始めよう、人類と正義への叛逆を--。
中華人民共和国の宅極電工作室が開発した艦船擬人化ゲームで、日本に上陸した同ジャンルのゲームとしては7番目となる。日本版はBilibiliの運営で2021年初頭に正式タイトルが『ブラック・サージナイト』と決定、Twitter・LINE・YouTubeにそれぞれ公式アカウントを開設した。同年2月末より事前登録を開始し、4月20~28日のクローズドβテストを経て5月20日にリリースした。
中国大陸と繁体字圏(台湾・香港・マカオ)ではどちらも『黒潮:深海覚醒』、英題『Dark Boom』を正式タイトルとして2020年8月に公式サイト開設と同時に事前登録を開始し、繁体字版は2020年10月15日に正式リリースされたが中国大陸版は開始時期未定(日本版は2022年6月30日をもってサービス終了予定)。
日本版の公式略称は「ブラサジ」。艦船擬人化ジャンル内でよく使われる「艦◯」式の略称は、原題のDark Boomや日本版タイトルのBlack Surgenightから取ったB・D・N・Sがいずれも既に使われているためか、繁体字版のβテスト開催時の仮称『深海戦線 Abyss Front』から取った「艦F」が主に用いられる。
概要
2019年6月に中国大陸で『代号:D』の仮称により発表され、同年秋から『深海戦線』と題して台湾などでオープンβテストを開始した。繁体字版の運営はFGOやマギレコを運営している小萌で、βテスト段階ではAndroid版のみが提供されていた。
「使い捨てられた者達の人類への復讐」がテーマであり、繁体字圏のタイトルが示す通り、全ての艦船(作中では「ドール」と呼ばれる)が改造によって「深淵覚醒」という言わば闇堕ちフォーム(作中では「アビスドール」と呼ばれる)に変貌するという異色の要素が大きな特徴。ドールにもよるが、全体的にモノトーンの色合いと生物めいた艤装の、敵キャラのような風貌に変化する。
当ゲームの目玉と言っていい要素だが、改造用素材はそれなりに入手ハードルが高い。
ボイスは同ジャンルの中国製ゲームと同じように日本の声優をキャスティングして日本語音声で収録されており、ジャンルの常連である上坂すみれを始め井口裕香、内田真礼、大坪由佳、小倉唯、釘宮理恵、茅野愛衣、川澄綾子、斉藤千和、佐倉綾音、佐藤利奈、竹達彩奈、田村ゆかり、能登麻美子、花澤香菜、日高里菜、ファイルーズあい、水樹奈々、悠木碧他が出演している。
ゲームシステムは『プリンセスコネクト!Re:Dive』に近い横スクロール型で、画面の右側に陣取る敵を撃破して進軍して行くタイプ。スキル発動時にはアニメーションを用いたカットインが挿入される。
日本版リリース以前の状況
アプリのダウンロードとプレイ自体は日本からも可能だったため、繁体字版のオープンβテスト開始後は日本でも少数ながら口コミでゲームの存在を知ったプレイヤーが見られた。ベータ版からコンフィグ画面では繁体字中文・簡体字中文・日本語・英語のメッセージ表示言語選択メニューがあるが、繁体字以外は実装されていなかった。
2020年夏、Bilibili傘下の上海継游信息科技有限公司を出願者とする「黒潮」や「ブラックインフェクション」「サージナイト」他の商標が2020年6月に確認されたためリリース準備を進めていると考えられていたが、結局は先に出願していた複数の商標を組み合わせて「ブラック・サージナイト」が正式タイトルとなった。βテスト段階の英題により「アビスフロント」とした場合は『アビス・ホライズン』(日本版は2021年2月に終了)と混同の恐れがあったものの正式タイトルには邦題・英題とも全く異なるものが採用され、略称の「艦F」に仮題の名残を留めている。
アズールレーンとの関係
Bilibiliは中国大陸において、本作と同じく艦船擬人化タイトルの『アズールレーン』(アズレン)を掛け持ちで運営している。
アズレンの日本版運営はBilibiliでなくYostarのため日本市場においては一転して競合関係となっており、本作の事前登録開始後にはTOKYOMXでアニメ『びそくぜんしんっ!』の前後に90秒のスポットCMを挿入するなど後発の立場から強く意識している節が見られる。
世界観
さあ、復讐の時間だ。
登場するキャラクターの総称は「ドール」と呼ばれており、正確には各陣営によって開発された「かつての艦船の名を冠したアンドロイド」である。
世界はかつて起きた謎の大災害によって激変しており、大地の大半が海に没した上、従来の艦船が軒並み動力を喪失するという事態が発生。人類は海洋資源の採掘のため、ドールを開発した……という設定である。
なお上記設定のため世界地図は現実のそれとは似ても似つかぬ形をしており、地名も一致しない。
