書籍情報
書籍版「町人A編」
コミカライズ版
原作 | 一色孝太郎 |
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漫画 | 目黒三吉 |
レーベル | アース・スターコミックス |
既刊 | 5巻(2024年現在) |
作品情報
一色孝太郎氏によって創作され、『小説家になろう』及び『カクヨム』に2020年8月より投稿連載が始まったネット小説で2020年10月に本編終了。
2021年2月28日以降は『番外編』および『後日談元町人A』が年に数回散発的に更新されている(「導きの杖」封印編)。(ただしなろう版のほうはマナーの悪い読者達による誹謗中傷が相次いだのが原因で2021年12月31日をもって本編公開が終了して、後日談しか閲覧できなくなっているので注意)
2021年3月よりアーススターより書籍化。同年7月より同社のコミックサイト「コミック アース・スター」にて漫画版が連載開始。
これらの「商用版」はネット連載分の「増補版」にあたる。
概要
正式なタイトルは前述の通りだが、コミカライズ版のタイトルは『町人Aは悪役令嬢をどうしても救いたい ~どぶと空と氷の姫君~』と少し変化している。
主人公の8歳の少年アレンはある日、大きなくしゃみをした弾みに前世の記憶と自分の生きるこの世界は前世の自分がプレイしていた乙女ゲーム『マジカル☆ファンタジー~恋のドキドキ♡スクールライフ~』そのものである事を知る。
そしてそのゲーム通りに運命が進んでいけば、自分や母の暮らしている王都及び町が滅ぼされてしまうことを悟り、アレンはその運命を変え、更には件のゲームに登場する悪役令嬢アナスタシアを救うべくゲームの知識を元に活動及び活躍していく。
あらすじ
王都の貧しい母子家庭で育つ8才の少年アレンは、母子二人で貧しいながらも幸せな生活を送っていた。ところがある日、前世の記憶が突然蘇った彼はここが乙女ゲームの世界で、このままでは王都が戦争によって滅亡することを思い出す。
このままでは母も自分も殺されてしまう!
そんな危機感を覚えた彼は大切な母の命を救うため、そしてその乙女ゲームで唯一気に入ってた悪役令嬢アナスタシアをそのあまりにも悲惨な破滅エンドから救い出すため、成り上がりを決意する。
これは、ゲームの登場人物ですらない彼がその固い意志で努力を続け、持てる知識の全てを使って逆転する物語である。
(以上、カクヨムの作品ページのあらすじより抜粋)
登場人物
ラムズレット陣営
アレン(元航空エンジニアの転生者)
本作の主人公たる少年で、件の乙女ゲームにおけるいわゆる町人A(町人アレン)。
元々はセントラーレン王国の王都ルールデンに住む母子家庭の少年だったが、前世の記憶とこの世界(乙女ゲーム)の辿る末路を知った事で、それに抗うべく行動していく。
隠密と風の加護を得た事で錬金で作成した銃とグライダーを使った戦闘や奇襲や空爆や暗殺が中心の戦闘スタイルとなる。しかし、元々加護を持たない一般の平民が知識チートを活用して加護を手に入れた上で努力を積み重ねただけに過ぎない為、剣術はオーク討伐位の実力が関の山だった。
切り札の銃を封じられた状態では加護を持った剣の師匠や一流の暗殺者に狙われるとほぼ詰んでしまう程度の実力であって、努力を怠ったとはいえ加護を持つエイミー貴族一行と直接対決となると苦戦は免れなかった。
前世は航空エンジニアであり、同時に重度のガンマニア(銃ヲタ)。前世でも男性ではあったが、体育会系なのにヲタな姉(乙女ゲーのキャラや物語そのものは好きだが、ゲームプレイは大嫌いなタイプのヲタ)に無理矢理スチル収集のための周回プレイを押し付けられていた。そのため本人は乙女ゲーそのものには非常に辛辣である。
「思考回路が子供時代に戻っている」事で判断能力が前世の大学生時代よりも迂闊な行動をとりやすくなった事による油断で大ピンチになる事も多い。他の悪意ある転生者に彼の正体がバレた事で大賢者や光の精霊やワイバーン夫婦がいなかったら一生後悔した程の大失敗を町人A編で数回やらかしていた(悪意ある転生者対策・エスト帝国対策・捕虜エイミー貴族一行対策)。グライダーを始めて飛ばした時やエルフに捕まった時は単に彼の運が良かっただけと言える。
それでも冒険者ギルドの盗賊退治や帝国や周辺国との戦争で前世転生者特有とも言える救いようのない甘さは冒険者たちの指導と村人の子供達が盗賊の犠牲になりかけたお陰である程度修正されたのが、不幸中の幸い。
