概要
日本の小説家・小松左京が1973年に刊行したSF小説。
また、1974年10月から1975年3月まで、TBS(・朝日放送)系列局ほかにてテレビドラマ版が放送された。さらに1973年10月から1974年3月にかけて毎日放送・ニッポン放送ほかにて、1980年にはNHKFMにて、それぞれラジオドラマ版が放送されている。
2020年7月にはサイエンスSARUによりアニメ版が製作され、Netflixで「日本沈没2020」と題して配信された。
小松氏は「日本人が国を失い流浪の民となったらどうなるか?」というテーマを掲げており、日本が沈没するというのはあくまで舞台設定に過ぎず、当初は地球物理学への興味を理由に小説を書き始めたわけではなかったが、書いていくうちに興味が湧いてきたという。
当時最先端科学であった「プレートテクトニクス」が駆使され、社会的に大きな反響を呼ぶこととなった。
2006年のリメイクに際し、小松氏は谷甲州との共著という形で沈没後の日本人達を描いた後日談物語『日本沈没 第二部』を執筆。ちなみに第二部の構想自体は第一部を書き上げた当初から存在しており、単行本の最後には「第一部完」と書かれていた。
漫画化は'73年の映画化の際にはさいとう・たかをが、'06年の映画化の際には一色登希彦が行っている。
あらすじ
地球物理学者の田所博士は日本列島の地殻に異変が起こってると感じ、助手の小野寺とともに調査を進め、「近い将来日本列島が大規模な地殻変動で全て海底に沈没する」と結論付けた。当初は信じなかった政府も日本人の脱出計画を進めるが、異変が予想を上回る早さで進み、各地で地震や火山噴火が連発し、人々は必死に生き残ろうとする。
映画
- 1973年版
当時の特撮技術の粋が集められ、有名なパニック映画として、なにより国家滅亡に際しての焦燥感を克明かつリアルに再現したものとして映画史に異彩を放っている。
ちなみに作中登場する深海探査艇「わだつみ」の模型はゴジラVSキングギドラの冒頭でそのまま流用されている。
製作期間は約4か月と短かったが、約880万人の観客を動員し、配給収入は16億4000万円(1974年邦画部門配給収入1位)を挙げる大ヒットを記録した。
- 2006年版
樋口真嗣監督、成島出・加藤正人脚本、草彅剛主演で『前作の映画のリメイクというよりも原作小説の再映画化』というスタンスで制作された。豊富なCGと従来の特撮技術でリアルな描写で作られた。本作は『前作に欠けていた一般市民の視点を意識して取り入れた』というところを制作側は推していたが、対照的により上層の危機感(上記の国家滅亡に関する諸々)については意図的に排除・変質された部分が多い。
例1:1973年版は関係者がとにかく右往左往するが最終的に「最後まで諦めずにこの国を見捨てずにいこう」という展開を地で行くものであったが、本作では逆に政府首脳が「難民受入交渉」と称し我先に海外逃亡している。
例2:原作では南関東直下地震で250万人、73年版では360万人の死者・行方不明者が出る。それに対し、2006年公開版では東京は終盤の全ての住民の退避後に津波が襲来している。
例3:日本全国に被害が出るのは同じだが、今作では本当に沈没するのは日本の約半分に止まる。
このような内容から、初登場ランキング1位となり興行53億4000万円の大ヒットとなったにも関わらず前作を骨太たらしめていた要素が削られたと評価されることも多く、「ただのパニック映画」と辛口にいわれることもある。
※画像はイメージです。
皮肉なことに、この5年後に本当の、しかもシャレにならないレベルの地震災害が発生し、リアルに国家の危機すら生起することになる。
アニメ
2020年7月にNetflixオリジナルアニメとして配信。監督は湯浅政明。配信時期的に「映像研には手を出すな!」と並行して作られていたと思われる。左右のイデオロギー云々を超えた 無茶苦茶な展開(=超展開)が賛否を呼んでいる。
- 素手でイノシシを捕まえる主人公の父親。その後山芋を掘ろうとしたら不発弾を掘り当て爆死
- 「山から毒ガスが漏れている」と叫びながらグライダーに乗ったYouTuberが飛来。「そんなこと頼んでない!」と逆切れして進んだ先でその毒ガスで同行していた女性が怪死。
- 弟のゲーム機が壊れたので半田付けで修理したら割れた液晶まで直っていた。
- 全10話中4話を割いて描いた琵琶湖のカルト教団が大麻を栽培、収穫した大麻をカレーの具材にしてそれを食べた引きこもりの青年が「母さんのカレーの味」と涙を流す、その後ヤク中で狂乱した老人に射殺。
- 自衛隊が特定の思想の国民だけ脱出船に乗せる。その後突然始まるラップバトル。
- 第1話で主人公武藤歩(母親がフィリピン人のハーフ)が足に怪我を負うが、なぜか一切誰からも治療されない。最終話で救出されるが、この怪我が原因で足を切断。数年後、パラリンピックの陸上選手として主人公が活躍。
などなど
脚本を担当した吉高寿男(『ドラゴンボール超』他)は本作い色々な意見が寄せられていることに対して同年7月15日付けで
「ツッコミどころ満載は褒め言葉です。だってそう作ってるから。」
とツイート。続く17日付けで
「リアリティを追求した作品もあれば、リアリティより意外性を選んだ作品もある。どちらも好き嫌いあって当然。ツッコミやケチもつくだろう。それで構わない。賛否両論はエンタメで最高の勲章なのだから」
配信されるや絶賛の声も出てはいるが酷評の声が大きく東京マグニチュード8.0を見る方がいい、ギャグアニメ、令和のチャー研というある意味で不名誉なあだ名をつけられることになった。
(ちなみに、なぜか伊集院光は絶賛していて、吉高は自信の根源にしていることを仄めかしている。)
パロディ他
現在まで影響は残っており、様々な作品に「日本沈没」をもじった点が多い。筒井康隆は原作者公認の『日本以外全部沈没』を書いており、2006年に映画化もされた。
ただし、本作の内容や意義をどう解釈するかで作品の内容が大きく左右されやすいネタでもあり、上記のようによほど脚本や設定の整合性に気を付けないととんでもない結果になることが多い。
余談ではあるが日本が没落する様を表現する言葉として使われることもある。