ソフィスト
そふぃすと
概要
かつては「知恵ある者」という意味だったが、現代では「詭弁家」を指す単語。前5世紀ごろの古代ギリシャで広まり、代表人物にプロタゴラスなどがいる。
元々は相対主義思想を広め、それに反対する者を排除するために生み出された存在で、議論の際、真理の追究を進めるのではなく、相手を論破し議論に勝つ事に固執した人間を言う。
議論を問題解決の場ではなく勝ち負けの場としか認識しておらず、「自分がいかに頭がよく見えるか」「かっこよく見えるか」「自分がいかに議論の主役として目立つか」が目的のため、専門知識の本質を理解しないまま浅知恵を披露する、論点のすり替えを行う、都合の悪い意見を感情論認定して排除するなどといった策略に走るのが常套手段で、当然ながら議論自体は全く進まない。
元ネタになった古代ギリシャではこのような弁論術を金で売って民衆に広める家庭教師として定着していた。ただし現代風に言うなら家庭教師というより情報商材屋や自己啓発セミナーの類と呼んだ方が近い。
このように教養人・哲学者とは程遠い存在であり、ソクラテスはこの事態を危惧して問答法を提唱した。
ギリシャではソクラテスにより化けの皮を剥がされたのみならず、政治家にソフィストが跋扈した結果デマゴーグによる暴民政治が発生しアテナイが崩壊に繋がったという史実があるため、この言葉は基本消極的な意味合いで用いられることが多い。
大衆が詭弁に騙されれば独裁やディストピア化にも繋がりかねないため、民主主義の最大の天敵・脆弱点とも言える。さらに情報戦の弱さが指摘される日本の場合はマスコミからの人気が非常に高く、日本人の議論がすぐに人格攻撃に傾倒しやすいのもあって、ますます危険な存在である。
二次創作・リアル問わず脛に傷持つ慇懃無礼な人物が多いのも特徴である。
また、マスコミに自分達の存在の正当性を証明するため知能犯や犯罪組織の一員も兼ねていたりすることもある。逆に論破されると短気な本性が露呈し、すぐさま人格攻撃や誹謗中傷に切り替えてくることも。
ソフィストの概念を知らない人こそあっさり騙されるが、逆に知っている人からは単なる「口喧嘩が強いだけのトラブルメーカー」「詐欺師」と冷笑されがち。
インターネットとソフィストの相性
近年ではインターネットの普及によって、このソフィストが量産される事態が危惧されている。
というのも
- アナログ時代は高学歴や読書を趣味に持つ人間だけを警戒すればソフィストの特定は容易だったが、ウェブ辞典などの普及でまったく知識がないものでも最低限のパソコン知識さえあれば即席で知識を得ることが可能となった
- 自分の支持者を装ったサクラを自分の周りに付けることで弁論術以外の手段でも自分を優位に見せられる偽装が可能となった
- 前もって対談相手を厳選し、絶対に勝てる相手しかいない空間を動画サイトで見せることが可能となった
- 主にSNSとYouTuberの普及により、専門知識がなくても発言するだけで大衆が意見を鵜呑みにしてしまうほどの影響力を持つインフルエンサーが増加してしまった(ハロー効果)。
など一般人でも自分を上辺だけ賢くかっこよく見せる手段がインターネットに豊富なためである。
特にインフルエンサーに関しては「現代版ソフィスト」という認識を持つ者も少なくない。
元々インターネットとは軍事技術であり、上述のアテナイの末路を考えても、ソフィストはインターネットの用途を先祖返りさせてしまう危険性を秘めてしまっている。
関連タグ
洗脳 詐欺師 口喧嘩 無責任 自己中 独善 にわか ああ言えばこう言う
インフルエンサー ネットde真実 情報商材 自己啓発 無能な働き者
デマゴーグ 暴民政治 モラルハザード ディストピア 慇懃無礼 サイコパス
正論:ソフィストに洗脳された信者がソフィストを称賛する時に多用する単語の一つ。
Amazon.co.jp:レビュー欄が日本のネット屈指のソフィストの溜まり場となってしまっている。投稿者と投稿者の断片的な考えは筋が通っていても、指摘されている商品の問題点を論点をずらした屁理屈で擁護する内容が目立ち全く解決されないまま放置されていたり、承認欲求を満たしたいがあまり中には商品の中身に1%も触れていない内容も多かったりと酷い有様になっている。大企業のステルスマーケティングが発覚した例も珍しくないため、弁論術に長けたソフィストのサクラを企業専属で雇っている事となる。
松下政経塾:出身者は味方を増やしたり政治生命を延ばしたりするためだけの弁論とパフォーマンスだけは一流だが、政治家としてはむしろ事態を悪化させる人間しかいないため「ソフィスト育成機関」と非難されている。
コミュ障:記事内の「話下手タイプ」がソフィストに該当する事が多い。