所詮子供返りした元凡人である為、多少戦い慣れても予測不能な事態には非常に弱く動揺してしまったり、貴族社会ならではのポーカーフェイスが下手という欠点が目立つが、アナスタシアのフォローにより落ち着いて対処していく。
アナスタシア・クライネル・フォン・ラムズレット
件の乙女ゲームの悪役令嬢であり、本作のメインヒロインである公爵家の令嬢。貴族である為、【騎士】の加護があるので主人公の最大の弱点である直截対決による戦闘力不足を大幅に補う戦闘スタイルに落ち着いた。
将来の国母となるべく勉学や魔法の鍛錬を積んでいる実直な令嬢であり、いかなる時(ぶっちゃけプライベート時)にも礼節を欠かさない。しかし王子からは、その実直さや生真面目ぶりを疎まれている。
かつて王子とともに「王宮内の仕組みを知るための社会見学」として騎士団にて訓練を受けていた(そして王子が横着をしたために騎士の雑務が生真面目な自身に舞い込み、その実直な人柄が騎士団の面々に好まれた)ため、口調が女性言葉ではなく騎士的なものになっている。
原典よりも殿下が駄目になった為、殿下との仲は冷めきっており、子供を産むだけの政略結婚と割り切り既に殿下を見限っていた。
他の悪意ある転生者に彼女の身につけるエルフの里の装備品を見られる事で転生者の介入に気付いて目を付けられ、彼女はエスト帝国に送られ「暗所に閉じ込められる拷問」を受ける羽目になった(光の精霊ローに護られエルフの里の装備品は悪意ある転生者の手に渡らなかった)。
貴族社会の悪意には慣れていても常識外の悪意には適応できない為、洗脳された敵や悪意ある敵には対応できず罠に嵌るが、光の精霊ローの祝福により精神を壊される事は免れ、ドラゴン夫婦により救出される事で事なきを得ていた。
セントラーレン王国
セントラーレン王国は蟲毒の魔女が存在せずとも愚物の国王を中心に堕落しきっており、セントラーレン大臣に能力があっても逆らう意思は無い為、エスト帝国の分析通り立て直しは困難。原典では王国の食料の要でもあるラムズレッドを亡ぼして自滅を促進させる為、最初から救いようが無かった国だった。
ラムズレット陣営がセントラーレン王国を見捨てる選択を選んだのは道理だったと言える。
件の乙女ゲームのヒロイン(女主人公、プレイングキャラクター)である男爵令嬢。母親が男爵の「お手付き」になったがゆえに生まれた庶子で、男爵家に迎え入れられるまでは王都の下町で平民として暮らしていたという設定。
詳細は個別記事を参照。
カールハインツ
アレンたちの住むセントラーレン王国の王太子。乙女ゲームの攻略対象となるメインヒーロー。貴族である為、【英雄】の加護を持っていたが、努力を怠った為にワイバーンすら討伐出来ない生半可な実力で打ち止めとなり、最終決戦時点ですら銃を封じられた町人Aを苦戦させる程度の能力しか獲得できなかった才能の持ち腐れのヘボヒーローのまま退場した。問題解決後は第二王子の甘い恩情により王同様に幽閉の罰で済んだ模様(実際は各国の洗脳被害状況を見たセントラーレン王国がどさくさに紛れて【蠱惑の魔女】に全ての罪を擦り付けたとも言う)。
マルクス
宮廷魔術師長であるバインツ伯爵家の嫡男。乙女ゲームの攻略対象ヒーローの2人目。
ラスボス(笑)メンバーでありながらも決着後も息があったのでアナの回復魔法で一命を取り留めた。その後は第二王子派になり、書籍版3巻では多少の汚名返上の機会があった。
レオナルド
近衛騎士団長ジュークス子爵の嫡男。乙女ゲームの攻略対象ヒーローの3人目。成績下位の常連。
将来の騎士団長を嘱望されているが、絵に描いたような脳筋かつ貴族の名を汚す人間のクズ。努力を怠っていても【騎士】の加護を持っているので【英雄】のバフがのった状態で主人公に攻撃さえ当たれば致命傷は与えられる。簡易洗脳されていたとはいえ上位貴族への強盗未遂行為を開き直り、平民を侮辱しながらアレンに致命傷を負わせていたので最終的にアナスタシアに制裁された。
オスカー
セントラーレン王国でも一番の大富豪であるウィムレット侯爵の嫡男。乙女ゲームの攻略対象ヒーローの4人目。目が覚めた後はセントラーレン王国の第二王子側についた。
クロード
セントラーレン王国の西側にある隣国『ウェスタデール王国』の第三王子。乙女ゲームの攻略対象ヒーローの5人目。決闘騒動後、隣国に戻され実質幽閉され病気を患ったは出番無し。
エスト帝国
