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ザルカヴァ

ざるかゔぁ

フランスの元競走馬。00年代末のヨーロッパを代表する名牝。その驚異的な末脚を武器に生涯無敗を誇り、牡馬を相手に凱旋門賞を差し切って勝利し、欧州競馬の頂点に立つ。
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概要編集

アイルランド生まれで、フランスのアラン・ド・ロワイエデュプレ調教師が管理した。

フランスで牝馬2冠を達成した後、無敗のまま凱旋門賞で勝利しそのまま引退。7戦無敗、うちGⅠ5勝を挙げた。

ただの一度も負けることなく、牡馬を相手に凱旋門賞を勝利したその内容から、牝馬の活躍が多かった2000年代後半において、欧州最強牝馬の一角に挙げられる。


生涯編集

ザルカヴァは宗教指導者であるとともに、世界的なオーナーブリーダーでもあるアガ・カーン4世殿下がアイルランドに所有していた牧場で2005年3月31日に生まれた。ザルカヴァの5代母はイギリス2冠牝馬でチャンピオンステークスやコロネーションカップにも勝ったプティエトワール。近親に、フランスオークスに当たるディアヌ賞を勝ったザインタなど。アガ・カーン4世の祖父である3世の代から所有してきたこの牝系は、そのサラブレッドたちに原則としてイニシャルに"Z"をつけ続けていた。


アガ・カーン4世の専属調教師であったアラン・ド・ロワイエデュプレ調教師に預けられたザルカヴァは、2歳9月にオーナーの専属騎手でもあったクリストフ・スミヨンを背にロンシャン競馬場でデビューウィンを飾る。これ以降、引退までスミヨンが手綱をとった。その後2歳牝馬GⅠのマルセルブサック賞に出走し、馬群に閉じ込められながらも突き抜けると勝利を挙げ、2歳は2戦2勝の成績を残す。


3歳になるとフランス牝馬クラシックへと駒を進める。4月に復帰しGⅢグロット賞に出走して危なげなく勝利すると、続いてフランス牝馬クラシックの一冠目であるプール・デッセ・デ・プーリッシュ(イギリスで言えば1000ギニー、日本で言えば桜花賞に相当するレースである)に出走し差し切り勝ちを収める。この時2着に下したゴルディコヴァはのちにGⅠを14勝する名牝となり、また3着に下したハーフウェイトゥヘヴンはその後ナッソーステークスなどGⅠを3勝し、さらに繁殖入り後はGⅠ7勝を挙げた名牝マジカルや、ロッキンジステークスなどGⅠを3勝し、そして母としてディープインパクト最後の産駒の1頭であり、イギリスダービーをも制したオーギュストロダンを産んだロードデンドロンを輩出した。


続きディアヌ賞(仏オークス)も後方から差し切り勝ちを収め牝馬二冠を達成。鞍上のスミヨンはゴール前はもう追うことなく終始余裕があった。


夏を休養に充て、秋はフランス牝馬三冠のラスト一冠であるとともに、凱旋門賞を見据えて同じ条件で行われるヴェルメイユ賞に出走した。ザルカヴァはかねてからスタートが下手で、この時はとりわけスタートで大きく遅れてしまったものの、最後方から直線で一気の末脚を披露し、のちにドバイシーマクラシックで日本のブエナビスタを完封したダーレミを2馬身離して勝利を挙げた。


自信をつけたロワイエデュプレ調教師は凱旋門賞への出走を決定。この年の凱旋門賞も豪華なメンバーが揃っており、エイダン・オブライエンが管理し、前年のアイリッシュダービーを勝ったソルジャーオブフォーチュン、僚馬でこの年GⅠを連勝していたデュークオブマーマレード、前年に2着馬ユームザイン、ドイツダービー馬2頭、カムジンにスキャパレリ、無敗でジョッケクルブ賞(仏ダービー)を勝ち前哨戦のひとつニエル賞も制したヴィジョンデタ、そして日本の二冠馬で武豊騎乗のメイショウサムソンなどが出走メンバーとなっていた。この豪華なメンバーの中でもザルカヴァが1番人気に推された。


今回もスタートでヨレて後方からの競馬になったザルカヴァは道中から直線までずっと馬群の中で揉まれる苦しい展開に陥る。直線に入っても進路が空かず、鞍上のスミヨンが無理やり進路をこじ開けていくが既に残り300mというところまで来ていた。しかし、その絶体絶命の状況からザルカヴァは異次元の末脚を繰り出し、先行勢を瞬く間に斬り捨てあっという間に先頭に立つと、2着のユームザインを相手に2馬身の差をつけて勝利を掴んだ。


この驚異的な勝利から間もなく、馬主のアガ・カーン4世との協議の結果、ロワイエデュプレ師からザルカヴァの引退が発表された。通算成績は7戦7勝。2008年のヨーロッパ年度代表馬にも選出され、完璧な競走生活に幕を下ろした。


繫殖牝馬になってからもザルカヴァは活躍。産駒のザラックはサンクルー大賞に勝利し、種牡馬としてもGⅠ馬を輩出した。孫の世代からも重賞勝ち馬が出ている。2024年に繫殖牝馬を引退した。


特徴編集

スタート下手は生涯治ることはなく、それ故に毎度のレースで後方からの競馬を余儀なくされた。

しかし末脚は驚異的であり、ヴェルメイユ賞や凱旋門賞での劇的な勝利がそれを証明する。ザルカヴァは生涯無敗ではあったが、後続を千切り捨てて勝つわけではなく、2着につけた最大着差は3馬身だった。だが逆に接戦に持ち込ませることも他の馬に許さず、2着には必ず2馬身はつけて勝っている。


データ編集

性別
生没年2005-(19歳)
血統父:Zaminder/母:Zarkasha/母父:Kahyasi
馬主・生産者アガ・カーン4世
生産国アイルランド
調教師アラン・ド・ロワイエデュプレ

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