カマラ・カーン
かまらかーん
MARVELコミックに登場する、初めて主人公となったイスラム教徒=ムスリムのキャラクター。
パキスタン系アメリカ人の女子高生だが、現実にもヒジャブをつけない人は多く、彼女もその1人である。
自身もイスラム教徒である作者曰く、カマラを宗教の代表や象徴として造型するのではなく、どの人種・宗教にもいる等身大の人物として描く方針とのこと(参考リンク1、2)。
……日本人からすると人種よりも、自分でもファンフィクション(二次創作)を執筆するようなヒーローオタクなキャラクター性の方が驚きかもしれない。
なお自身はピーター・パーカー / スパイダーマン×キャロル・ダンバース / Ms.マーベル推し。
ちなみに自分とピーターの中身が入れ替わる、というエピソードもある。
特にキャロルに強い憧れを持っており、彼女が「キャプテン・マーベル」を襲名した際にヒーローネームを譲り受け、活動を始めた。
自分と同じティーンエイジャーのヒーローが集まった「チャンピオンズ」のリーダーにもなっている。
能力
分類としてはインヒューマンズで、2013年刊行のイベント『Inhumanity』の影響で自身に眠っていた力に目覚めた。
体の巨大化と縮小化を主に使い、他人や物体に姿を変えたり、体の一部だけを伸縮させることも可能。戦闘で多用するのは拳を巨大化させての殴打であり、その際の掛け声は「Embiggen!(巨大化)」。ただしこの正体は他の時間軸から質量やエネルギーを持って来るというもので、多用し過ぎるとタイムパラドクスなどの危険な事態を招く可能性もある。
その後2023年に一旦死亡。ただしアメコミでは生き返りが常であるため程なくして蘇ったのだが、それが翌月の号という過去最速だったことに加え、さらに「インヒューマンとミュータントのハイブリッド」に設定変更。
復活後は同じ能力でもミュータントとして活動し始めた。(なお、ファンの間では、実は「インヒューマンズとしての能力」と「ミュータントとしての能力」を少なくとも1つづつを持っていて、後者は、まだ発現or覚醒していないか、コミックではまだ描かれていないだけではないのか?という推理も有る)
一見すると後述するMCU版に合わせた変更だが、ほぼ同じタイミングでMARVEL史上でも有数の規模のミュータントたちに対する大虐殺と迫害が勃発、当然これに巻き込まれる可能性大という洒落にならない事態が発生している。
演:イマン・ヴェラーニ、吹替:松岡美里
フェイズ4に属するドラマシリーズ『ミズ・マーベル』の主人公として初登場。
ここではキャロル・ダンバースが最初から「キャプテン・マーベル」を名乗っているため、初代「Ms.マーベル」となっている。
コミック同様スーパーヒーロー、特にキャロルの大ファンで、コスプレ衣装を自作しコンテストに参加する他、部屋中至る所に彼女含めヒーローたちのポスターやイラストが飾られており、その傾倒ぶりがうかがえる。
ただ主たる活動は二次創作でなく、ヒーローやその周辺の謎を考察する動画投稿。
妄想癖があり、TPOを弁えず空想の世界に入り浸っては周囲から戒められている。
その為学業も芳しくなく、学校でも孤立気味だが、科学の秀才ブルーノや、同じムスリムであるナキアといった友人がいる為、完全に孤立しているというわけでもない。
家族関係はコミック同様で、祖母の名前はサナになっている。
ミズ・マーベル
ある日祖母から送られてきたバングルを嵌めたことで「煌めく結晶体を自在に生成する」能力が覚醒。
コミックで印象的な技の1つである腕の伸長と肥大化についても、実際にしているわけではないが再現されている。また盾状に成型したり、足場を空中に展開したり、鎧のように全身に纏い防御するなど、機転や応用力次第では無限の可能性を秘めた能力であり、正しく彼女の想像力と創造力が強さを引き出す。
当初はブルーノだけが正体を知っており、2人で自作した前述の衣装を流用して活動。ネット上では「ナイト・ライト(夜の光)」と呼ばれていた。正体を知らなかった母ムニーバからは「ライトガール」と呼ばれたことも。
