機体データ
型式番号 | MSA-007 |
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所属 | 地球連邦軍 |
開発 | アナハイム・エレクトロニクス |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 20.2m |
頭頂高 | 19.02m |
本体重量 | 34.1t |
全備重量 | 60.5t |
出力 | 1,650kW |
推力 | 40,800kg |
センサー有効半径 | 12,000m |
装甲材質 | ガンダリウムコンポジット |
固定武装 | ビーム・サーベル×2 |
携行武装 | ビーム・ライフル |
オプション武装 | バルカンポッド・システム、肩部ミサイルランチャー |
概要
型式番号MSA-007。
アナハイム・エレクトロニクス社が開発していたλガンダム(ラムダ/デザイン未発表)の上半身とιガンダム(イオタ/Sガンダム)の下半身を基に同社で製造された量産型モビルスーツ(MS)。
本機体はSガンダムとの共用部品が多く、いわばSガンダムの量産機とも言える機体だが、おそらく整備性向上の為にα任務部隊で運用されていたと考えられている。また、後頭部アンテナ等に同じアナハイム社製のジム系量産機・ネモの影響も見て取れる。
「高性能だが高価な実験機であるガンダムを簡略化して量産機にまとめ上げる」というジム系MSの伝統に則る形で開発されているが、本機体のようにその時代の最新鋭ガンダムのテクノロジーを十分にフィードバックできているジム系MSは意外に少ない。これは、1年戦争~デラーズ紛争直後には疲弊した戦力を整えるためジムⅡやハイザックといった手堅く廉価なMSが求められていたこと、グリプス戦役中には次世代MSの開発に追われていたことなど、時代背景的な要素が大きい。
肩部にムーバブルフレーム式の多目的ラッチを備え、予備兵装や追加武装が携行可能で、外殻ユニット自体を外して各種のオプションに換装する事も可能である。また、背部バックパック側面には、プロペラントタンク取付用のラッチが片側で2箇所、計4箇所あり、かかと上部のラッチには、ランディング・デバイス(月面降下装備)用のプロペラントタンクを装着できるなど、ムーバブルフレームを活かした拡張性の高さが本機体の大きな特長と言える。その性能を支えるために量産機としてはジェネレータが強力な分、冷却ダクトが従来のMSに比べて倍の4基に増えており、Sガンダムから受け継いだ大型の肩部ユニットと合わせて独特な正面形状を形成する。
前述の通りハイエンド機をベースにしていることから、ジム系MSとしては比較的高級な量産機であり、チューニング次第では更なる性能向上が見込めるポテンシャルの高さを有している。ただ、その高性能に比例して製造コストも高くなり、地球連邦軍の次期主力MSを担うまでには至らず、本機体は地球連邦軍の特殊部隊に配備されたに留まった。その結果、次期主力MSは本機よりも低コストなジムⅢを経て、同じアナハイム社製のジェガンの採用を待つことになる。とはいえ、本機体のデータや運用思想はジェガンに活かされており、同社が後に覇権を握る量産型MSの礎の一つとなった。
なお、機体色はマイアミ・ブルー(レイトングリーン)とウォーム・グレーをメインカラーとしている。
武装
ビーム・ライフル
RX-78 ガンダムが装備していたビームライフルに近い形状を持つ。若干ショートバレル気味。
右側面に装備されるセンサーは、Sガンダムのビーム・スマートガンの物と同形状。
ビーム・サーベル
Sガンダムと同様、膝部に収納されている。
頭部バルカン砲
実はコストダウン目的で頭部にはバルカン砲の砲身が入っておらず、頭部こめかみ部分の装甲はフタで閉じられている。作戦に応じて、ガンダムMk-Ⅱが装備していたようなバルカンポッド・システムを後付け装着する。
肩部ミサイルランチャー
ヌーベルジムⅢと共用のミサイルランチャーを肩に装備出来る(イラストのみ登場)。
バリエーション
ネロ・トレーナー
型式番号MSA-007T。
『ガンダムセンチネル』に登場。