現段階で確認されている陣営は銀翼財団(アメリカ海軍)、薔薇帝国(イギリス海軍)、神代会社(大日本帝国海軍)、黒鋒重工(ドイツ海軍)の四大勢力。大災害によって崩壊した従来の国家に成り代わって巨大企業組織が台頭しているという設定。
そしてプレイヤーである指揮官は、この四大陣営、ひいては人類に対して反抗するアビスドール達の陣営「黒潮」にて陣頭指揮を執るために「スヌープの目」なる組織から派遣されたところからストーリーは始まる。
他作品においてよくある「人類共通の敵」と言ったものが現状では存在せず(強いて言えばアビスドールを擁するプレイヤーサイドがしばしば「敵」と見做されうるが)、上記四大陣営がそれぞれにしのぎを削り合っており、ストーリーでは様々な思惑や陰謀が交錯するのが本作の特徴である。
その関係か四大陣営の何れも一枚岩には程遠く、内部抗争やら黒い実験やらなんやらと内側に問題を抱えていたりする他、状況によっては利害一致等により現場のドール達が独断で黒潮と協力・共闘したり、アビスドールと化した身内の保護を黒潮に求めたりと、その関係性はかなり複雑になっている。
ストーリーではドールだけではなく、固有名詞を持った人間キャラクターも多く登場する。
中国大陸製のゲームでは日本艦が変名とされることが多いが、繁体字圏に関してはそうした規制が無いため最初から実名が使用されている。また、驚くべきことにジャンル内では出し惜しみされることも珍しくない大和がスタートから半年弱と比較的早い段階で登場したことも特筆事項と言えるだろう。この行動力が期待を更に高まるアプゲーとなりつつあるかもしれない。
ただ、一方で基礎仕様とコンテンツのかみ合わせやイベント周りのバランスが全体的に悪く、特に行動力に相当するエネルギーの回復速度が最大回復量やコンテンツの内容と比較して遅すぎ(レベルアップによる完全回復等は無く、ただレベルアップ報酬として毎回30ポイント(現状出撃時の最低消費量が12ポイントなのでどれだけ多くても3回弱の出撃で消費し尽くしてしまう)が貰えるだけ)たり、露骨過ぎる程に課金を煽るようなイベントや仕様などが相まって、プレイヤーからの評判は正直あまり良くないのが現状であり、運営に対する不満の声も絶えない。
主な登場人物
指揮官
プレイヤーキャラクター。
この種のキャラとしてはやや珍しいことに立ち絵や一枚絵が用意されており、さらに性別の選択も可能。男女ともに目元が隠れた容姿をしている。
アビスドール達を匿い居場所を与えるために、ジュピター・ジュノー・親潮・ミスティらと共に世界を敵に回して奔走する。
ジュピター
元・薔薇帝国の駆逐艦アビスドール。
「天才」をたびたび自称するがその言動と行動はむしろアホの子。深淵覚醒前も覚醒後もあまり言動は変わらない。
割と考え無しに行動してしまい、トラブルを引き起こしてしまうこともしばしば……
なお日本版正式サービス開始後ほどなくして、何故か突然立ち絵が一新された。
ジュノー
元・銀翼財団の軽巡洋艦アビスドール。
元来はやや姉にべったり気味の天真爛漫なドールであったが、ある戦闘において財団に見捨てられたらしくアビスドール化。
現在は非常にやさぐれており、好戦的な言動が目立つ。
この経験から人類を唾棄しきっており、指揮官に対しても敵意が強い。
ストーリーではジュピターを挑発することも多い(そしてジュピターも「天才」を譲らないのでだいたい喧嘩になる)
親潮
元・神代会社の駆逐艦ドール。まだアビスドールではない。
指揮官の指示を仰ぎ、よく聞き、立ち回る忍者キャラ。
身分を隠して行動せねばならない一行においては明に暗によく働く。
裏を返せば一番苦労を背負い込みやすいポジションでもあり、おまけにジュピターとジュノーがすぐ喧嘩を始めるので頭を抱えることも……
ミスティ
アビスドール(であると思われる)。
「黒潮」における後方支援担当であり、基地を切り盛りし、状況分析等で指揮官を支える。
このためドールではあるが戦闘に立つことはなく、プレイヤブルキャラクターではない。
ゲーム中でのチュートリアルナビゲーターも務める。
「黒潮」の台所事情は当然ながらあまり芳しくなく、このあたりで相当苦労しているらしく、下手に物資を無駄にしようものならめちゃくちゃ怖いらしい。
なお「ミスティ」と呼ばれているが、メッセージ欄の英語表記では「Minstrel」と書かれている。
イベント
ここでは期間限定イベントで記述する。
関連イラスト
関連タグ
- ヴェルヴェット・コード - 同時期リリースの艦船擬人化ゲーム。
- ファイナルギア - Bilibili運営の近作。
- アーマード・コア - 世界が荒廃し、企業が世界の主導を握り、自社が作った兵器で争い合うといった共通点がある。
外部リンク
- 日本版公式サイト
- @blacksurgenight(日本版Twitterアカウント)
- Wikipedia