解説
MARVELのコミックに登場するヒーローチームであり、種族の名前でもある。
1965年にコミック「ファンタスティック・フォー」#45にて初登場した。
クリー帝国によって作られた人造人間。
コミックでは、太古にクリー人が太陽系に来た際に、たまたま捕縛したエターナルズを再現する為に(注:コミック版のエターナルズはMCUとは違い地球人の亜種)、ネアンデルタール人を改造して作った、という「地球と他の惑星との両方に起源が有り、かつ、他の超人種族とも関連が有る」というMARVELらしいてんこ盛り設定の種族。
それ単体では特殊能力を持たず、「テリジェン」と呼ばれる物質を使い「テリジェネシス」という変異を経てインヒューマンズになる。
ただし、このテリジェンという物質で能力を発現してインヒューマンズとなれるのは、クリー人により作られた「最初のインヒューマンズ」の子孫のみ(最初のインヒューマンズの子孫だからと言って能力が発現するとは限らないが、最初のインヒューマンズの子孫でない者は絶対に能力は発現しない)で、後述するようにテリジェンが「毒」として作用する者達すら存在する。
カマラ・カーン / 4代目Ms.マーベルもインヒューマンズであるが、もちろん、後述するアティランで生まれ育った者達と、テリジェンが地球に流出して生まれた者達では、同じインヒューマンズでも文化/思想は大きく違う。
月に「アティラン」という一大国家を築いており、ブラックボルトを王とする絶対王政を敷いている。
アティランにおいて、前述の『テリジェンによる能力に覚醒』は、未成年が成人の一員となる為の通過儀礼の一種(明治時代以前の日本の武士階級における『元服』のようなもの)とされている。
一見、理想の治世を実現しているように見えるが、テリジェネシスによって発現した能力をもとにした差別問題も発生している。
要は、インヒューマンズの国家であるアティランは超電磁マシーンボルテスVのボアザン星人の「角」を「能力が発現したか?」に置き換えたような一種のディストピアである。
ある意味で、「一般人か奴隷か?」の選別基準が、ボアザン星人の「角」という「原始時代には何かの役に立ったかも知れないが、科学技術が発達した社会では象徴的な意味しかないもの」ではなく、「能力」という具体的なものである分、余計にタチが悪いとも言える。
また、『能力』に覚醒したとしても、
- 水中で自由に活動できるが、体が半魚人のような外見になり、地上では特殊器具無しでは長時間の活動・生存は不可能
- 背中から生えた翼で空中飛行ができるが、肌が緑色に変色し、髪の毛が羽毛のようになる
- 植物を自在に操れるが、自身の体も樹木のようになっている
等々………人間の感覚で言えば怪物扱いされるような特異な外見や社会生活が不自由になるような体質になってしまう事も珍しくは無いが、大半のインヒューマンズにとってはそれでも『能力が目覚めないよりはマシ』という感覚である。
ただし、アティラン以外で生まれたインヒューマンズ(カマラなど)は、そんな社会体制はよしとして居ないか、インヒューマンズの本拠地であるアティランが、そんなロクデモない場所だとは知らないかのどちらかである。
また、MARVEL世界の地球のもう1つの超人種族ミュータントにとって、インヒューマンズを覚醒させるテリジェンは有毒物質であり、テリジェンが地球各地に大量に漏れ出してしまった際は、数百万人の「自分がインヒューマンズの血を引いている事を知らなかった一般人」がインヒューマンズとしての能力に目覚めた事もあって、ミュータントとインヒューマンズの間に対立が起きた。
キャラクター
- ブラックボルト:インヒューマンズの王。小声で囁くだけでも都市一つを破壊する威力がある『声』の持ち主。そのため、常に無言を貫いている。
- メデューサ:ブラックボルトの妻で、インヒューマンズの女王。自分の髪の毛を触手のように操れる。能力の関係で言葉を発せられない夫の代わりにその意思を代弁する役を担当している。
- マクシマス:ブラックボルトの弟で、インヒューマンズの王位を狙う宿敵。他人の精神を操れる。周囲からはキ〇ガイ扱いされている。
- カルナク:ブラックボルトの従兄弟。あらゆる物の『弱点』を見抜く事ができる格闘技の達人。
- ゴーゴン:ブラックボルトの従兄弟。地面を踏み締めるだけで地震を起こす山羊のような脚の持ち主。短気な性格で人類に不信感を持っている。
- トライトン:ブラックボルトの従兄弟でカルナクの兄弟。半魚人のような外見をしており、水中で自由に活動できる。ただしその代わり、地上では特殊な装置を使わないと長時間の生存が不可能というネイモア・ザ・サブマリナーの劣化交換的な存在
- クリスタル:メデューサの妹。地水火風の四大元素を操れる。クイックシルバーことピエトロ・マキシモフとの間に娘・ルナをもうける。
