概要
「週刊少年ジャンプ」にて1981年から1983年に渡り連載された江口寿史のギャグ漫画作品である。
東映動画の手によってアニメ化された。1983年5月から1984年1月にかけて、フジテレビ、北海道文化放送、仙台放送、テレビ静岡、岡山放送、サガテレビなどで放送された。なお、フジテレビ系列局でも放送しなかった系列局が存在(例えば福井テレビ、テレビ西日本)した一方で、他系列局では青森テレビとテレビ高知(いずれもTBS系列局)で放送された事がある。
全35話。
ラブコメのアンチテーゼとして
当時の少年漫画界隈で全盛を誇っていた、男性漫画家によるお手軽なラブコメ漫画に不満を持っていた江口が、ラブコメにありがちな「全男子生徒の憧れの完璧なヒロイン」というテンプレを「美少女にしか見えない女装少年」にすることで、ラブコメというジャンル自体を茶化して描くメタギャグ漫画というコンセプトであった。
そもそも1980年代当時というと、女装少年(男の娘)が少年ジャンプのヒロインになるという発想自体が先ずありえないものだった。今だって殆どお目にかかれないが。しかも時代はジャンプ黄金期にさしかかっていた。この画期的なヒロイン・大空ひばりというアンチテーゼは、当時の読者層にとって斬新かつ新鮮であったため、シンプルかつスタイリッシュな絵柄ともども男の娘ものの元祖・先駆けとして、本作は日本漫画の歴史に刻まれることとなった。
ただ、上述のように明確な「アンチ・ラブコメ」という意図により描かれた作品であるため、江口が男の娘萌えだったとか、LGBT問題に積極的に切り込んだという位置づけではない。
なお江口がこの作品で確立した絵柄やセンスは各方面に影響を与えた(線で囲んだ影にスクリーントーンを貼るなどの手法はこの時期江口が発明し、その後大勢の漫画家がマネをして広まった)。一方、江口の休載・逃亡などの悪癖が始まった作品でもあり、連載末期では編集部やアシスタントへの恨みを込めたような楽屋オチばかりになり、当初の作風は完全に崩壊して目も当てられない状況に。江口の精神状態もやばかったが、週刊連載で納得のいく作画を保つには時間が足りなかったという現実的な切迫状況もやばかった。結局打ち切り宣告を受け、ストーリーの途中で「少年漫画は死んだッ・・・!」という大コマのセリフが放たれ何のオチもなく唐突に終わるという漫画史に残る伝説の最終回にて未完となる。
連載終了以来、約20年が経過しても続編は書かれていなかったが、2010年の2月28日に発売されたコンプリートエディションにて一応完結した。
約27年越しの完結である!
ストーリー
主人公である坂本耕作は母の遺言に従い、彼女の友人だった大空いばりという男の元に身を寄せる事となった。………しかし、いばりは「関東極道連盟・関東大空組」の組長であった!
恐れをなして逃げようとした矢先に耕作はある美少女と出会う。
だが、その美少女は男!しかも大空いばりの悩みの種であると同時に唯一の跡取りなのであった。
こうして、主人公・坂本耕作のドタバタで倒錯した日常が始まるのだった。
登場人物
主人公
大空家に身を寄せる事となった少年、九州出身で女に弱い。
大空家
大空家の長男。大空家の跡取りにして男の娘!学校では美少女として有意義に過ごしている。
大空家の長女。早くに母をなくした大空家で母親的な存在であり、イラストレーターを目指し頑張っている。
大空家の次女。ひばりの女装に対して苦々しく思っている、しかし学校でバレると色々大変なため結局のところ協力している。
大空すずめ(CV:鈴木富子)
大空家の三女。おませな小学生。
大空いばり(CV:八奈見乗児)
大空家の主であり大空組の組長。しょっちゅう発作を起こす。ひばりの女装が悩みの種。未だに耕作の母親に思いを寄せる一途な人。
大空組(=大空家)組員
サブ(CV:若本規夫)
若頭。つぐみに密かに思いを寄せている。
政二(CV:西尾徳)
組員。気は小さいが強面。耕作を変な顔で起こすのが趣味であり、すずめに一番懐かれている。