概説
2018年にKADOKAWA、サミー等の出資により設立されたアニメ制作会社。本社は東京都中野区にあり、現在の代表取締役社長は元グラフィニカのプロデューサー、吉岡宏起。
本社スタジオの他、北海道に札幌スタジオ、岡山県に倉敷スタジオを設置している。制作会社としては新興だが、3D制作の設備が充実していることから後述の元請作品以外でも他社の下請として3DモデリングやCGパートの制作に参加している作品が多い。
ロゴは角川と同様に縁起の良い動物であり、こちらは疾走するキツネである。
特徴
KADOKAWAが筆頭株主である関係上、設立以来ほとんどの元請作品は同社刊の漫画やライトノベル等が原作、そうでなくとも同社がコミカライズを刊行するなど一定の関与があるものばかりだったが、2023年になり講談社が原作を刊行している『メダリスト』を初の純グループ外原作タイトルとして制作することになった。しかし、依然としてアニメオリジナルの企画は1作も無い。映像ソフトの発売も全てKADOKAWAだが、いわゆる本社(旧角川書店)系の「KAxx-」と旧メディアファクトリー系の「ZMxx-」が混在しており、両方の派閥から幹部が取締役に名を連ねている。
大半のテレビシリーズ作品において大株主でもあるパチスロメーカーのサミーが制作委員会に名を連ねており、パチスロ機用のアニメーション制作も主要業務となっている。2023年には台演出を担当した『スマスロ北斗の拳』が大ヒットを記録した。
設立から半年後に最初の元請作品として発表されたのは、2015年3月の発表時点ではディオメディアが制作予定だった艦これアニメの続編(商業上の理由から「第2期」として扱われているが、2022年の発表時には前作とのストーリー上の連続性を否定している)であった。ところが、その後は続報が途絶えたまま3年が経過し、予定が立った時点では後から発表された無関係なテレビシリーズ6作の方が先に放送されている。しかも、2022年秋期では前作のディオメディア(4作同時)には及ばないものの3作同時進行、かつ監督が2作掛け持ち状態であり、元請のテレビシリーズでは初めてサミーが製作委員会に参加しなかった。
元請作品の大半でデジタル作画部ディレクターの三浦和也が監督に起用されているが、2022年秋以降は外部から監督を招くケースも見られるようになった。所属アニメーターの橋本隆希が描くアクションシーンに定評があり、特に『探偵はもう、死んでいる。』第1期1話(メインイラスト)や『新米錬金術師の店舗経営』第11話が代表的。
スタジオ公式のTwitter(現X)は、創業5周年を経過した2023年5月に開設された。
作品一覧
元請作品のみ。発売の「K」は本社(旧角川書店)・「M」は旧メディアファクトリー・「(未)」はどちらのブランドが扱うか未公表であることを表す。
※「原作(ブランド)」は「KADOKAWAグループ内でそのタイトルを受け持っている媒体のブランド」と言う意味であり、特にゲームの開発・運営に関わっていることを意味するものではない。
テレビシリーズ
発売 | タイトル | 放送時期 | 監督 | 原作(ブランド) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
K | 旗揚!けものみち | 2019秋 | 三浦和也 | 漫画(角川書店) | 元請デビュー作 |
K | 宇崎ちゃんは遊びたい! / ω(2期) | 2020夏、2022秋 | 三浦和也 | 漫画(富士見書房) | |
M | 究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら | 2021春 | 三浦和也 | ラノベ(メディアファクトリー) | |
M | 探偵はもう、死んでいる。 / Season2 | 2021夏、未定 | 栗原学 | ラノベ(メディアファクトリー) | |
M | 乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です / 2 | 2022春、未定 | 三浦和也、福元しんいち | 漫画(富士見書房)※コミカライズ | ※1 |
M | 新米錬金術師の店舗経営 | 2022秋 | 博史池畠 | ラノベ(富士見書房) | 初の外部監督起用、※2 |
K | 「艦これ」いつかあの海で | 2022秋 | 三浦和也 | ゲーム(角川アーキテクチャ) | ディオメディアからの企画譲渡 |
K | 経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。 | 2023秋 | 大庭秀昭 | ラノベ(富士見書房) | ※3 |
K | Unnamed Memory | 2024春、2025冬 | 三浦和也 | 新文芸(アスキー・メディアワークス) | |
(未) | メダリスト | 2025冬 | 山本靖貴 | グループ外(講談社『月刊アフタヌーン』連載漫画) | 初の純グループ外原作 |
※1:原作小説の刊行はグループ外のマイクロマガジン社。
※2:コミカライズの刊行はグループ外のキルタイムコミュニケーション。
※3:コミカライズの刊行はグループ外のスクウェア・エニックス。
ウェブアニメ
発売 | タイトル | 配信時期 | 監督 | 原作(ブランド) | 備考 |
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M | おでかけ子ザメ | 2023夏 | 槙麻里奈 | 漫画(掲載誌:エンターブレイン、単行本:中経出版) | YouTube公式チャンネル |
K | GAMERA-ReBirth- | 2023秋 | 瀬下寛之 | 特撮映画(角川映画) | Netflixオリジナル |
※どちらも公式コラボレーションが実現している。
関連タグ
- StudioKADAN:同グループの制作会社で、3Dアニメーションに特化している。
- サンジゲン、ライデンフィルム:出資元のウルトラスーパーピクチャーズを通じて関係あり。
- キネマシトラス:業務提携あり。
- 動画工房:2024年に兄弟会社化した。
- 異世界はスマートフォンとともに。2:2023春放送のアニメ。原作小説の刊行元はグループ外のホビージャパン、映像ソフトの発売元はポニーキャニオンだがKADOKAWA(角川書店)がコミカライズを出しており、ENGIがJ.C.STAFFからグロス請けの形で実制作を行っている。
- 竹達彩奈:元請作品での起用率が高く、4タイトルに出演している。