2000年には上位互換機であるワンダースワンカラーも発売された。
概要
バンダイより発売された携帯ゲーム機。開発にあたっては任天堂にて
ゲーム&ウォッチやゲームボーイといった名機を多く生み出してきた横井軍平氏を
招いており、氏が最後に手掛けたゲーム機となった。
EEPROMを内蔵しており、ユーザーのプロフィールを登録可能になっているほか、
電池残量や音量等のインジケーターを表示する機能もある。
外見上最大の特徴は十字キーの代わりに4個のX・Yボタン群が付いており、
本体を縦持ちして縦長画面のゲームをプレイ可能になっている。
本機の設計思想は親が子供に買い与える玩具としてとにかく廉価である事、
電池持ちが非常に良くランニングコストが低い事に焦点を当てており、
カラーゲーム機が巷で話題の中モノクロ液晶で発売される徹底ぶりだった。
他のゲーム機では電池は2本以上使うのが常識であったが、ワンダースワンは
単3電池1本でも他のゲーム機よりも長い稼働時間を実現していた。
また重量も非常に軽く、本体のみで100gを切る超軽量な作りである。
価格も安く押さえられており、定価4800円となっていた事や、発売直後から
アクションパズルゲーム『GUNPEY』、スクウェアの移植・外伝作品、
バンダイが得意とするガンダム、デジモン等の版権ソフトを矢継ぎ早に発売し、
ゲームボーイ系列にこそ敵わなかったものの、初代ワンダースワンのみで112万台を売上げ
そこそこの成功を収め、携帯ゲーム業界の2番手3番手争いに食い込む格好になった。
しかしながら、先に述べたようにゲームボーイカラーを筆頭に携帯ゲーム機における
カラー液晶の実用化・低価格化が進んでいた時期だった事もあり、ワンダースワンも
カラー化を行う必要が生じてしまい、ワンダースワンカラー、スワンクリスタルとカラー化モデルを投入を始めた。
その間に任天堂から放たれていたゲームボーイアドバンスの一強状態が
確立しつつあった為に、スワンクリスタル向けのソフトは急激な先細りになり、
2003年に11本のゲームをリリースしたのを最後に一般販売は終了になった。
翌2004年には受注生産のような形で限定カラー本体・ゲームを販売しており、
『JUDGEMENT SILVERSWORD -Rebirth Edition-』『Dicing Knight』の2本を
最後に完全に終了。その歴史に終止符を打つこととなった。
販売期間はシリーズ全体で1999~2004までの5年間ととても短かったものの、
約350万台を累計で売り上げておりゲームボーイ、ゲームギアに続く
当時ナンバー3の記録となっており、鳴かず飛ばずで終わった携帯ゲーム機と比べると
圧倒的に知名度・普及率は高いと言える水準である。
また、サードパーティの誘致戦略についても評価される部分が多く、
有名シリーズの外伝・スピンオフ作品、続編等が数多くリリースされた他、
キャラゲー等も粒ぞろいとなっており良ゲー・名作が多い。
その後他機種に移植されたソフトも多いが、そこから漏れた作品については
アーカイブ化されておらず実機以外でプレイの方法が無いものもあり、惜しむ声も多い。
売上本数のトップ5は『ファイナルファンタジー』『ファイナルファンタジーⅡ』、
『チョコボの不思議なダンジョン』、『スーパーロボット大戦COMPACT』、『GUNPEY』であった。
公式ツールとしてC言語プログラミングソフトである『ワンダーウィッチ』も発売された。
上述の2004年に受注販売された2本のソフトは本ソフトを使用したプログラミングコンテストの
受賞作品であり、
他にも数多くのユーザー制作のゲーム・ソフトウェアが公開されていた。
他、赤外線機能を使った自律ロボットの操作ソフト『ワンダーボーグ』やポケットステーションを受信部としたプレイステーションとのデータのやり取り『ワンダーウェーブ』など周辺機器も豊富。
バリエーション
ワンダースワンカラー
2000年12月に6800円で発売されたカラー化モデル。
モノクロ版の発売から1年9ヶ月後である。
一応のカラー化はしたものの、STN液晶だった為にグラフィック品質はそこまで高くなく、
残像が多い、全体的に暗くて見づらいなどの問題点が多かった。
スワンクリスタル
2002年7月に7800円で発売された新型モデル。
ワンダースワンカラーで問題点だった部分を改善している。
ポケットチャレンジV2
ベネッセがリリースした電子学習機器「ポケットチャレンジV2(以下、V2)」。
ワンダースワンをベースにしたものであり、外観やカートリッジ形状が異なるが実は派生機である。
V2のソフトはカートリッジのガワから基板を取り出してワンダースワンにセットするとそのまま起動する一方、逆にワンダースワンソフトを同じ方法でV2で行おうとしても起動しない為V2はワンダースワンをカスタムしたものである事が分かる。
携帯ゲーム機を学習用機器にカスタムしたものは恐らくワンダースワンだけだと思われる。
mama Mitte'
タニタがリリースした妊婦用脂肪計mama Mitte'(ママみって)に同梱された電子機器。
スワンクリスタルをベースにしたものであり、こちらは外観もカートリッジ形状も似ている。
関連イラスト
余談
- 縦持ちスタイルは後にニンテンドーDSやプレイステーション・ポータブルの一部ソフトに受け継がれていたりする。
- ワンダースワンはスピーカーからの音が割と悪い。そしてイヤホンジャックが標準で付いておらず、拡張端子に接続する変換アダプタが必要だった。特にコナミからの唯一のソフト「beatmania for WonderSwan」はこの変換アダプタで聴かないとコナミがワンダースワンでやってのけた事の凄さが半減する。
- 他社の携帯ゲーム機と比べてROMカセット側の端子が剥き出しになっている為、非常に汚れやすい。
- バンダイから発売された事もあってか、多くのアニメ・漫画作品にてこのゲーム機を見かける事ができる。最近では『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』にて式波・アスカ・ラングレーが所持していた事でも有名。
- 仮面ライダーエグゼイドの第1話に予想外とも言える登場を果たす。このゲーム機の存在を知らない人にとっては、実在のゲーム機である事に驚く人もいるだろう。恐らくスポンサーにバンダイがいるための登場だと思われ、一部の視聴者からは冗談めかして「エグゼイドの世界はワンダースワンが主流になった世界」説などが挙げられている。劇中では16年前の回想シーンで主人公の宝生永夢が命を救われた医師から渡されたゲーム機として描かれており、仮に『エグゼイド』の時間軸が2016年とすれば、2000年に発売されていたワンダースワンが渡されたとしても不思議はないと言える。またあちらの世界では「当時人気でなかなか手に入らなかったゲーム機」とのこと。
- カクヨムにおいては『モノクローム・サイダー』というワンダースワンを持った女子と恋に落ちると言う恋愛小説が存在し、しかも書籍化された。