ヒス、概要を出せい!
イングランド(ただし、動物の国)の王子で、国王リチャードの弟。勇猛果敢な大男の兄とは真逆の、小柄で了見が狭い子ライオン。重度のマザコンで、「ママ」と言いつつ耳たぶを引っ張りながら親指をしゃぶる癖がある。鬣が未熟で威厳がない(現実でも、人食いライオンで有名なツァボのライオン族が、同地があまりに暑いので鬣が未発達という例外があるが、それとは別にオラつきすぎたりこじらせたライオンも鬣が淋しくなる傾向がある)。
配下の蛇サー・ヒスの催眠術で兄王を十字軍に行かせ、重い税金を取り立てるために各地を巡っているところをキツネのロビンフッドと相棒である熊のリトル・ジョンに襲われ、金貨はおろか身に着けていたローブや指輪を奪われてしまう。それ以降、ジョンは反ロビンの急先鋒である狼・ノッティンガムのシェリフに命じて取締りを行わせるようになる。
その後も、弓の試合を開いた時に罠を仕掛けたり、不敬罪(ジョンを皮肉る歌や劇を行った)ないし納税を怠った罪を犯した民を投獄するなどして生意気な臣民共を取り締まろうとするが、悉くロビン一味によって妨げられた挙句、母上の御城を燃やされて号泣。それから程無くして、帰還したリチャードの登場によって天下を失った。
小説版じゃ…ちゅっちゅっ
アニメ版と違ってしゃべり方は普通。だが、気分が落ち着かないと子供言葉になって指をしゃぶるのは変わらない。おバカキャラとしての描写も過激で、身ぐるみを剥がされて泥まみれ、リトルジョンに剣を突き付けられる、ヒスを「ぬるぬるウナギ」と詰って襲い掛かるなど完全に道化扱い。彼が受けた制裁の内容も緻密であり、横縞の囚人服を着て王家の石切り場で強制労働をさせられる罰を受け、物語から退場した。
立原えりか氏による『ディズニー名作100話〈第3集〉』ではダイジェスト版に近いこともあってかコミカルさは少なく、小悪党扱い。リチャードとの兄弟関係やマザコンネタも描かれない。末路は「追いだされた」とあり、強制労働させられるのではなく、流罪ないしはどこかへ逃げていった、もしくは単に領主をクビになったとも取れる表現がされ、扱いはマイルドになっている。
吾輩の関係者だぞ
- リチャード:兄。ヒスの催眠術で十字軍戦争に向かった勇敢なライオン王。恰幅がよくてたくましい偉丈夫で、ヒロインマリアン姫の伯父。作中では優秀な名君とされているが、史実では残虐非道な暴君で、敵対するムスリムばかりか同じ欧州の各国からまでも悪魔呼ばわりされて忌み嫌われた、ある意味史実や作中におけるジョン以上の極悪人である。どうしてこうなった
- 母君:実母でありながらジョンを味噌っかす扱いしたのだが、彼は事あるごとに「ママ!」と言って指しゃぶりをするので、恨みつつも慕っている様子が描かれる。史実でもジョンの母は父のヘンリー王と不仲になり、板挟みになったジョンは不遇な少年時代を過ごしたと言う。
- サー・ヒス:側近の蛇。卓抜した催眠術と話術の使い手で、リチャードを騙して十字軍に行かせた実行犯。聖書に登場する蛇さながらの狡猾さと洞察力を持ち、ジョンに攻撃をかけんとするロビン一味の動向を見破ったことも幾度かあるのだが、聞き入れられず自軍は連戦連敗。彼もまたリチャードの帰還後に厳罰を受けた。
- ノッティンガムのシェリフ:体格の良い狼。ロビン・フッド打倒に執念を燃やす熱血漢だが、一方でジョンに取り入るための資金集め(徴税)にも余念がなく、強烈な猜疑心と嗅覚で庶民の蓄えを搾取して泣かせている。なお、シェリフとは治安維持を行う役人のことで代官、保安官と訳される。
おほん、余談であるぞ
- モデルになったのはジョン欠地王。ライオンなのも兄のリチャード1世が獅子心王と呼ばれたことに由来すると思われる。史実では兄に詫びて改心、皇太弟として国のために働いて即位するが、上記の様な作中の描写をみる分には、復帰どころか無期懲役を思わせる悲惨な末路である。
- 実際のジョン王は内政だけは優秀で、作中で描かれるような悪人ではないが、アニメのジョン同様厳格なる税金の引き上げは実際に行っていた。しかしジョンが重税を課する原因で、実際に悪政を敷いて国費を浪費したのは、むしろ兄のリチャードである。
- アニメでは母君は他界しているように描かれるが、小説版では存命中と思しき描写がある。事実、ジョンの母は溺愛したリチャード1世(アニメでも「ママは兄ばかり可愛がって…」とねたむ場面がある)の最期を看取り、不仲なジョンとはその後別居したとされる。
- 「ライオン」「王の弟」「裏切り者」と言う類似点からライオンキングのスカーとの類似性が指摘されることも多い。一方、配下の構成(催眠術使いの蛇)がいる点ではジャングルブックのシア・カーンとも共通しており、ディズニー映画における悪役の雛型のひとつ扱いされることがある。
- 作中ではどうしようもない暗君で、民草からも忌み嫌われているかのような描写をされているジョンだが、ディズニーランドのグリーティングではヒロインのマリアンを差し置き、着ぐるみ姿でロビンと共に仲良く登場する(同じ作品からはタック神父とシェリフが登場)。また、ロビンと共に可愛らしくデフォルメされたフィギュアが販売されたこともある。
- ネット上では、方々のサイト(海外・個人サイト含む)でイケメンに擬人化されたり、ライオンキングのナラそっくりなお妃様と幸せそうに笑っている絵が描かれるなど、決して不人気ではない。マザコン描写や容赦ない報復を受ける悲惨な姿(そして元ネタになった人物への再評価・名誉回復への動き)から、おそらく「愛すべきバカ」や「憎めない悪役」と言った認識をされているのだろう。
あーん、ママ!関連タグだよぉ!!
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プリンスジョン:表記揺れ
ハンス・ウェスターガード-末路が似ている王族の弟
野々村竜太郎 - 良く泣く管理職つながり