概要
小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されているweb小説であり、後にそれに加筆修正がくわえられてGCノベルズから書籍版が刊行された。イラストは孟達。異世界転生ものであり、「乙女ゲー世界」と銘打ってはいるが、転生先の世界観は妙にSFじみており、謎が多い。
略称は「モブせか」。
2018年10月よりコミカライズ版がComicWalkerにて連載中。作画は潮里潤。
メディアによる差異
本作品は2019年9月現在、Web小説・書籍・コミカライズの3種類の媒体でメディアミックスされており、各媒体で設定が多少異なる。
Web小説
全媒体の原作。詳細は前述のとおり。
2017/10/01から連載され、2019/10/15にてweb版本編は終了した。
三嶋与夢のメモ帳にて、不定期ながら短編が掲載されている。
書籍小説
メディアミックスの原典。Web小説に大幅な加筆修正が行われた。さらに孟達先生のイラストが挿入された事によりキャラクターデザインが定まった。
GCノベルズより2022年現在10巻まで刊行。
以下続刊予定で11巻、12巻の発売も決定している。
書籍版では内容の追記や修正、イベントの追加、新キャラの追加、オリヴィアとアンジェリカの出番大幅増加など、WEB版よりもより専念されている、ただしWEB版と比べて過激な発言が一部修正されていたりする。
4巻以降となる4章共和国編より大幅に構成、内容、設定を変え、web版とは別ルートに分岐しており、WEB版既読でも先が読めない展開となっている。
さらに書籍3巻以降のGCノベルズWEBアンケート特典としてマリエルートを連載中。
2021年には公式のTwitterが開設された。
マリエルート/あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です
書籍3巻以降、書籍帯のアドレスから飛べるGCノベルズアンケートページにてアンケートに答えると特典として観覧することが出来る本編のIFルートで現在も書籍版が発行される度に1話ずつ連載している、話数も1話でラノベ半数分あるというボリューム。
2022年6月に超大幅加筆での書籍化が発表され、『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です』のタイトルで同年12月に発売予定。
コミカライズ
書籍小説版を基本としているが一部設定が簡略化されている、コミックウォーカーとニコ静画にて月間連載中。
書籍版で挿絵がないキャラもイラストが付き、ところどころWEB版のネタを使っていたりとファンサービス溢れる内容となっている。小説版と比べると登場人物達のリアクションはかなりハイテンションな面があり、些細な形だがリオンが小説版では犯さなかったミスをやらかす描写もある。
単行本には原作者書き下ろしのSSが記載されている他、カバーを外すとネタイラストが毎回載っている。
また漫画作者のツイッターアカウントにて書き下ろしイラストなどが掲載されているので、フォローしておくと良い。
アニメ
2021年11月にアニメ化が発表され、2022年4月から同年6月中旬までAT-X、TOKYOMX、BS日テレ、読売テレビで全12話が放送された。アニメーション制作はENGI。
同年12月末に第2期の制作決定が発表された。
書籍小説版とコミカライズ版を基本としているが、過激な台詞やシーンを含めた一部描写や設定が省略されるなどしてカットされている。
しかし、マリエによるユリウスへの平手打ちなど、逆に原作では描写されていなかった重要場面が描かれる事もある。
以下項目は書籍版を主な情報源として記述。
ストーリー
※以下、書籍版公式サイトより引用。
「イケメン死すべし!」
剣と魔法の“乙女ゲー”の世界に転生した元日本の社会人だったリオンは、その女尊男卑な世界に絶望する。この世界では、男なぞは女性を養うだけの家畜のようなものであった。例外なのは、ゲームの攻略対象であった王太子率いるイケメン軍団ぐらいである。