- ロックジョー:クリスタルのペットである軽自動車サイズのブルドッグ。テレポート能力を持ち、念じるだけで異次元に行ける。一時期3代目Ms.マーベルことカマラ・カーンの家に同居し、彼女のサイドキックになっていた事がある。
MCU
単独ドラマ「インヒューマンズ」が2017年に製作された。
残念ながら1シーズンで打ち切りになった。
また、「エージェントオブシールド」にも登場する。
基本的な性質は原作と変わらないが、クリー人によって作られた人造人間ではなく、クリー人が地球人類を遺伝子レベルで改造した改造人間であり、原作のミュータントと近い存在になっている(これはウルヴァリンなどミュータント達がX-MENバースの一員としてソニーの利権の中にある為だと思われる)
因みに地球にいるインヒューマンズ因子の保有者は「先祖に初期のインヒューマンズがいる混血」という設定。アジア某国の山岳地帯には、インヒューマンズの隠れ里である「アフターライフ」が存在する。
テリジェンは青色透明のクリスタルになっており、これを割った際に発生する蒸気(テリジェンミスト)を吸うと、インヒューマンズ因子を持つ者は全身が石灰質の殻(劇中では「蛹」と呼ばれている)に覆われる「テリジェネシス」を経てインヒューマンズに覚醒するが、因子を持たない者が吸うと、全身が石化して死亡する。インヒューマンズが吸っても何も起こらない。その為、アフターライフのインヒューマンズは、機密文書が非インヒューマンズの手に渡った時のセキュリティとして、機密文書が書かれた本などにテリジェンを仕込んでいる。
また、シーズン3以降はテリジェンが海に投棄された影響で地球中でインヒューマンズに覚醒する人間が急増した。その内の何人かはS.H.I.E.L.D.のエージェントあるいは協力者となったが、ヒドラに与したりする者もいたり、地元の政府に捕縛あるいは殺害された者も少なくない。
該当人物(MCU)
- デイジー・ジョンソン:最初はS.H.I.E.L.D.雇われのハッカーだったが、後に正式に加入。物体を振動させる能力を持ち、それを用いた衝撃波や突風で戦う。
- リンカーン・キャンベル:元医大性。覚醒してからはアフターライフで生活していた。発電・放電能力を持つ。最初はS.H.I.E.L.D.に対して懐疑的かつ敵対的ですらあったが、後に加入。上記のデイジーとは浅からぬ仲になる。
- エレナ・ロドリゲス:通称「ヨーヨー」。高速移動能力を持つコロンビア人女性。最初はS.H.I.E.L.D.を自分の身柄を狙う政府機関と見做して信用していなかったが、マックの説得によって仲間入り。その為かマックとはしばらくしてから恋仲になった。
- ジョーイ・グティエレス:元建設作業員。金属分子を自在に操る能力を持つ。
- アンドリュー・ガーナー:S.H.I.E.L.D.お抱えの心理学者。エージェントであるメイの元夫。エージェント達のカウンセリングを行う。アフターライフの機密文書にアクセスした際に仕込まれていたテリジェンを吸ってしまい覚醒。「アンチ・インヒューマンズ」と言えるインヒューマンズ「ラッシュ」になってしまう。ラッシュとしての能力は強靭な肉体と、有機物を蒸発させるエネルギー球の生成。実は後述のハイヴに対する切り札。
- ギエラ:ヒドラのエージェント。テレキネシスを持つ。
- ハイヴ:史上最初のインヒューマンズであり、ヒドラからは神と崇められる超越存在。元の名前はアルベウスでマヤ帝国の戦士だった。肉体が無数の寄生虫で構成されており、この特性を生かして非インヒューマンズに寄生し肉体を乗っ取る事で悠久の時を生きてきた。更にこの寄生虫はインヒューマンズを洗脳する事が出来る他、非インヒューマンズを死に至らしめる猛毒を持つ。自身を化け物に変えたクリー人に復讐しようとした為、彼らの手によって砂嵐吹き荒れる死の星「マヴェット(ヘブライ語で「死」の意味)」に追放された。
余談
実はインヒューマンズの国・アティランは、それ自体が移動能力を有する巨大な都市型宇宙船であり、『元々は地球の大西洋に存在していたが、人類との接触を避ける為に都市ごと月に移動した』という経緯がある。
原作コミック劇中では、月以外にもエベレストの山中や海底から浮上したアトランティス大陸、果てには地球から遠く離れたクリー帝国の本星に移動したことがある。
関連タグ
ミュータント(MARVEL)、エターナルズ:同じく、MARVEL作品世界の地球に住む超人種族。原作コミックでは、元々インヒューマンズはエターナルズを再現する為に産み出された種族とされている。
サブゼロ/ヌーブ・サイボット/フロスト:彼らの種族である「クライオマンサー」とMCUにおけるインヒューマンズはいくつか類似点が見られる。