「あ~いやいや、いやいやこのままじゃいけん!復活幽魔獣軍団、出でよ!!」
データ
生息地:霧の多い山中
特技:特殊な蜃気楼による幻を生み出す、邪剣、御来光雲
作戦:アバレヘッダー入手作戦の為の囮→実体を持った幻幽魔獣による破壊
趣味:単独登頂
概要
有名な未確認生物「ブロッケンの妖怪」の正体とされる幽魔獣」。
赤く光る6つの眼を持ち、口元も鋭い牙を剥き出しに笑った顔をしている。漆黒の全身には白い雲を思わせる飾りが付いているが、それ以上に後光を思わせる背中のパーツが最も印象的である。だが、その胸部にはザトウムシの胴体があり、背中の後光にも足が繋がった意匠が見受けられる。
口調も独特で、九州訛りを彷彿とさせるしゃべり方が特徴的(近いのは福岡弁や広島弁)。
その能力はズバリ幻影を作り出す能力であり、後光を思わせる背中のパーツで気温を操り周囲に特殊な蜃気楼のフィールドを発生させる事で無数に幻影を出せる。ただし幻影は文字通りに単なる幻の為、見た目で惑わせる程度。
この能力は自身にも有効で、自身の大きさを偽る事も可能。しかしその場合、近くにいる存在も巻き込み、同じ大きさに見えてしまう欠点がある。
幻影以外にも武器としては両腕から伸びる鉤爪で武装し、更に背中から幾つもの爪の様な鋭い物体を伸ばして攻撃する他、口から吐く黄色いガスで爆発を起こす技を持つ。
劇中での活躍
チュパカブラの武レドランが封印されたアバレヘッダーを入手するまでの間の時間稼ぎとして、自身を巨大な姿に見せかける形で登場。これを受けてゴセイジャーはゴセイグレートで迎え撃とうとするが、セマッタ霊はパンチの一撃にわざと吹っ飛んでは「あぁ~えらいパンチじゃのう…… 」と痛がる演技をして見せる。攻撃の手応えが無い事に違和感を覚えるゴセイジャーだったが、それを悟られない様に直ぐ様上記の台詞と共にこれまで倒された幽魔獣達の幻影を召喚。
「ワシが地獄の底から蘇えらせたんよ 恨みのパワーで強さ百倍じゃ百倍!!」とハッタリをかましながら幻影を嗾けて時間を稼ぐ。
必殺のグレートストライクを受けても、目の前の幽魔獣達に全く効果が無い事に面食らうゴセイジャー達に対し、「ほーら、効かんじゃろうが!アハーハハハッ!」と得意気なセマッタ霊だが、そこへゴセイナイトが登場。セマッタ霊の特性を知る彼が「違う…ダマされるなゴセイジャー!! こいつは”ブロッケン妖怪のセマッタ霊” お前達が見ているのは特殊な蜃気楼だ!!」と告げた上で攻撃され、ダメージを負った事を受けて幻影も消え去ってしまう。
更にゴセイナイトによって武レドランがアバレヘッダーを入手する為に時間稼ぎをしている事を暴露されるも、彼の計画の補佐を完遂。武レドランがアバレヘッダーを入手したのを見届けると、本来の作戦に取り掛かるべく「あののう、あのねー勝負はお預けじゃけん!精々ジタバタしんさい…ハッハッハ!」と捨て台詞を残して撤退した。
その後、武レドランが街でアバレヘッダーを暴れさせるのに同伴していると、再びゴセイジャーとゴセイナイトが登場。これに対して武レドランが「セマッタ霊、力をやる。相手をしてやれ」と言ってアバレヘッダーの力を与えた為、セマッタ霊はパワーアップ。「おわ~ッ!力が漲って来た!オラァッ、『御来光雲』!」と叫んで再び幽魔獣の幻影を呼び出す。最初はこけおどしと高を括っていたゴセイジャーだったが、ヘッダーパワーを与えられたセマッタ霊の幻影は実体を伴った幻影幽魔獣となって襲い掛かり、更に武レドランも電撃で無理矢理従わせたアバレヘッダーの力で追い打ちを掛けてゴセイジャー達を葬ろうとする。
だが、アバレヘッダーの真意を聞き、その全てを受け止める覚悟を見せた5人はミラクルゴセイヘッダーの力を得てスーパーゴセイジャーに天装。その力の前になす術も無く、最期はスーパースカイランドシーダイナミックを幻影幽魔獣と共に受け敗北。「あのね、あのね、あのねあのねの…」と言い残して爆散。巨大化すらさせて貰えない幕切れであった。