そんな理不尽な境遇において、リオンはある一つの武器を持っていた。そう前世で生意気な妹に無理矢理攻略させられていたこのゲームの知識である。リオンはその知識を使い、やりたい放題の女どもとイケメンに、はからずも反旗を翻すのだった。
登場人物
個別記事、及び『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界ですの登場人物』を参照。
メカニック用語
- 鎧
パワードスーツのようなもの。中に人が入って操縦するため、人型をしている。現在は機動性に優れた小型軽量タイプが主流。決闘にも使われる。人以外の種族は乗りこなせない。ハーフエルフには可能性が残されているが、作中で乗りこなしたハーフエルフはいない。
技術体系が異なるアロガンツやギーアも便宜上ここに含まれる。
アルゼル共和国での戦いでは、ルクシオンがアロガンツの他に5体の鎧を追加で製作している。突貫工事で作ったため、性能はアロガンツより劣ると嘆いている。とはいえ、ロストアイテム除く現行の鎧に比べたら十分チートアイテムである。各機の外装はホルファート王国での決闘でリオンが壊した5人の鎧を参考にしている。
- シュヴェールト
アトリー家から贈呈されたエアバイクをルクシオンが改造した物。公国との戦争時はリオンの生存率を上げる為にアロガンツと合体できるようさらに改造され強化パーツと化した。合体後はホーミングレーザーとバンデルから奪ったアダマティアスの大剣を解析して作成した同性質の大剣を装備。
- 飛行船
浮遊石と呼ばれる鉱物で浮いている船。作中世界では一般的な乗り物で形も様々。
貴族冒険者は飛行船で冒険するのが常識である。
リオンの飛行船はアインホルンやリコルヌの速度についていけるので整列走行もできる。
技術体系が異なるルクシオンやイデアルも便宜上ここに含まれる。
- 偽装船パルトナー
ルクシオンの内装を見られて無用な緊張が生じるのを防ぐためにリオンが建造させた飛行船。追加装甲を付けたルクシオンと外見が同じで船員も全てロボット。ルクシオンとは比べるべくもないが、戦闘能力は非常に高い。
公国との戦争の終盤で撃沈され、そのまま失われたことになっていたが、密かに修復された。
web版では最終的にアルカディア内部に突入する囮として使われ、完全に沈められた。
- 王家の船ヴァイス
愛するパートナー同士でないと動かせないとされている。2人の絆を点数式で表現するジョークグッズが封印の役割になっているので生易しい装置ではない。ルクシオンの本体が建造された時よりも遥かに昔に金持ちが道楽で建造した新婚旅行用の民間船でその2年後に夫婦は離婚したとのこと。
ヴァイスという名前はルクシオンが付けている。
1作目主人公リビアと王家の船ヴァイスが組み合わさると敵味方関係なく戦意を喪失させる強力な精神攻撃を行う事ができ、ゲーム1作目と3作目ラスボスすら消し去ったが、魔装黒騎士には通用せずリオン達が戦意喪失している間に船への攻撃を許してしまい沈められてしまった。
精神攻撃の脅威度は王国側にとっても高い為、ヴァイスは修理せずあえて沈めたままにする事でリビアやアンジェの暗殺の危険を排除した。
- アインホルン
ホルファート王国の代表として恥ずかしくない飛行船という王宮の要望でルクシオンが用意した二百メートル級の一本角が特徴的な飛行船。アルゼル共和国への留学(世界の危機の回避)の為に作られた。また留学していた方が安全なマリエ一行の緊急避難先でもあった。
- リコルヌ
クレアーレが用意したアインホルン級の二番艦。一番艦のアインホルンを参考にクレアーレが小型化、高性能化を目指した改良をしている。アルゼル共和国に留学したリオンに会いに行く為にリビアとアンジェが乗ってやってきた。
後にクレアーレの独断で王家の船の装置と聖樹の若木が積み込まれてパワーアップしている。
web版において帝国との決戦時に撃沈された。
ロストアイテム
