叡山電鉄
えいざんでんてつ
概要
京都府京都市左京区内の山間地帯に2路線（叡山本線・鞍馬線）を持つ中小私鉄。叡電（えいでん）の愛称で親しまれ、観光地八瀬・比叡山延暦寺・鞍馬へ向かう観光列車として行楽シーズンになると利用者が増える。
観光シーズン以外にも地元民の通勤通学の足として機能しており、京都産業大学や京都精華大学といった鞍馬線沿線に位置する大学の学生達がよく利用する。
歴史
元々叡山本線は1925年（大正14年）に「京都電燈」という電力会社（現在の関西電力）、鞍馬線は1928年（昭和3年）に「鞍馬電気鉄道」により開設された。戦時中の1942年（昭和17年）に京福電気鉄道叡山本線および鞍馬線となる。
1986年4月1日に分離継承され『叡山電鉄』となった。現在は京阪ホールディングス（京阪）の100％出資子会社となっている。ちなみに、企業体として分離された京福電気鉄道（嵐電）も同じく京阪ホールディングス傘下となっている。
保有路線
ラインカラーは叡山本線が緑、鞍馬線が赤。ナンバリングは共通でEで叡山本線がE01（出町柳）〜E08（八瀬比叡山口）、鞍馬線がE09（八幡前）〜E17（鞍馬）が付けられ、接続駅の宝ケ池は叡山本線のE06のみ付けられている。
出町柳にて京阪電気鉄道鴨東線、八瀬比叡山口にて京福電気鉄道鋼索線（叡山ケーブル）、岩倉にて京都市営地下鉄烏丸線、鞍馬にて鞍馬山鋼索鉄道（鞍馬寺）とそれぞれ接続する。
保有車両
現在の保有車両
現存の旅客用車両の車体を製造したメーカーは阪神電気鉄道系列の武庫川車両。
嵐電の車両も同じ傾向が見られる。
700系
経営合理化・ワンマン運転に備えて1987年から1988年にかけて両運転台車を8両製造した。
- デオ710形：デナ21形の機器を流用しツリカケ駆動で2両が登場。のち他社から譲り受けた部品を使ってカルダン駆動車にグレードアップさせた。
- デオ720形：デオ200形の機器を流用しツリカケ駆動で4両が登場。のち他社から譲り受けた部品を使ってカルダン駆動車にグレードアップさせた。
- デオ730形：カルダン駆動車・デオ300形の改造名義となっているが流用箇所は少ない。2両が登場。
このうちデオ732号車は2018年に観光列車「ひえい」へ大規模改造が行われた。
900系
観光列車「きらら」。1997年と1998年に1編成ずつ、合計2両編成2本が製造された。1998年度の鉄道友の会ローレル賞受賞車両。
外の景色を楽しめるよう窓が大きくなっており、一部の座席は窓を向いて配置されているなど、観光客を楽しませる工夫がされている。
当初はデオ600形全3編成を全て置き換える予定だったが、鞍馬の火祭りでの輸送力不足と、建造費が高額な為、2編成で打ち止めとなった。幻の第3編成は黄緑色のカラーや鞍馬の紅葉をイメージした黄色と予定されていたと言われる。
なお、2019年春から半年間黄緑色のカラーで運行された。
デト1000形
無蓋の電動貨車。1両が在籍。
漫画・アニメとの関わり
先述の観光列車「きらら」との名前繋がりで「まんがタイムきらら」及び芳文社作品を中心にコラボレーションを盛んに実施している。
- けいおん!：2011年にアニメのヘッドマークの取り付け、及び記念切符が発売された。その後車体へのラッピングも行われている。
- ひだまりスケッチ：2012年冬～2013年春にアニメのヘッドマークの取り付け、及び記念切符が発売された。
- きんいろモザイク：2013年夏～秋にヘッドマークが取り付けられた。但しこちらは車体へのラッピングや記念切符は無し。
- NEWGAME!：2016年春～2017年春シーズンにラッピング車両の運行およびヘッドマークの取り付けが行われた。
- 京都寺町三条のホームズ：京都を舞台にした作品で、2018年に京阪グループや他社と連携してコラボ企画が展開された。
これらの他にも、修学院駅を始め多くの駅に上記作品のほか「ゆゆ式」、「恋愛ラボ」、「魔法少女まどか☆マギカ」等の広告が行われる、デオ723号・デオ724号（主に上記のコラボに使われる）の車内広告の大半はまんがタイムきらら作品である、など。
また2013年にアニメ化された「有頂天家族」ではその名も「偽叡山電車」が登場している。モデルは1929年から1995年にかけて使われていた先述のデナ21形。現在鞍馬駅舎の横にデナ21号車の前頭部と車輪が展示されている。2017年に続編「有頂天家族2」が放送されるため、「有頂天家族号」が運行されている。また、親会社の京阪電車も大津線の石山坂本線を中心にアニメなどのラッピングなどを行っている。