その後、転校生のカムランを通して彼の母ナジマと出会う。彼女は「ヌール・ディメンション」という異次元出身で、イスラム系の伝承で「ジン(魔神)」とも伝えられている種族「クラン・デスティン」の一員であり、曾祖母アイシャもかつて仲間であったこと、結晶体の能力は内にある「ヌール(Nūr:アラビア語圏で"光")」という超常的なエネルギーを用いていることが判明。
故郷に帰るためにはバングルが必要であるため、ナジマたちに狙われることになる。
クラン・デスティン、および超人の発生を察知したダメージコントロール局との三つ巴の戦い、および昔からクラン・デスティンに対抗してきた「レッド・ダガーズ」たちとの出会いを通して、自身のアイデンティティや出自に葛藤や苦悩を覚えながらも使命に目覚める。
そして終盤、自身と似たような能力が目覚めたカムランをダメージコントロールから庇った事件を経て、ナキアや家族もヒーロー活動を心配しながら見守ってくれるようになり、ビジランテとして活動を始めた。
コミック準拠のコスチュームは終盤に披露。
ブルーノからもらった目元のマスク、カラチにてレッド・ダガーズのワリードとカリームから譲り受けた青い上着と赤いスカーフを合わせ、元々持っていた自分の名前のつづりを元にしたペンダントが戦いの中で破損したものを稲妻のようなS字のシンボルマークとして胸部分に取り入れ、ムニーバが作成・プレゼントした。
またヒーローネームについては最終決戦後、父から自分の名前「カマラ」がウルドゥー語で「感嘆(マーベル)」を意味することを教えられ、憧れのキャプテン・マーベルとの共通点に喜ぶとともに、「お前は私たちにとってのミズ・マーベル(感嘆すべき女性)だよ」と言われたことから、採用することになった。
明かされた真実(最終話のネタバレ注意)
それから1週間後、兄アーミルの希望で家族の能力の有無について調べたブルーノが、自身のみ遺伝子レベルでの違いが生じていたことを説明。
つまり能力は(アイシャから遺伝した)ヌールだけではなく、突然変異が原因であることが明らかになった。
※ちなみにこのシーンのBGMは1990年代のアニメ『X-Men : The Animated Series』のものと似ている。
そして最終話のエンドクレジット。
部屋でコスチュームのままくつろいでいると、突如バングルが何かに反応。そのまま吸い込まれるように消えてしまった。
入れ替わるように現れたのは……
マーベルズ
キャロル、モニカ・ランボーと並ぶ主人公の1人として、家族とともに映画デビュー。
ヴィランのクリー人、ダー・ベンが自身のものと似たバングルを手に入れたことで彼女の野望に巻き込まれ、キャロルやモニカと誰かが力を使うたびに場所が入れ替わるようになってしまうが、先輩ヒーローである2人に助けられながら共闘する。
演者のイマン曰く「『シビル・ウォー』のスパイダーマン的ポジション」とのことで、特報では上記シーンの続きとして憧れだったキャロル本人に自作イラストが山程貼ってある部屋を見られて(彼女からすれば自分と見知らぬ女の子がハグしてる構図もあるので当然だが)結構嫌そうな表情をされたり、モニカと入れ替わったため初の宇宙空間で戸惑いながらもニック・フューリーと対面を果たしたり、また入れ替わった先ではグースの触手攻撃を間近で見てしまったりと、トリオの末っ子らしい無邪気な様子が描かれている。
予告の時点で「ヒーローチームに何かの間違いで混ってしまった空気読めないヒーローオタク」感がハンパない(だがそれがいい)。
なお「趣味で絵を描いているが、それほど絵が上手な訳ではない」人にありがちな「手や拳をうまく描けない」という欠点が有る事も示唆された。
本編でも自分とキャロルが共闘している妄想を繰り広げたり、これまで無かったモニカのヒーローネームを10個以上考えたり、オタクっぷりは健在である。
※ネタバレ注意!