乙女ゲーでは課金アイテムとして存在する。
旧人類側の遺した科学兵器もあれば、新人類側の魔法生物もある。
旧人類側の人工知能を持つ科学兵器も存在しており、旧人類の遺伝子を持つものしか使用できない。旧人類の遺伝子の割合が高ければ高いほどロストアイテムとの相性はよくなる。
詳細はロストアイテムを参照。
他用語
冒険者組織。
- 旧人類
新人類に敗北したルクシオン側の科学勢力。穏便派でさえ新人類文明に嫌悪感を示し、マスターであるリオンに新人類殲滅の許可を得ようとしてくる。
魔素に対する耐性が低く魔素が濃い場合命に関わる。
- 新人類
旧人類に勝利した魔法を使える人類。ルクシオン曰くリオン世代の新人類の子孫は弱体化している。後に、現在の新人類は旧人類と新人類の血が混ざってる状態で、ホルファート王国の人間は旧人類の血を色濃く残し、神聖魔法帝国の人間は新人類の血を色濃く残している事が明らかになる。
旧人類と異なり魔素がないと生きては行けずそれが後の生存競争に繋がる。
- 転生者
リオンのように前世の記憶を持つ存在。転生者は転生元の人間の性格に近い人物に転生する模様。または本来ゲームに存在しない人物として転生するケースもある。
前世の記憶と出身国名までは思い出しても前世での名前は誰一人思い出せず、予言を行った謎の大手ゲームメーカー所か、ファミレスなどの店や企業の名前も思い出せないので前世の境遇(家族環境や日本文化など)を語る事などで判別する。人工知能のルクシオン達でさえリオンの転生者発言が半信半疑だった時期が長かった為に国内でさえ団結できない異世界人に話しても無駄所か、無用な混乱を招くと考え、同じ転生者と人工知能のあるロストアイテム以外に正体をばらしていない。
異世界で転生者の存在を知ったのは聖樹の守護者の力を得てレリアの前世の記憶を見たエミール、その後はマリエの話を聞いた5馬鹿と死者の国でリオンの前世家族と出会ったアンジェとリビアのみである。
ルクシオンから旧人類の遺伝子も持っている事が確認されたが、魔素のある環境でも生きられるため謎が多い。
浮島を持つ領主。
魔法を使う亜人種族の1つ。
ホルファート王国の奴隷。
- 魔素
魔法を使うのに必要とされるエネルギー。旧人類にとっては毒。旧人類が敗北したきっかけ。
- 空賊
飛行船で略奪行為をする犯罪組織。聖女の首飾りを所有していた。
ホルファート王国にある貴族女性の組織。
聖女の杖、腕輪、首飾りを鑑定できる組織。
乙女ゲー1作目に神殿が認定する存在。
- 黒騎士
ゲーム1作目のラスボス。ゲームでは公式チート扱いされるほどの強敵で前世のリオンは課金アイテムを購入する羽目になった。性能は接近戦のクリスや遠距離のジルクを上回っている万能型。異世界ではバンデルの二つ名と同時にファンオース公国の精鋭部隊である為、複数の黒騎士が襲ってきた。
- 魔笛
ファンオース公国が所有する魔物を操る特殊な二本の笛。使い手はヘルトルーデとヘルトラウダ。
旧文明が崩壊した後に建てられた文明に制作され、契約した術者の魂を触媒にして魔物を操る。通常の魔物なら疲労程度で済むが、ラスボスである守護神と呼ばれる超大型魔物の召喚には命を落とす。
この魔物は正確には召喚ではなく、周囲の魔素を用いて笛に組み込まれたデータが実体化された物のため、何度撃破してもすぐ再構築されてしまう。
乙女ゲー2作目に登場するアルゼル共和国の資源。
リオンが六大貴族と交渉する為に用意した人質ならぬ物質。
謎の大手ゲームメーカーによって作られた乙女RPG。
登場国家・場所
アルトリーベシリーズ1、3、6作目の舞台。他国と違い歪んだ形で女尊男卑文化がある。
英語風の名前が多い。
- ファンオース公国
1、3作目のラスボスが所属する国家。かつてはホルファート王国の一部だったが、武力で独立をもぎ取った歴史を持つ。ホルファート王国とは因縁浅からぬ関係で度々戦争になっており、相当な憎悪を持っているが、切っ掛け自体は王国を裏切った大公(後の初代公王)の暴走。
オランダ語風の名前が多い。
アルトリーベ2作目の舞台。