その後、失敗して戻って来た武レドランを待っていたのは、結果的にゴセイジャーのパワーアップさせてしまった事に対する幽魔獣のツートップからの糾弾であった。最初に筋グゴンが「武レドラン!オレ様達が協力していれば上手く行った!杜撰だ!杜撰だ!!杜撰だ!!!」と叱りつけ、続いて膜インも「勇んで出かけた割には随分お粗末な結果だったじゃないか……えぇ?この大失敗の罰は受けて貰うからね」と非難。彼は地下牢に幽閉されてしまう。
この瞬間、武レドランの幽魔獣内における立場が急速に弱まったのだった。
余談
モチーフはザトウムシとブロッケンの妖怪。名前は映画『ペット・セマタリー』(日本での公開の際は『ペット・セメタリー』が邦題)に幽霊を掛けており、幽魔獣の幻影を操る為か「迫った霊」との語呂合わせにもなっている。
特に後者の映画では、裏山に埋めた死体が復活するシーンがあり、これがすでに倒された幽魔獣を復活させる能力の元ネタになったと思われる。
もっとも、セマッタ霊の能力はあくまでも「幻影を作り出す」のであり、ネクロマンサーのごとく死者蘇生ができるわけではないが……。
幻影幽魔獣たちは実体化した後本人たちと同じ攻撃も使えるようになったが、相変わらず台詞は無い(精々唸るような声を出した程度)。
また彼らはそれぞれ過去作の怪人の武器を持っている。ト稀ヅがオルグラセツのナイフ、ギエム郎が脂目マンプクの斧、ワライコゾウのサーベルが賊兵ヤートットの剣ではないかと見るファンも(ペサランザは不明)。
基本的に幽魔獣は不鮮明ながらも視覚的な特徴の残るUMAがモチーフに選ばれているが、このブロッケンの妖怪(ブロッケン現象)は未確認生物でも何でもない単なる自然現象であり、UMAとしての視覚的な特徴は存在しない唯一の例外である。
ただ、今回のセマッタ霊の場合は蜃気楼で自身の姿を巨大に見せるトリックと、背部の後光を模したパーツでブロッケンの妖怪を表現する形となった。
声を演じる松田氏はスーパー戦隊シリーズでの出演は今作が初となる。『ポンキッキ』のムックの中の人である為に、セマッタ霊自身もムックを意識した喋りをしている。尚、設定上ムックは雪男の1種だが筋グゴンのモチーフであるビッグフットと被り、差別化も難しかったのか、幽魔獣の中に筋グゴン以外に雪男をモチーフにした怪人は存在しない。
ブロッケンはドイツの妖怪だが松田氏が広島県出身であるためか、広島弁が言葉の節々で見受けられる。
関連タグ
デンキウナギン:『地球戦隊ファイブマン』の怪人で、同じく巨大化した自身の幻影を嗾けると言う似た作戦を展開している。
バクター、バルキバルキ:12年前の作品においてセマッタ霊同様、登場回ではヒーロー側の戦力を増強させる結果となり、上司の立場が悪化した繋がり。
妖帝イリエス、グレゴリ艦長、バングレイ:セマッタ霊同様、過去に倒された怪人を復活させる能力を持つが、一般怪人のセマッタ霊と違って彼らは幹部怪人である。
ドロドロ(百獣戦隊ガオレンジャー):『百獣戦隊ガオレンジャー』の怪人で、こちらも同じく巨大化した自身の幻や過去に倒された怪人の幻影を嗾けている(後者は死者に干渉した能力でもある)。
蜃気楼忍者ジン・ギローン:8年前に登場した蜃気楼繋がりの怪人。
シンマイナソー:9年後の作品に登場した、セマッタ霊と同じく幻影を操る怪人(というか、「蜃気楼」の語源になった妖怪がモチーフ)。
ネクロマンサーマイナソー:同上。過去に倒された怪人を復活させるネクロマンサー繋がりの怪人であるが、セマッタ霊の場合は能力的には幻影を見せるものであって死者を操る能力とは言い難い。
磁石団長:ブロッケン繋がりの怪人で、こちらはその子孫と言う設定。
ジェロニモン:過去に倒された怪獣を蘇らせる能力を持ったウルトラ怪獣。
ヒッポリト星人:こちらも実体の無い巨大な自身の幻を披露した繋がり。
宇宙巨獣デボラス:幻星神ジャスティライザーで過去に倒された怪獣を蘇らせる能力を持った怪獣。