概要
「でべそ」とは、臍ヘルニアや臍突出症などによって引き起こされる、おへそが外に飛び出した状態のことを言う言葉である。
臍ヘルニアは、臍の緒が乾燥してとれた後、臍の根元が十分に閉鎖されていない時に、臍輪(緒がつながっていたおへそのフチの部分のこと)が上手く閉まらず、内臓が皮下まで脱出して臍がふくらんだ状態になること。
小腸やそれを覆う大網が脱出していることが多いが、新生児の場合は指で押すことで容易に腹腔に戻すことができる。
臍突出症は、へそにある瘢痕組織が大きいがため、逆に臍輪が閉じた時にそれらが押し上げられることでおへそが飛び出ている・埋まっているものである。
これらの症状の多くは新生児の時に見られ、臍ヘルニアの場合は時にはかなり大きいこともあるが、3歳頃までにはおさまる傾向にある。一方、臍突出症の場合は1歳くらいまでには自然治療されるが、逆にその間に治らなかった場合は(成長の過程で多少引っ込みはするものの)、第二次性徴後の高校生や成人になっても完全に引っ込ませることは少し難しくなる。
このように、先天的なでべその原因はこの「臍ヘルニア」と「臍突出症」の二つであることが挙げられ、特に後者が原因であることが多く、一般的な「でべそ」の印象に近い特徴を持つのも後者である。
「臍突出症」は健康被害に影響は無いため気にならなければ放っておいても良いが、対して「臍ヘルニア」は文字通りヘルニアの一種である為、健康な私生活を送る為には手術による切除が必要になる場合がある。
上記の先天的な理由以外にも、後天的に大人がでべそになる場合がある。その原因にも様々な理由が挙げられるが、主に妊婦に頻繁に見られることが多い。原因は繊維の異常な白線の交差である。
また、肥満によりお腹・おへそに圧力が加わることでも、でべそになる。これらの肥満が原因の物の中には、上記の「大人の臍ヘルニア」を誘発して引き起こしている場合もある(ただし逆に、脂肪や肉の付き方のよってはへそが埋没しでべそにならない場合もある。特に皮下脂肪はへそに強く関係しており、これが多くなるとへそが深くなると言われている)。
逆に痩せ過ぎて皮下脂肪が少なくなったり、腹筋が鍛えられ過ぎてしまった場合場合はへそが浅い(浅へそ)状態となって底(臍乳頭なども)が丸見えになってしまうこともあり、そのような状態をでべそと同様に認識、或いは勘違いする人は中にもいる。
本当にでべそであることもあるにはあるが、身体が未発達な少年少女は皮下脂肪の少なさ等の理由でへそが浅いことが多く、上記の通りでべその赤ちゃんが多いことや臍突出症の特性からも「でべそ=未成年、幼い、子供っぽい」という印象が拭えないのが現状である。
でべそは飛び出している為に一見ゴマが溜まらないように見えるが、縁やシワが存在するタイプや縁だけが飛び出しているタイプは隙間の中にゴマが溜まる為、やはり注意や掃除は必要である。
なお、一部の界隈においては引っ込んだおへそをでべそにしてしまう、出臍化という概念も存在する。中には実際にプレイとして相手のへそを改造したり、自分のへそで実践している猛者すらもほんの僅かだが存在する。
現実的な方法としては指で押し出してでべそにする方法や、輪ゴムででべそにする方法、或いは強い力や器具によりでべそにする方法などで、意外とやり方は様々である。
あまり弄りすぎると、元通りの形の凹んだおへそに戻らなくなることもあるので、注意。
創作において
二次元の描写やフィクションの作品ででべそが書かれる場合、主にこの3つの書き方で描かれることが多い。
- 臍ヘルニアタイプ
焼いた餅のように、中身が縁から完全に飛び出した臍ヘルニアの形のタイプ。
元々でべそではない人間がでべそになる理由としては一番起こりやすい理由の為か、主に妊娠及び肥満化のシチュエーションや肥満体型のキャラクターのでべそとして描写されることが多い。しかし、これらの場合でも前述のように逆にへそが埋没し、でべそにはならないパターンもやはり存在する。
- 臍突出症タイプ
縁からは完全に飛び出しておらず、浮き上がった臍輪で二重丸を描くような形になる、臍突出症の物に近いタイプ。
上記の臍ヘルニアタイプとは逆に「先天的なでべそ」として描かれるものが多く、大人向けの作品や萌え系のイラストや作品において痩せているキャラや子供のキャラ(特に女の子)のでべそはこのタイプで描かれる。二次創作で既存キャラクターがでべそ風にアレンジされる場合もこのパターン。
- ×印タイプ
臍ヘルニアタイプのように飛び出したへそに、×印が刻まれたように描かれるタイプ。でべそに限らず、へそを表すときに×印だけで済ませるパターンもある。
このような描き方は例え元のキャラがでべそでなくとも、キャラクターがデフォルメ化されていたり、ギャグ調に描かれている際などにも見受けられる。
特にギャグ作品や子供向け作品の中でも対象年齢層が低い物において、肥満体型の男性や男児、動物キャラクターのへそがこのような描き方をされることが多い(主にジャイアンやボスパックンなど。トップ画のイラストはこのボスパックンの擬人化及び女体化である)。
はるか昔から存在する表現だが、このような描き方をされるようになった経緯や理由についての出典や由来は不明。へその奥がそのまま乗り上げられたようなでべそは、飛び出した先端にもシワが存在する為、それがバッテンのように見えたのかもしれない。
上記のような印象(特に臍ヘルニアタイプと×印タイプ)から、従来はでべそが萌えと結び付けられることはほぼ皆無に等しく、(へそフェチ向けやロリコン向けなどの二次創作ならともかく)版権作品においてわざわざ美少女のへそをでべそに描くことはなかった。
しかし、近年になってでべその美少女キャラであるファプタとイルミューイが登場した(補足すると前者は純粋な人間の女の子では無く、ケモっ娘に近いものである。また、同作品内に登場するロボットの男の子レグは半裸であり、でべそ気味のへそを常に露出している他、度々へそ責め被害にあっている為、作者の手癖なのかと思われる)。
他の作品においてもアニメにおける描写は一瞬ではあるものの、「この美術部には問題がある!」の低身長少女キャラである『本多さやか』(見切れているが下記イラストの一番右・8p目の人物)もでべそである描写が確認できる。
これらの源流はやはり、前述の概要でも触れた通り「でべそ=子供っぽい」というイメージから来る「幼さの象徴」の側面を強調した物であると考えられるであろう。そう言ったキャラクターの今後の登場や活躍に、大いに期待したい所である。
フィクションにおいての出臍化は、雷様等の存在がある為か現実のものよりも格段に実行手段が多くなる。ただしやはり、かなりマニアックな内容である為かこれらの要素をメインとした作品は基本公には存在せず、その多くはフェティッシュな作品となっている。
描かれる形は手段によって変わるが、ヘソ取り要素が含まれる作品においては「臍ヘルニア型」のものが描かれることが多い。
余談
へそを意味する「navel」や「bellybutton」とは別に、でべそを示す英単語として「outie」と言うものがある。また、それに対してでべそではない『引っ込んだおへそ』を表す単語として「innie」という物も存在する。
更に、この「innie」に対応する単語は実は日本にも存在しており、「へべそ」と呼ばれている。しかし、これは正式な呼称ではなく昭和20年代・30年代の古い言葉である為、とてもマイナーである。