セントラーレン王国の東側にある侵略国。力を覚醒させていなかった【蠱惑の魔女】の存在を除けばセントラーレン王国の実態をほぼ正確に把握していた。アレンの介入により厄介なラスボス国家にはならなかったが、アナスタシアを長期に渡って意識不明にし、アレンに帝国の魔毒を与えるだけの打撃は与えた。アナスタシアを魔剣で洗脳して帝国の暗黒騎士に変えようとしていた。洗脳したアナスタシアからアレンの情報を知った場合、空爆能力を持ったアレンも手に入れようとしたと思われる。
首謀者達がアレンに暗殺された後もラムズレット領の独立を支持してセントラーレン王国の戦力を削ったり、彼らの結婚式に参加したりと強国なりの対応を取っている。
エルフの里
グライダーで『無詠唱』のスクロールを探してリンゼアの村と誤認して離陸した際にエルフ達に拘束され連れてこられた場所。『風神の加護』を持っていた事で悪霊退治に協力する事になり解決しエルフ達の信用を勝ち取った。
エルフ女王陛下の子供であるツンデレエルフの姉シェリルラルラ(通称シェリー)、光の精霊ローと契約した妹ミリルレルラ(通称ミリィ)と交流をもった。
ツンデレエルフの姉シェリーはアレンを10年に一度行われる夏祭に誘ったが、アレンに相手がいると分かると引き下がった。妹のミリィは光の精霊ローと契約した影響でツンデレ姉よりも出番が多い。
本編では魔物の代わりに悪霊が登場したが、原典では魔物に襲われるイベントが発生する予定だった。
神・精霊・賢者・モンスター
風の神様
原典では登場しないが、ジェロームの婚活協力が面倒になって風の神殿に『風神の書』を置いていったという原典裏設定が明らかになった。アレンの心を読んで未来の事態を把握した風の神様はワイバーンロードのジェロームの婚活協力と達成を条件にアレンの目的である『風の加護』を与え、アレンと契約した。
書籍版1巻登場後は本編で出番がないが、web版元町人A後日談(導きの杖封印編)では『導きの杖』が悪用され【蠱惑の魔女】を生み出した事による不具合が発覚した事により導きの杖の封印をする為に氷の女神と共にアレン達に依頼(神託)を出した。
氷の女神
web版元町人A後日談(導きの杖封印編)に登場したアナスタシアが契約した存在。
風の神様と交流があり、アレン達に『導きの杖』を封印する依頼(神託)をだした。
ジュローム君&メリッサちゃん
風の神殿に住んでいるワイバーンロード(後にスカイドラゴンに進化)達の事。
アレンがジュロームの婚活を手伝いメリッサと付き合う事に成功した。後に彼らはアレンとアナスタシア達のピンチに駆けつける形で借りを返し、アレンとアナスタシアの大恩人となった。原典より子供が産まれるのが遅く、子供シエルちゃんの登場は書籍3巻後半となった。
彼らがアレンとアナスタシアの結婚式に参加して彼らを祝福する事でスカイドラゴンを恐れた各国は空爆能力のあるアレンの暗殺を諦めた(ワイバーン単体すら脅威なので実質ドラゴンの群れを束ねるボスの暗殺は不可能)。
元の原典だと唯のボスモンスターとして立ちふさがり、親子諸共お花畑全開の押し込み強盗達に蹂躙される運命だった。しかし、努力を怠ったエイミー貴族一行では風の神殿の雑魚モンスターのワイバーンすら倒せる実力が身につかなったので茶番で済んだ。
無私の大賢者ロリンガス(元童貞のおっさん転生者)
エルフの里に現れた悪霊の正体でアレンの眼には不審人物の変態が映っていたので話し合いとアイテム提供で解決した。転生者アレンにのみ彼本来の喋り方をしている(生前も死後も残念な本性を隠し続けて世界の人たちを落胆させない器用さは恐らくダントツで転生者一だろう)。致命的な失敗をしてもアナスタシアを護り、救ってくれた事でアレンの評価が変態から大恩人に変わって敬語を使おうとしても普段の喋り方でいいと言われそれに従っている。
書籍版1巻の賢者になる前の未熟な過去と2巻の賢者になった後にアナスタシア達に会った時の過去が収録されている。web後日談元町人A編にも登場している。
後にweb版後日談で隠蔽効果のある段ボールによる錬金で創ったと思われるマジックアイテム登場でアレンはロリンガスを転生者と認識するが、書籍1巻のアレンの「魔法使いのおっさん」という台詞で「童貞じゃない」と返す辺り、最初から彼が元童貞の転生者という答えが出ていたとも言える。
アレンにとってはアナスタシアや家族たちを敵の悪意から護ってくれた大恩人なだけに世の中知らなくてもいい事もあるとロリンガスの残念な事実(遠くから笑顔の子供達を見守るのが好きなだけの無害な変態)については無害なので黙認した。