フランス語風の名前が多い。
- リオンの浮島
ルクシオンを手に入れた後に発見した浮島。リオンは最初独立してスローライフをする為に開拓して独立する予定だったが、公国戦などの事情で王家に譲る事になった。その後リオンが王になったので浮き島は結果的に戻ったが、様々な組織から命を狙われているマリエ&ダメンズ一行や処刑された事になっているミアなど敵国の姫だったヘルトルーデや退位したローランド王以上に表向き外に出せない関係者を軟禁し保護する場所となった。
- 地球
リオン前世の世界。地球人は旧人類側の勢力で新人類に敗北して絶滅した事がルクシオンによって判明した。
- エルフの浮島
エルフ達が住む浮島。マリエ一行が金策対策の為、王家に護衛を押し付けられたリオン一行と共に冒険者稼業を行うつもりで訪れた。ルクシオンの仲間である管理AIが眠っており、エルフ誕生の真実を知っている。存在意義を失った管理AIは悪用される前にルクシオンに残った全ての技術と魔装の残骸を押し付けて自爆した。
エルフ達は古の魔王の怒りを恐れていたが、天罰が軽くすんで幸いと考えた。
エルフの浮島の里長は予言者でリオン学園生活1年目で登場し、リオン、リビア&アンジェ、マリエ、ヘルトルーデ達を占った。
- ラーシェル神聖王国
ミレーヌ王妃の実家と敵対している国。ミレーヌ王妃が英雄リオンと仲が良く圧倒的な力を持つリオンの懐柔が実質不可能と考えた結果、学園生活3年目にホルファート王国に不満を持つ使い捨ての反乱勢力やテロ勢力を利用して王国にダメージを与える目的でクーデターを仕掛けさせた。魔装を暴走させたテロが得意。次は王国に不満をもった地方領主貴族の利用を計画している。のちに神聖魔法帝国に協力した。
- レパルト連合王国
ミレーヌ王妃の実家がある国。弱小国家が集まってラーシェル神聖王国に対抗している。ミレーヌをローランド王に嫁がせることでホルファート王国と同盟を結んでいる。
web版では本編終了後の短編で初めて国名が判明したが、書籍版では共和国編で名前が出てきている。
- ヴォルデノワ神聖魔法帝国
アルトリーベ3作目主人公の出身国。
web版では7章から3作目主人公ミリアリス・ルクス・エルツベルガーとその関係者がホルファート王国に留学して学園生活3年目のリオンに関わってきた。転生者は護衛騎士のフィン・ルタ・ヘリングと皇帝バルトルト。
ドイツ語風の名前が多い。
新人類側のロストアイテムを多数所有しており、魔装の使い手である12人の護衛騎士たちを擁する。名前が出たのは序列第一階位フィンと序列第三階位帝国剣聖リーンハルト・ルア・キルヒナーのみ。序列第二階位は名乗る前にドーピングしたリオンに倒されてしまった。
リオンやルクシオンら旧人類勢力との8割の勝率をさらに上げる為に皇王バルトルトはラーシェル神聖王国などの他国に呼びかけた。協力国の中には英雄リオンを恐れた旧人類側の国も混ざっているが、その旧人類側の国々が生存戦争の真実に気づく前にリオンと旧人類勢力の主力を潰すつもりでいた。なお皇帝バルトルトは敗戦した時の手も用意していた。
- 死者の国
あの世の一歩手前の世界で仮死状態の魂の状態で行く事ができる。また聖女の禁術蘇生魔法で魂だけでいく事ができる。死者の国にいる者達は生前で快適な年齢の姿で存在したり、地球のある程度の事情を知る事ができる。リオン前世家族もいて、妹の娘以外の家族評価はだいたいあっていた。マリエ、アンジェ、リビアの説得でリオンを連れ戻した。あの世の門は死者の国側からしか閉める事ができない。
- オシアス王国
アルトリーベ4作目の舞台。ホルファート王国から離れた砂漠大陸の王国。男子校に通う男装女子が主人公。王となったリオンは学園卒業後の数年後に教師として潜入した。web版ではリオンの乙女ゲー世界に振り回されるオチとして使われた。
関連タグ
小説家になろう 転生(転生もの) ロボット SF 剣と魔法の世界
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