概要
名前の由来は『見せかけ・まがいもの』を表す『モック』とドキュメンタリーの合体語であるとも「まがい物」のいみのあるマクリー( mockery )から転用したものとも言われ、「フェイク・ドキュメンタリー」とも呼ばれる。
映画やテレビ番組のジャンルであり、架空の人物や集団、出来事などに関して『記録映像風の動画の挿入』や『関係者へのインタビューが挟まれる』といったドキュメンタリーの定法が多用され、そこから生まれるリアリティが大きな魅力となっている。
1999年にホラー映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』がヒットしたことで有名になったジャンルである。
相性のよい作品としては信憑性が増すホラー、実際のことがわかりづらいSF、コメディなどであるといわれる。
この言葉が生まれたの少なくとも1960年代であると思われ、当時はテレビは映像を作ることが難しく、映像作品より『宇宙戦争』のようなラジオで発生したのが最初ではないかと推測されるが、詳しいことは不明である。
日本においてもフジテレビ系列で「ある事情により放送禁止となっているVTRを再編集し放送する」というふれこみで放送された『放送禁止』や、日本テレビ系列で「どこかにいそうでいない人」のドキュメンタリーを流す『ぜんぶウソ』など、いくつかの番組が制作されている。
また放送当時は明言こそされていなかったが、テレビ朝日の『水曜スペシャル』で放送されていたアフリカ等に未確認生物の発見に行く『川口浩探検隊シリーズ』もこの一種であったと言えよう。松本人志第1回監督作品『大日本人』にもこの手法が用いられている。
「フィルムエストTV」や「TAROMAN」など、映像加工をして過去に本当に放送された番組と思わせるものもある。
類似する言葉・概念
いわゆる『モンド映画』は、観客の見世物的好奇心に訴える猟奇系の映画であり、ドキュメンタリー的手法を用いるため、混同されることがある。
なおこの名称に関しては、この種の映画の走りである『世界残酷物語』の題名である「Mondo Cane」( イタリア語で「犬の世界」 )を取り「Mondo …」と題名がつけられることが多かったためつけられた題名であり、イタリアやアメリカ合衆国で作られたものが多く、その後日本の資本で作られたものも存在する。
なお、これらの作品は1980年代以降は海外が近くなったことにより秘境が失われたこと、また過激なものが求められたため映画館での興行が難しくなり、テレビの深夜放送、あるいはビデオ作品に移行した。
これらの作品はたいてい「実際に存在した」といっているが実際には大多数はやらせを含む。
小説の分野においては、モキュメンタリー誕生以前から「実際に起こった出来事についての記録」という体裁を取る作品が数多く存在している。
ロビンソン自身が記した自伝という体裁を取った『ロビンソン・クルーソー』や、ワトソン博士が友人であるホームズの活躍を記したという設定の『シャーロック・ホームズ』シリーズなどがよく知られた例として挙げられる他、とある事件についての米国政府機関の報告書とされる『アンドロメダ病原体』のようなパターンもある。
モキュメンタリー一覧
ANOTHER MONSTER-The investigative report-