概要
本来、時間は過去→現在→未来と一方通行であり、当然ながら後の時間に起こることは前の時間に起こっていたことを土台とする。
しかし過去にタイムスリップし、後の時間に起こる事に符合しない影響を与えてしまった場合、未来は変わってしまうことになる。そしてその結果がタイムスリップ行為そのものに影響を与えた場合、矛盾が生じてしまうことになる。
例を挙げると、ある人が自身の産まれる以前にタイムスリップして、自身を産む前の父母を殺害したとする。或いは殺害しなくとも別の人と結ばれるよう画策すれば、少なくとも「その人が」産まれてくることはない。しかしそれは即ち、上記で父母を殺害した(或いは婚姻を妨害した)人物もまた「産まれてこなかった」事になる。
そうすると必然的に上記の件も「起こらなかった」事になり、やはり「その人」は産まれてくるため、過去に行って両親を殺害することになり……と、堂々巡りが起こってしまう。
このように、時間移動が可能なために起こってしまう矛盾(パラドックス)をタイムパラドックスという。
様々なパラドックス
- 親殺し:上記参照
- 情報のパラドックス
- いかさま師のパラドックス
- タイムトラベルで犯罪事件や人災系の事件に介入して「無かったこと」にする。これも「事件が阻止された時点でタイムトラベルを行う理由が無くなってしまう」という論理的な矛盾が発生する。『ドラえもん』では、デウス・エクス・マキナとしてこのパラドックスを多用しているが、あまりにも便利すぎる為かドラえもんのタイムマシンが故障する事で使用を制限する事が多い。『[[
君の名は。]]』におけるティアマト彗星被害の阻止、それに伴う記憶喪失などもこれに該当する。クレしん映画『雲黒斎の野望』では、時間犯罪者が行った「歴史改変による影響」が細かく描かれている。
- 生殖のパラドックス
解消の方法
- そもそも、干渉ができない。
- タイムトラベル先で歴史を改変するような行動を試みると必ず何らかの妨害が起こって改変に失敗する(後述の『歴史に折り込み済み』と組み合わされる場合もある)。本末転倒になってしまうが、宇宙(の因果律)が矛盾を許容しないために、過去へのタイムトラベル自体がどうやっても不可能なパターンもある。
- 歴史に折り込み済み。
- 「未来からタイムトラベラーが来て歴史改変した出来事が既に実際に起こっていた」「改変のために行ったはずの行為が史実における結果をもたらしていた」というパターン。映画『サマータイムマシン・ブルース』や『ドラえもん』の一部エピソードなどで採用されている。
- 自己無矛盾の法則
- 歴史の修正力
- パラレルワールド
- 詳細は当該項目を参照。この解決方法は更に、a:タイムパラドックスが発生した時点で分岐する説と b:元から分岐していた説がある。『ドラゴンボール』の人造人間編およびその続編エピソードで描かれている。『スクールガールストライカーズ』でも、Ep.3でこれについて言及するシーンがある。『仮面ライダー電王』はより現実的なa説を採用している。
- 宇宙が消滅する。
- タイムパラドックスが起こった瞬間にその宇宙がなくなることで矛盾を解消する。
- 徐々に影響が出る。
- 歴史改変の影響が段階的に現在世界に反映されていき、最終的に完全な別世界に塗り替えられてしまう。小説『サウンド・オブ・サンダー』や週刊少年ジャンプで連載されていた『封神演義』などが有名。
- そもそも、矛盾していない。
- 時間が過去→現在→未来へと順序よく並んでいるのではなく、過去と未来あらゆる時点が網目状に相互に結びついているので、「未来(であると同時に過去)に原因→過去(であると同時に未来)に結果」が普通に存在できる解釈。草野原々(節足原々)氏によるSF作品「最後にして最初のアイドル」(原題『「最後にして最初の矢澤」)で採用。
- その他
- 前述の『スクールガールストライカーズ』では結局、人智を越えた存在によって無理やり解決したと語られるシーンがある(ただし完全に解決した訳ではない)。このように、神などの高次元の存在によって、ご都合主義で解決させる方法もある。
- 一方『ウルトラマントリガー』のように、*過去改変の結果起きたタイムパラドックスを無視して強行突破する例もある。これはこれで物語は成り立つが、話の筋が通りにくくなるという諸刃の剣でもある。『スタートレック ヴォイジャー』の主人公キャスリン・ジェインウェイも「タイムパラドックスを解消する方法は簡単よ、考えない事」という迷言を残している。
- また、『アズカバンの囚人』のように、どういう原理で解消されたのかを曖昧にした作品もある。
関連項目
タイムトラベル パラドクス ループもの タイムループ 中谷悦次郎
パラレルワールド:上記パラドックスを解消させる手段の一つ。
- Steins;Gate(世界線)
- 上記の解消方法すべてのいいとこどりをしたもの。
- METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER
- シリーズ第一作以前の時系列を描いた作品なのでゲームオーバーの際、コンティニューしないと「TIME PARADOX」扱いになる。また、後の時代の作品でも引き続き登場するキャラクターを殺傷した場合も「TIME PARADOX」となってゲームオーバーとなる。
- Quantum Break
- 起きた出来事の改変は不可能となっており、どのように干渉しようと同じ結果となるが、観測された出来事に矛盾しない範囲であれば改変が可能となっている。
- 同作にはタイムトラベルに由来する未来視により未来がどうなるかを知って選択をする場面があるが、まだ起きてはいない出来事の為か改変が可能となっている。
- タイムパラドクスゴーストライター
- タイムパラドックスを主題に置いているが色々と物議を醸しだした作品。