これから ここに紹介するエピソードは
その時に この岸辺露伴が偶然取材した不思議な話であり
『実際に この耳で聞いた』 恐怖の出来事なのだ
概要
第4部『ダイヤモンドは砕けない』に登場する漫画家、岸辺露伴が語り手となる外伝シリーズ。
これらの作品は原作を露伴が手がけ、作画を荒木飛呂彦が担当したという設定になっている。
それぞれ独立した短編のエピソードからなる。
あくまで露伴は主人公ではなく「事件の目撃者」であり、解決に奔走することはほとんどない。
またナンバリングも時間系列どおりとは限らない。
本編とは一部の設定が異なる一巡した世界の可能性の話もあり、「六壁坂」で小林玉美と音石明そっくりな男にサインをねだられるシーンや、エピソード6では『東方一族の私有地だ。』という台詞から第4部と設定が違う様子がうかがえる(「ジョジョベラー」によると「ジョジョリオンの隣の世界」)。
2013年にそれまで発表された作品をまとめたコミックスが発売された。
2016年のTVアニメでは、DVD初回限定盤にオリジナルストーリーのアニメが収録される。
2019年に新作ovaとして『懺悔室』『ザ・ラン』制作決定した。
現在は、すべてのアニメ化作品をNETFLIX限定で視聴することが可能。
作中には第4部のキャラクターがゲスト的に登場する。なお「リーゼントで学生服の男」はなぜか顔が映らない。もちろんこれは東方仗助を示唆しているわけだが、第4部そのものではないようだというバランス感の上に成り立っている。当時連載中だった「ジョジョリオン」では東方定助、吉良吉影、空条仗世文らについてのミステリーが展開中という状況もあったからかもしれない。
作品としてはジョジョシリーズの外伝というよりは、作者が形にしてみたいアイディアを漫画にする際の便宜的な主人公(語り手)として岸辺露伴を採用しているだけで、各短編どうしでの時系列やジョジョシリーズとの設定の整合性等には拘らず意図的に曖昧にしているようである。
スピンオフ作品として、短編小説集『岸辺露伴は叫ばない』『岸辺露伴は戯れない』がある。
エピソード一覧
単行本1巻収録
「エピソード#16 懺悔室」
週刊少年ジャンプ1997年30号掲載。
東方仗助との戦闘による負傷で連載を一時期中断することとなった露伴。
ストーリー新展開のためイタリアに取材旅行した彼は、協会の懺悔室でとある男の恐ろしい告白を聞く。
「エピソード#02 六壁坂」
ジャンプSQ2008年1月号掲載。
取材のため、山を買い取り破産した露伴。
担当編集者に原稿料の前借りを依頼する彼が語ったのは、その山に存在する奇妙な妖怪伝説だった。
「エピソード#05 富豪村」
週刊少年ジャンプ2012年45号掲載。
道路が一つもない山奥に存在する11件の別荘地。
その別荘の所有者である富豪たちは皆、おかしな事に「別荘を買った後に」成功していた。
2020年12月28日に実写版が放送された。
「エピソード#06 密漁海岸」
週刊少年ジャンプ2013年46号掲載。
杜王町のヒョウガラ列岩で採れるクロアワビ。
トニオ・トラサルディーは恋人の病気を治すため、露伴に密漁の協力を仰ぐ。
「岸辺露伴 グッチへ行く」
SPUR 2011年10月号掲載。
祖母の形見であるグッチの鞄。
入れた紙幣が忽然と消えるという奇妙な現象を「修理」するため、露伴はグッチの工房を訪れる。
GUCCIとのコラボ企画。
作中内でキャラクターが着ている服も可能な限り正確に再現されている。
単行本2巻収録
「エピソード#4 望月家のお月見」
2014年9月22日にWebコミックで無料公開。
中秋の名月にかならずお月見をする、とある一族の怪奇譚。
「エピソード#7 月曜日-天気雨」
ジャンプSQ2016年1月号掲載。
杜王駅で体験した携帯電話にまつわる奇妙な怪奇現象。
「エピソード#8 D・N・A」(掲載時は#9)
別冊マーガレット2017年9月号掲載。
山岸由花子から呼び出しを受けた露伴は、奇妙な身体的特徴を持つ少女について相談を受ける。
「エピソード#9 ザ・ラン」(掲載時は#10)
2018年2月26日発売の週刊少年ジャンプに掲載。
スポーツジムを舞台に、肉体改造に取り憑かれた橋本陽馬と露伴がルームランナーで勝負を繰り広げた。
「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」
単独で単行本化、フランス語版有り。
漫画家としてデビューする前、露伴は2ヶ月間祖母が経営するアパートに厄介になる。
そこで共に暮らす藤倉奈々瀬から、彼女の故郷の地主の家からルーヴル美術館へと買い取られていった「この世で最も黒く、最も邪悪な絵」の話を聞かされる。
「エピソード#10 ホットサマー・マーサ」
2022年3月19日発売のJOJO magazine 2022 SPRINGに掲載。
「エピソード#11 ドリッピング画法」
2022年4月19日、5月19日のウルトラジャンプに掲載。
岸辺露伴は動かないシリーズでは初となる、前後編での構成となる。
実写ドラマ化
詳細は、当該記事を参照。
余談
元々は『週刊少年ジャンプ』1997年30号の「ジャンプリーダーズカップ」に当時連載中のジャンプ作家10名がそれぞれ読切を描くこの企画で、当初担当編集から執筆の際に「スピンオフや外伝としての作品は禁止」とされていたので露伴がいないバージョンで描かれていたのだが、「狂言回し」としてのキャラクターが欲しくなり露伴を据えた「懺悔室」が掲載されたことでこのシリーズが誕生した。
荒木「ドジャーン。スピンオフが出来ちゃいました(笑)。」
pixivでは主にタグよりも露伴の作品タイトルになっている事が多い。
そのため、作品によっては「岸辺露伴は動かないシリーズ」に関係のない作品にも使われる。
また、応用の利きやすいタイトルのためか、「岸辺露伴は○○」 「○○は動かない」など様々なバリエーションが存在する。
公式の英語版タイトルは"Thus spoke Kishibe Rohan"。
これはドイツの有名な哲学者ニーチェの代表作『ツァラトゥストラはかく語りき』の英語版タイトルをもじったもので、上記の英題は『岸辺露伴はかく語りき』といった感じの意味になる。
「岸辺露伴はあくまで語り手であり、主人公ではない」という本作の基本ルールをよく表しているネーミングと言える。
青山剛昌は岸辺露伴を探偵として見ており、名探偵コナンの単行本カバーの折り返しに付属している青山剛昌の名探偵図鑑の101番目の人物として青山剛昌書き下ろしの岸辺露伴のイラストが描かれた。尚、青山剛昌のお気に入りエピソードは、富豪村。
日テレ系バラエティ番組『ぐるナイ』の不定期コーナー「誰ダレ?コスプレショー」でしょこたんこと中川翔子が岸辺露伴のコスプレを披露。芸能界のオタク女王の超本気度高めなコスプレに両方のファンからは大絶賛を受けたが、当の本人はジョジョ立ちに気合いを入れすぎて決めゼリフの「だが断る」を言い忘れてしまったそうである。
関連項目
夢幻魔実也:夢幻紳士シリーズの主人公。多様な形式のあるシリーズ作品の中で、物語の主体にならず傍観者として後始末をするだけであったり成り行きを見届けるだけの立場で登場する事もある点がこのシリーズでの露伴の扱いと似ている。