概要
名馬というのは一般には性質・成績が優れている馬のことを言い、牝馬の名馬を一般的に名牝という。
競走馬の世界において名牝と呼ばれる基準はまちまち。
競走で優れた成績を残したもの、競走で一定の成績を残し、繁殖でも優れた成績を残したものといる。
良血統の牝馬ほど繁殖の期待値は高く、競走で優秀な成績を収めていても早めに引退させられてしまうケースがある。
一方、トウメイのような無名・傍流血統からの成り上がりで競走で優秀な成績を収める牝馬もいるが、繁殖入りに問題が無い牝馬を無名の血統だからと長く走らせる(繁殖入りを遅くする)事には批判も出るため、「名牝をいつ引退させるか」は馬主の悩みどころではある。
※以降の項目で上げる馬は一例かつ、執筆者の私見が入っていることを留意いただきたい。
日本の名牝
函館記念を制しダービー2着、牝系の子孫でシスタートウショウ・マチカネフクキタル・スペシャルウィーク・ウオッカなど輩出。
秋の天皇賞を制覇し、牝系の子孫でオグリキャップ・オグリローマン・キョウエイマーチ・マルシュロレーヌなど輩出。
3歳牝馬として史上初そして史上唯一の有馬記念優勝馬、牝系の子孫でサクラユタカオー・サクラスターオー・ウイニングチケットなど輩出。
牝馬として史上初の宝塚記念優勝馬、ナオキで宝塚記念親子制覇を達成。
牝馬として史上2頭目の秋の天皇賞と有馬記念優勝馬、史上初の牝馬の年度代表馬。テンメイで秋の天皇賞親子制覇を達成。
オークス馬。繁殖牝馬としてエアグルーヴを生み、きょうだいの子孫からも活躍馬を多数出して一代牝系を築いた牝祖。
1997年史上2頭目の牝馬の年度代表馬、ダイナカールの子。オークスの親子制覇を果たし、一流牡馬相手に互角以上に戦った「女帝」。繁殖でもG1馬2頭を生み、ダイナカール一族の中心的存在。
- ヒシアマゾン(USA)
GⅠ2勝など重賞9勝を挙げ、一流牡馬相手に互角以上に戦った女傑。牝馬として16年ぶりの有馬記念連対、日本の牝馬として史上初のJC連対、史上1位タイとなる中央重賞10戦連続連対記録も持つ。
牝馬2冠、エリザベス女王杯連覇など牝馬限定GⅠを5勝。牝馬限定レースに強く、3年もの長期間にわたり一流であった。
エイトクラウン以来39年ぶりの牝馬による宝塚記念制覇を達成、秋華賞とエリザベス女王杯も制しGI3勝。安田記念でも2着に入っている。
アメリカンオークスを快勝し日本馬で初めて米国G1優勝の偉業を成し遂げた。繁殖ではG1牡馬3頭を設けた。
2008年・2009年年度代表馬、早くから牡馬相手で使いこまれ、牝馬で64年ぶりのダービー勝ち、史上2頭目の安田記念連覇など常識を次々と覆した女傑。秋の天皇賞もレコード勝ち、日本の牝馬として史上初のJC制覇も達成。
名マイラーダイワメジャーの半妹でこちらも牝馬で有馬記念を勝った超一流馬。
2010年年度代表馬、牝馬2冠を達成し、秋の天皇賞とJCではスペシャルウィークとの親子制覇を達成。
2010年史上3頭目の牝馬3冠を達成、翌年ヴィクトリアマイルでブエナビスタを撃破、牝馬GI完全制覇まであと一歩だった。繁殖牝馬としてアカイトリノムスメを輩出。
ディープインパクト初期の最高傑作。トリプルティアラ達成し、その後は牡馬相手で戦い、ドバイシーマクラシックを勝つなど優れた実力を発揮した。
牝馬で初めて春秋グランプリ連覇を達成。その間にオーストラリアでも勝った。GⅠ4勝のうち3つが牡馬相手で、有馬ではアーモンドアイを下している。
近年を代表する歴史的名牝。トリプルティアラ達成しただけでなく、その後もマイル~中距離をメインにトップクラスの実力を発揮し続けて牝馬初の秋天連覇などGⅠ9勝を挙げた。
牝馬の名マイラー。桜花賞馬だが古馬になって本格化、マイル戦線を2年にわたり牽引しG1を6勝した他、ディープインパクト産駒初のスプリントG1馬となった。
凱旋門賞馬バゴの代表産駒である芦毛の秋華賞馬。グランプリ戦線で活躍、リスグラシュー以来のグランプリ春秋制覇、ゴールドシップ以来の宝塚連覇、グランプリ3連覇と古馬王道路線の筆頭格として活躍した。
世界の名牝
キングジョージを連覇しアイルランドオークス・マンノウォーS・ワシントンDC国際S・サンクルー大賞典などGI10勝、繁殖牝馬としてもダハールやリヴリアなど輩出。
フランス牝馬3冠・凱旋門賞・ガネー賞を連覇などGI8勝、ダリアに8戦全勝。
アイルランド2000ギニー・コロネーションC連覇・イギリスチャンピオンS連覇などGI9勝、キングジョージ2年連続3着・凱旋門賞2年連続3着。元祖・本家である「鉄の女」。
ヨーロッパの歴史的名マイラーでGⅠ10勝。繁殖でも大種牡馬キングマンボを出し、巨大なファミリーを構築した。
牝馬の凱旋門賞馬。繁殖で成功し大種牡馬ガリレオ・凱旋門賞馬シーザスターズを生んだ。
ナンソープSとアベイユ・ド・ロンシャン賞を制覇し1993年欧州年度代表馬、翌年もアベイユ・ド・ロンシャン賞を連覇し最優秀スプリンターに2年連続選出。繁殖牝馬としてもロックナンゲルでナンソープS親子制覇を達成。
2004年・2006年欧州年度代表馬
イギリスオークス・アイルランドオークス・ブリーダーズカップフィリー&メアターフ・香港ヴァーズなどGI7勝、繁殖牝馬としてもオーストラリアなど輩出。
2004年・2005年オーストラリア年度代表馬、メルボルンカップ3連覇・コックスプレート・シドニーカップ・オーストラリアンカップなどGI7勝。
2008年欧州年度代表馬、無敗でフランス牝馬3冠を達成し、3歳牝馬として26年ぶりに凱旋門賞を制覇。
85年ぶり史上5頭目の牝馬によるプリークネスS制覇を達成しGI5勝。
デビューから19連勝・2010年アメリカ年度代表馬・牝馬として史上初のブリーダーズカップクラシック制覇・GI13勝。
モーリス・ド・ギース賞を3連覇し、ジャック・ル・マロワ賞とムーランド・ロンシャン賞なども制覇しGI6勝。
ヨーロッパの歴史的名マイラーであり、欧米をまたいでGⅠ14勝。6歳まで長期にわたり現役を続けた。
ヨーロッパとアジアでGⅠ6勝を挙げ、外国馬では唯一日本G1連覇を果たしている。
デビューから25戦25勝し、1000メートル~1400メートルのGI15勝。
近年のヨーロッパを代表する歴史的名牝。凱旋門賞連覇などGⅠ11勝を挙げた。活躍が同時期のアーモンドアイと比較されることも。
43戦37勝しGI25勝、世界歴代賞金王。