知識チート
ちしきちーと
小説家になろうやカクヨム等のWeb小説サイト……もしくはそこで読める作品が書籍化したライトノベルの人気ジャンルの一角である転生ものや異世界もので用いられるズル(チート)の一種である。
主人公が別世界に転生や転移、召喚等で降り立った際に、その世界が自分が元々暮らしていた世界で嗜んだりやり込んだりした創作作品(ゲーム、漫画、アニメetc.)の世界だった場合、その作品世界に関する知識や情報……特に今後起こる物語の展開(及びその背景事情やキーポイント)を把握しているというとても大きなアドバンテージを得ることができる為、それに対して『知識チート』という呼び方がされる。
そのため、ジャンル及び得られる恩恵としては、未来予知や逆行・ループものにも近い。
なお、主人公が転生する場合は『原典に存在するキャラクターに憑依転生する』というパターンや『原典には存在しない事実上のオリジナルキャラクターとして転生する』というのが主である。
知識チートの活用例
- 裏技やバグ技により、普通なら負け確定の戦闘を乗り切る。
- 作品世界の主人公(プレイヤーキャラクター)より先回りする事で、強力な装備品(アイテム)や頼りになる仲間を得る。
- 登場人物の抱える問題や悩みに対して最序盤(特に本編開始前)の内から手を打っておくことで、それが原因となって起きるより大きな問題(その登場人物の悪堕ちや闇堕ち、大規模な戦争がその筆頭格)を未然に防ぐ。
- 能力が低い等の短所から周囲から見下されているモンスターやキャラクター・人物が実は優れた素質を持っている(進化や転職などの条件を経る事で飛躍的に有用さが出てくる)と自分だけが知っているため、チャンスのある内に青田買いの如く味方に引き入れる事で、これまた知識チートを駆使して育て上げて頼れる戦力にする。
- 複雑に入り組んだ迷宮やトラップ、特定の手順を踏まないと攻略できないモンスター(ボスキャラ)やギミックといった初見殺しに完璧に対処できる。
当然ながら、主人公が降り立つことになる作品を隅から隅まで完璧に把握する程の知識(情報)を持っていなければ、知識チートになりえないため、主人公は下記のような描写・設定付けがプロローグの段階でなされていることも珍しくない。
- 転生(転移・召喚)先となるゲームをオールクリアする程にやり込んでいる。
- 「自分の趣味ではないが兄弟や姉妹にやらされた」等の理由付けがされるパターンもある。
- オンラインゲーム(MMORPG)ならば、ランキング上位の実力者である。
- 書籍やアニメなら、第一話から最終回まで完走した(何なら全てのメディアミックス作品やファンブック等の副読本込みで完全制覇した)。
しかしその一方で
- 完全な知識を持っていなかったために盲点を突かれる。
- そもそも作品で描写されていない事象に関しては対応できない。
- ゲームと異世界では人物の性格や常識が違うこともある。
- 自分や他の転生者(転移者・被召喚者)が干渉したせいで元の作品とは展開が変わり、知識が通用しなくなってしまう。
といった形でピンチを迎える作品も多い。
単純な主人公の無双や俺TUEEE展開にせず物語に波乱を持たせるため、以下の要素が組み込まれる場合もある。
主人公以外の知識持ちの存在
主人公と対立する悪役として、「主人公と同じ現世から作品世界に降り立ったイレギュラーである」「更に主人公以上の知識チートを備えている」といった存在が登場するパターン。
立場としては主人公と同様に転生者、被召喚者、転移者、もしくは作品内のキャラクター(例:作品世界の本来の主人公等)への憑依転生者として登場し、悪徳勇者や悪女(転生ヒドイン)の形を取るケースが代表例となる。
これに属する悪役も「主人公の奔走で知識チートが役に立たなくなる」他、「自分は主人公なのだから、何をやっても許されるといった思考で作品世界で好き勝手に過ごした結果、因果応報な破滅の末路を迎える」といった要素を備える場合も少なくない。
(シナリオ/歴史の)強制力・修正力
一種の予定調和。
作中の世界が異物(イレギュラー)たる転生者(被召喚者・転移者)が展開を変えようとすることを認めず、本来の流れに戻そうとする大いなる力(例:主人公が原典通りなら死ぬはずだった人物を知識チートを駆使して助けたのに、何故か直後に主人公ですら知らない・予想できない事件や事故が起こる等の別の理由で死んでしまう等)が働く。
知識チートの天敵たる負のご都合主義、悪い意味でのデウス・エクス・マキナと言える要素。
記事冒頭で「現代に普及している技術や文化・思想の知識を異世界に持ち込むのは現代知識チート」と注釈を付けたが、「現代知識」についてはカテゴリが曖昧になる領域もある。
それは、「逆行転生・タイムスリップで同じ世界の過去の時代に飛んだ際の歴史知識活用」である。
この場合の知識活用は「過去の事実としてその時代で何が起きたのか知っていることを利用して立ち回る」こと(大手にのし上がる企業の株や競馬で優勝する馬券を買って大儲け、起きる戦の原因や敵の戦術への対処等)が主になり、性質としては対物語の知識チートに近い。
なので、こうした歴史知識チートを知識チートと現代知識チートのどちらの区分に入れるかは見解がまだ一致しない部分もあり、今後の議論が待たれる。
(現代社会内で直接実用されている技術・システム等に関する知識を用いるのが現代知識チート、現代社会を運営する上では使われていない限られた分野内の事実にまつわる知識を用いるのが知識チート、と分類するのが妥当か?)
異世界もの 異世界転生 異世界転移 異世界トリップ トリップ
転生 転生もの 未来予知 予言 タイムスリップ 逆行 逆行転生 歴史
:前述の通り、知識チートを持つ者には通用しない罠。
:原典通りなら破滅の未来(悪役・敵役である自分が主人公に倒される、作中で起こる戦争・災害・事故で亡くなる等)が待っているモブキャラや悪役に転生・憑依転生してしまった主人公が、自分が知っている作品の知識をフル活用して破滅の未来を回避しようと奔走するケースも珍しくない。特に悪役令嬢ものに属する作品は殆どがこれに該当する。
:知識チート持ち主人公の目的となる場合がある、もしくは主人公を起点として結果的に生じる。
主人公としては上述の自己保身以外では「お気に入りのキャラクターを訪れる悲劇から救いたい」「自分が降り立った世界で良くしてくれた人達を死なせたくない」といった理由から行うのが定番である(場合によっては身の回りの人物だけでなく、一族や国や世界を救う事もある)。
一方で自己保身優先で滅亡を迎える国を脱出して次の生活に備える転生者も多い。
:こちらも主人公を起点に生じる結果の一つ。主人公当人としては寝取りや横恋慕の気は毛頭もないのに、作品世界の主人公より先にご対面が成立したり、知識チートを駆使した活躍・それによる手柄により、原典通りなら特定の相手(主に作品世界の本来の主人公)と結ばれるはずだったキャラクター(主人公のカップリング的な相手となるヒロイン・ヒーロー)を結果的に奪ってしまった。というパターンもある。パラレルワールドではよくある事のひとつと言える。
:我々が今生きる世界に関する知識チートを得ることができるとされる概念。現地主人公が知識チートを得たり駆使する場合は正確にはこれに属する。
:我々が特定のゲーム作品に対して知識チートを発揮できるようになる書籍。予言書に近い。
:二次創作で知識チートを用いる場合の関連タグ。
:原作知識を持たない主人公が、原作知識を持つ他の転生者を頼って間接的に知識チートする場合もままある。