中盤、バングルを間近で見たキャロルにより、それがクリーに伝わる太古の遺物「量子バンド」であることが発覚。
※『ミズ・マーベル』にて、本来は2つが対であると語られたこと、回想でアイシャやナジマがバングルを発見した際に、クリー人と同じ青肌の石像に嵌まっていたことが伏線となっていたが、その床にテン・リングスらしきマークが描かれていたことは回収されなかった。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にて、テン・リングスの首領であるシュー・ウェンウーの通り名の1つが「マスター・カーン(Master Khan)」と語られており、今後さらに深掘りされるものと思われる。
ダー・ベンはワープゲートを創る際に自前のハンマーで過負荷を加えて使用していたが、安定のために自身のバンドを狙われてしまい、最終的に奪われてしまう。
しかし(おそらくコミックと同じく)バンドに認められなかった彼女は全身が燃え尽きて死亡。暴走で別アースとつながってしまったゲートを閉じて以降は、キャロルがもう片方を所有することになった。
ラストでは戦闘で破壊されたニュージャージーの実家から、昔モニカが母と住んでいたルイジアナの空き家に家族で引っ越し、ゲートを閉じるために向こう側へ残った彼女の留守を預かることを決めた。
また今回の経験からチームを結成したいと考え、活動し始めたばかりのケイト・ビショップのアジトにどっかで見たような構図で潜入した。
※この時「アントマンの娘(キャシー・ラング)も誘う」と発言。
コミックではケイトとキャシーは共にチャンピオンズのメンバーにはなっておらず、同じコンセプトの「ヤングアベンジャーズ」に加入経験があるので、MCUではこの2つがミックスされていると思われる。
アニメ
- アベンジャーズ・アッセンブル
シーズン3「ウルトロン・レボリューション」の10話でカメオ出演、11話で本格的に登場。
シーズン2に登場予定。
- マーベル・ライジング
スクイレル・ガール、クエイク、スパイダーグウェンことゴーストスパイダーら新世代のヒーローたちが活躍する新作短編アニメ。
続編のアニメ映画『Marvel Rising : Secret Warriors』にも登場する予定。
CV:鬼頭明里
シーズン1の15話に登場。設定もコミック準拠で当初はキャプテン・マーベルの姿であったがインベンターとの戦いでコミック同様のコスチュームになる。
シーズン2では6話から登場。何やら彼女の秘密も明らかになる模様。
鬼頭女史は後に、MCUでカマラが登場する1つ前の作品『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にて、同年代のアメリカ・チャベスの吹替を担当している。
- 元は短期シリーズ用に作られたが、人気が出たのでレギュラー化したキャラ。
- 「ヒーローオタクのヒーロー」設定の彼女だが、MCUで演じるイマン・ヴェラーニも「【アース616】じゃなくて【199999】でしょ?」と前作での矛盾に言及するようなガチのオタクである。なお、一番お気に入りのヒーローはアイアンマンとのこと。
- 「北アメリカ大陸在住でパキスタンにルーツが有るムスリムのヒーローオタクの女性ヒーロー」を「北アメリカ大陸在住でパキスタンにルーツが有るムスリムのヒーローオタクの女性」が演じていることから、「イマンはカマラの変異体・並行同位体では?」=「別アースの同一人物が本人をやっている」という説まである。
- 更にイマンは2023年夏にスタートしたカマラを主人公にしたコミックの新シリーズの脚本にも関わる事となった。
- MCUではコミックと「善悪を含めた作品内での役割・立場」や「性別」が違うキャラは登場してきたが、ヒーロー側で「能力が大きく違う」のは彼女も含めて数えるほどしかない。
- これは後続で控えているファンタスティック・フォーのミスター・ファンタスティックとの映像面での差別化ではないかと推測されている。