原典ではエルフの里の迷いの森を出られず餓死で亡くなっており、『無詠唱』スクロールを持っていた。
光の精霊ロー
悪霊を退散させた後に800年ぶりに登場した無私の賢者ロリンガスに連なるロリ精霊的存在。光の精霊ローの契約者はミリルレルラ(通称ミリィ)。ミリィが光の精霊ローに身体を貸す事で精霊が見えない相手に伝言を伝える事も出来る。
エルフの里に行く決断をしたアナスタシアが光の精霊から加護を得た為、アレンの致命的詰めの甘さから生じた数々の悪意から護られ彼女は意識不明な状態で済むだけで済んでいた。
元の原典では女主人公であるお花畑ヒロインに聖女の祝福を与え『慈愛の聖女』にする存在だった。
専門用語
マジカル☆ファンタジー
転生前の世界にあったゲームであり、島国世界の原典。異世界には当然原典に載っていない情報があったり、転生者がいたりする。元ネタのように続編は今の所存在しない。
転生者
異世界に前世の記憶をもって存在する者。子供時代に前世の記憶を思い出す事もあれば、馬車にひかれた時に残念な前世を思い出すケース等がある。書籍版町民A編完結全三巻時点では3人登場した。
魔剣
エスト帝国が所持していた意思を持つらしい魔剣。原点ではアナスタシアを暗黒騎士に変えてラスボス化させる為の道具だったが、アレンによって回収された。
多くの子供を虐待して生贄に捧げて創られたという残酷な設定がある。
完全浄化できるのは「慈愛の聖女」のみであるが、光の精霊ローはそのような人物は世界に存在しないと断言した為にエルフの里に封印し、数百年かけて浄化する事になった。
導きの杖
元は風の神様が『聖女』を生み出す為に造り出した裏設定満載の道具だったが、聖女の素質を持った者による悪用を全く想定しておらず、素質を持った者が自らの欲望によって【蠱惑の魔女】を生み出し王国を中心に魔女の洗脳による洒落にならない被害を出した。(それでもエスト帝国による蹂躙よりはずっとマシなルートだった)
風の神様が「人類には過ぎた代物だった」と封印を決断した。アレンとアナスタシアに封印の場を探す依頼(神託)を出した。
聖女
清らかな心を持つ者が光の精霊ローの祝福を受け、導きの杖に他者を救いたいと願う事でなれる存在。光の精霊ローによると癒しの聖女、祝福の聖女、拳闘の聖女、慈愛の聖女等が過去に存在した。
原典では『本来ならお花畑からある程度脱却し、努力したエイミー』が『慈愛の聖女』になる素質があったが、転生エイミーが悪しき心を持った為にその資格が無くなったという才能の持ち腐れケースもある。
アレンの奮闘により、原典には存在しない『氷の聖女』を誕生させる事に成功した。
魔女
魔の力を持った者であるが、魔女によっては意外と交渉可能な人格者であったり、頭の悪い狂人だったりするが、能力によっては洗脳魅了等を悪用される事で頭の悪い魔女でも生きているだけで脅威となるので即討伐されるのがオチである。
森の魔女、蟲毒の魔女等が存在する。
余談
なお、pixiv内に同タグで投稿されているイラストは本記事のメイン画像として使用されているものを除き全てR-18……しかも殆どがこれらに分類されるようなものなので注意。
転生ヒドインは小悪党や序盤の敵役の踏み台としては便利だが、同レベルの争いに巻き込む事で主人公やヒロインの魅力を大幅に下げてまでマンネリ延命し続けるとクレームが発生してなろう版本編が削除される等の事態に発展するので同一のつまらぬ雑魚敵の乱用は禁物である。トラブル回避の為にも用済みの害虫はサクッと消すのがコツである。
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関連作品
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です:小説家になろうに掲載及びコミカライズ化もされている作品。本作とは『乙女ゲーの世界に異世界転生した男主人公がゲーム知識を駆使して破滅の未来を変える』と展開が似ており、『悪役令嬢が(主人公のお相手としての)ヒロイン』といった共通点もあるが、『作中の(転生先の乙女ゲームの)女主人公はエミリーとは全く異なる立ち位置である』という相違点がある。
外部リンク
小説家になろう内での作品ページ※後日談のみ
カクヨム内での作品ページ※更新頻度は年に数回