、時々2人の面倒を見る程度で、全体的には人間社会でアルバイトをするまで成長した猫娘が鬼太郎の世話役ポジションとなる。さらにデザインが原作っぽくなり、なおかつこれまでのアニメ版砂かけ婆のデザインを総合したような外見となった。そのため顔つきはこれまで以上に化け物じみたものになっているが、表情自体はこれまでに負けず劣らず豊かである。声優は再び山本氏が続投。妖怪長屋(従来のアパート)の管理人としての設定がこれまで以上に強調されており、住人達の家賃滞納に頭を悩ますなど苦労人の側面も描かれていた。本作ではやたらと「妖怪ポリネシアンセンター」なるところに行きたがっていたため、印象深いという視聴者も多いだろう。
妖怪四十七士の奈良県代表として覚醒している。子泣き爺とは、真の絆では長い年月の付き合いから絶妙な関係で、それは凶悪妖怪との戦闘時などに顕著となるが、普段は時々宴会で酒を飲みかわすなど親しい雰囲気も見せる一方で、長屋の家賃滞納がトップクラスにして駄々を捏ねやすい子泣きに対して、砂かけが容赦なくお仕置きするのも日常茶飯事となっている。
アニメ第6作目
声:田中真弓
本作では鬼太郎たちの世話を焼きつつも保護者ポジションという一面は薄く、何かあれば、「チューするぞ」が口癖になっており、頼りがいのある男勝りな女性として描かれている。
前作をやや踏襲しつつ、より痩せたようなデザインへと変更されている。
砂での回復能力を得るなどの今まで滅多に見せなかった設定も、メインとして付随している。
戦闘に置いては痺れ砂や毒砂の他、原作でも滅多に見せない『砂太鼓』(6期では呪文を唱えて壺から砂の津波を起こす技として描写された。原作同様、砂かけ婆の切り札とも呼べる最大の必殺技で、霊力の消耗や体への負担が大きく、一日に二度使うと命の危険がある)や、『砂塵扇』という新武器を披露している。やたらと理由を付けて酒を飲む子泣き爺を叱る事が多いが、相変わらず長年の茶飲み友達関係でもある。
本作で初めて本体が健康だった頃の目玉親父についての言及があり、『かつては幽霊族の末裔の青年で、そりゃあ男前じゃった』と頬を染めて惚れ惚れと語っていた。
鏡じじいや霊が銅像に憑依して妖怪となった二宮金次郎とも友人であり、子泣き爺と共に二宮金次郎を『ニノ』と呼んでいる。今時の人間社会で考案されたデジタル機器類にも強い対応力を身に付けており、人間界と一線を画して親しい妖怪仲間同士とは独自のネット通信関係も試みている(しかし、猫娘やねずみ男はともかく砂かけ婆すらスマホを使用しているのに、目玉おやじがスマホを知らなかったのは何故だろうか?鬼太郎は知ってても無関心だったようであるが)。
意外にも異性の妖怪との交流やエピソードが多く、河童の太郎丸にキュウリがよく育つ砂を提供するなど交友を深めている。そのため後に暴動を起こした太郎丸は、その恩義から砂かけ婆の尻子玉を抜きたがらなかった。……尤も他の河童達には通用しなかったが。
生前の目玉おやじを含め、基本的に美しい男性には目が無く、トイレの妖怪・ヨースケくんを見た時は思わず「良い男」と呟き、彼がトイレの花子さんのストーカーで嫉妬から学校中の妖怪を攫っていた犯人であることを知らなかった際は、犬山まなではなくまさかのねずみ男が攫われた際、「まさか男が好き?両思い?あらやだ」とあらぬ想像をして頬を染めたりもしていた。
自分を、かつて遣えていた小国の姫と勘違いした蟹坊主(烏天狗の口ぶりからして、密かに恋心を抱いていたと考えられる)に対しては、現実を突きつけて目を覚ます様に呼び掛け、暴れた時には攻撃しつつも説得を続けた。鬼太郎の体内電気を受けて敗れた蟹坊主の元に歩みより、彼の最後の願いを聞いてあげるなど、厳しいながらも内に秘めた優しさは健在。
58話では株式投資に不動産運用、チョビットコインと呼ばれる仮想通貨、タックスヘイブンに至るまであらゆる手段で財テクをおこなっている事が判明、鬼太郎から作られたかまぼこを買い占めるために1千万円、さらに鬼太郎を元に戻すための資金として1億円をポンと出す事までやってのけている。曰く「資産運用は今時の老人の常識じゃ」
事件後、今回は随分とへそくりを使わせてしまってすまなかったと謝る目玉親父に「なぁに、あれば便利、無ければ無いでどうとでもなる、金なんてそんなもんじゃ」と言って豪快に笑い飛ばすなど、金に対する執着心は薄い。
その他の創作での扱い
一般的に知られる和装の老婆姿は水木しげるの創作であり、顔のモチーフは佐渡の鬼太鼓の面であるという。
河童の三平妖怪大作戦
水木しげるによる同名漫画の実写ドラマ。「砂かけのおばば」という名で出演。
忍者戦隊カクレンジャー
妖怪軍団の一員スナカケババアとして登場。カリカチュアライズされたボディコンのおばさん妖怪で、食べ物を砂に変えてしまい人々を苦しめた。
WIXOSS
タカラトミーのTCG。白のシグニである精生:怪異の「幻怪スナカケ」として登場している。
電気グルーヴ
『電気ビリビリ』に「特に砂かけババアは高得点」という歌詞がある。(インディーズ時代の歌詞は過激だったので差し替えられた。)
……ちなみにpixiv内では(やはりと言うべきか)若返って美人となったオババの姿も多数投稿されている。