肩部をムーバブルフレーム接続のオプション・バインダーに換装した高機動タイプで、MS戦隊指揮官用の訓練機(=トレーナー)として開発された機体。バインダーはバックパックと同型の推進器と、その推進剤(プロペラント)タンクを兼ねたもので、AMBAC姿勢制御にも活用される(なお、バインダーに干渉しないように、肩部アーマーは小型のものが新造されている)。
行動時間を多少犠牲にはしているものの、バインダーのAMBACを活用した180度反転動作時間は従来機の半分以下に短縮されるなど機動力は大幅に上昇し、推力倍加により瞬間加速も大きいため、アグレッサー機として要求以上の性能となり、MS部隊の練度向上に大きく貢献した。
追加装備として頭部にバルカン砲が内蔵されている。機体色は赤色に近い蛍光オレンジとウォーム・グレー(実在の戦闘機、F-18ホーネット試作6号機をイメージしている)。
EWACネロ
型式番号MSA-007E。
『ガンダムセンチネル』に登場。
偵察型。巨大な頭部にEWAC用装備を多数装備している。
詳細はEWACネロを参照。
ネロ(バインダーカノン装備型)
TRPG『ガンダムセンチネルRPG』に登場。
肩部をバインダーカノンに換装した高機動タイプ。実はネロ・トレーナーの初期デザインだったが、「見た目が強すぎる」「この小さなバインダーの中に機能を詰め込み過ぎではないか」という理由で一旦ボツになり、先端のビームカノンを省略したものがネロ・トレーナーである。
λガンダム
型式番号MSA-0012。
『ガンダム・センチネル』に文字設定のみ登場。
ネロの上半身の設計のベースとなった機体。Ζ計画の一環として開発されたガンダムタイプの可変MSで、変形システムは単純なものになっている。オプションとして、ビットとコントロール用のサイコミュ・システムを装備可能。
未だに詳細は不明な機体だが、雑誌・Web企画『A.O.Z Re-Boot』に登場するZZZガンダムユニットとは型番が重複しており、同一機体なのではないかとする説もある。
詳細はλガンダムも参照。
劇中での活躍
ネロ
α任務部隊の旗艦であるペガサスⅢの他、所属するサラミス改級巡洋艦に配備されており、本国艦隊に配備されているヌーベルジムⅢと並び、ニューディサイズ討伐の中核を形成。特に、α任務部隊には討伐艦隊の先遣隊という特殊任務故の優遇として、従来機より性能の高い本機体が優先して配備されていた。
とはいえ、ジム系MSとしては高性能であるはずなのだが、劇中での活躍を見る限りでは、他のガンダム作品に登場するジム系MSと同様に、やられメカとしての描写が多く、その高性能を十分に発揮するには至っていないようである。
事実、α任務部隊がニューディサイズに仕掛けた攻撃作戦では、作戦に参加した9機のネロが、待ち伏せされていたとはいえ、ガンダムMk-Vのインコムの攻撃を受けてものの数分で全滅したり、α任務部隊・ペガサスⅢ所属のチュン・ユン中尉が搭乗した機体とその僚機が、月面降下中に機体のOSに仕込まれてた論理爆弾というコンピュータウイルスによって制御不能になるなど、殆ど見せ場がないというのが実情であった(もっとも、本作品は主人公側であるα任務部隊よりも、敵側であるニューディサイズの人物の描写に重きが置かれているため、致し方ない部分はあるのだが… )。
ただ、劇中ではその高性能を発揮できる場が描かれていないとはいえ「エアーズ市降下作戦における主力はネロであり、ガンダム達は援護役である」と明確に書かれているなど、その数と性能を以てニューディサイズとエアーズ市、エイノー艦隊の戦力を半減させ、反乱の収拾に多大なる貢献をしたことは疑いようがなく、その面では本機も隠れた名機といえるのかも知れない。
ネロ・トレーナー
α任務部隊旗艦・ペガサスⅢに艦載されており、MS戦隊司令であるストール・マニングス大尉が搭乗する。実戦経験の少ないα任務部隊のパイロット達に戦闘訓練を施す際に用いられているが、模擬戦においてはマニングスの技量も相まって、カタログスペック上は雲泥の差があるSガンダムを翻弄した(バレルロール、ピッチバック等のマニューバを活用する様子が描かれている)。
最終局面では、突如現れた巨大MA・ゾディ・アックから母艦ペガサスⅢを守るため、マニングスが独断で本機体を駆って立ち向かうが……。