【機密事項】
⚠以下、漫画『アンデッドアンラック』の重大なネタバレを含みます⚠
⚠これから作品を楽しみにしている人達は閲覧注意⚠
何度も、何度もな
概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』で、世界にある特異な理(ルール)。他の「理(ルール)」はUMA(ユーマ)を介して実行されるのに対し、この『破壊と創造の循環(ループ)』は神・SUN(サン)が介入して実行される。
本作における『ループ』は、創造主-神-による【物理的な世界の循環】と、この【経験者】も指す。
世界の破壊⇔再生
本作の世界は、遥か昔から創造主-神-によって【同じような世界】を何度も繰り返されている。これは世界に生きる者たちを消滅⇔創造も繰り返してる事であり、世界の真実(ループ)を知る者は【ループ経験者】などごく僅か。
作中では【呪われた運命】とも称され、これを否定しようと主人公勢力は動いているのだが……。
先ずは世界がどう終わり、どう始まるかの理(ルール)から記述していく。
世界の終わり
101回目の「罰(ペナルティ)・RAGNARØK(ラグナロク」で地球含む全宇宙と全生命体は粉々に滅ぼされる。
その光景は、数々の否定者が総力戦で立ち向かっても僅かな足止め程度にしかならなかった一体の黒い巨人・SUN(サン)が、無数に出現し攻めてくる絶望。これを前に、先程まで勇猛果敢だった者たちは、ただ立ち尽くすしかない……ただ唯一、世界の理(ループ)を否定するために抗う戦神(にんげん)を目に焼き付けながら。
そして世界は終わる
そして世界は始まる
世界の始まり
全ての生命(いのち)が【死】を辿り無となった世界-正確には太陽と月、二つの天体だけ在る世界-へ、創造主-神-の手により再構築される地球。何億年という世界の歴史がゼロから始まる。
再構築された新世界。なお宇宙には旧世界の地球だった欠片が漂っており、他には太陽と月の天体しかない世界から再始動する。
新しい地球では、再び途方もない時間をかけて、自然環境の安定化、自然界の水(うみ)から生命の誕生、恐竜の時代、徐々に進化していく動植物と人類……何億年もかけて再び刻み始める時代(とき)。
でも同じようで同じではない世界の始まり
世界は廻る
旧世界(前ループ)と同じような人の交流や文化が営まれる新世界(次ループ)。だが旧世界と新世界で微細に相違ある理(ルール)が横行もしている。
例えば「理(ルール)」の増減される順序が異なっていたり、蓄積される古代遺物(アーティファクト)の記憶から「世界の真実(ループ)」を察して動く思惑などがある。
そして再び、世界を平常に生きる者たちは以前変わりなく、普遍の日常から外された否定者(ひていしゃ:世界の理を否定する業の器になった者)でさえ知る由もない、何時か来る終わりが徐々に近づく運命「破壊と創造の循環(ループ)」が決定されている……ある【限定者】を除き。
このループ経験者を筆頭に停まらない動き、運命(のろい)を解放するために真実へ向かおうとする正義(いし)から、変わらないけど変わっていく世界が何度も繰り返えされているのだった。
次(ループ)へ行く者たち
本作では、全生命体が【死】を経る特異点(ラグナロク)を越える者たちがいる。
下記の経緯で【時】や【死】を越えた者たちは、より普遍から否定される存在として世界と向き合う同志でもあったが……。
【時】を越えて
秘匿されていた伝説の古代遺物「アーク」に乗って特異点(ラグナロク)を越える者(1人限定の任意選択型)。
「アーク」による世界移行(ループ)には無形の功績「ポイント」が必須条件。これは主に「課題(クエスト)」の達成から高獲得でき、世界へ立ち向かえる実力を示す証でもあった。
ループ移行へ必要な獲得数は不明だが、数件の課題(クエスト)をこなす程度では叶わない。またポイント総数は、1人の参加者が蓄積してきた自己の功績(ポイント)か、ポイント譲渡できる定理(ルール)によって移行された他者が対象として達成できる目標物(ノルマ)。
だが物語(アンデラ)を顧みると、この功績(ポイント)は最低条件の一つにすぎず、ループを越える者へ求められる真価は―
ループを越える、経験するに現実的な活動力(ちから)も必要だが、これよりも理屈ではない魂(こころ)の力が問われる【選択権】でもあった。
これら以上の情緒も抱きながら古代遺物「アーク」へ搭乗する葛藤など、当事者の計り知れない心情が察せられる姿があった。
更に超技術で世界移行する詳細は【アーク(アンデラ・古代遺物)】を参照。
そうして普遍の世界線(ループ)から外れ、辿り着く場所【月】にて1人のアーク搭乗者(ループ経験者)が目の当たりにするのは、つい先ほどまでいた星(ちきゅう)が粉々に壊される光景……。
【時】を越える手段は決して安心・安楽ではなく、非常な現実を突き付けられ、心は痛み、力不足で仲間を死なせてしまった罪悪感、今は滅び逝く世界へ何もできない無力感や焦燥感…………。
改めて感じる「運命(のろい)」に吐き気を催す真理を否定するため、1人のアーク搭乗者(ループ経験者)は【月】へ居座る神・LUNA(ルナ)によって、再び【時】を越え再構築された新世界(新ループ)の地球へ召還される。
またゼロから世界へ、神へ挑むために。
たった独りで?
いや、1人じゃない
【死】を越えて
全生命体が【死】を経る特異点(ラグナロク)。つまり他対象に【死】を強制される理(ルール)。即ち自己対象に【死】を否定される者は残存する理屈でもあった。
UNDEAD-不死-の否定者(ひていしゃ:世界の理を否定する業の器になった者)は、上記で触れた【命ある者が死に絶えた世界】へ孤独に取り残される形式で、物理的に【ループの経験者】も負う。
この体験者曰く、人類が生かされる状態の地球が出来るまで、旧世界の地球だった欠片に混じって宇宙空間を彷徨い続けるという。この間は意識はないらしい。だが、もし意識を残したままならば、何時終わるかも分からない真空の苦しみや、他の温もりはない凍える世界で、強制的に思考は停止してもおかしくない不遇な状態にいるだろう。時間の概念は皆無の宇宙空間を漂うUNDEAD-不死-の否定者。そしてついに創造主-神-が地球-生命が生かされる星-を再構築し、天体の引力が作用するような物理的な力でUNDEAD-不死-の否定者は新世界へ強制召喚される。
では生まれたばかりの地球でサバイバル生活でも始まるのか?
新世界の地球へ始めて立つ者-それまで意識不明状態で宇宙を漂っていたUNDEAD-不死-の否定者-が先ず体感するのは、灼熱の世界だったという。当人曰く「なんか地面めちゃくちゃ熱くてよぉ」と、不死でなければ死滅する過酷な自然環境。だが地球のでき方を骨身で体感する唯一の経験者にもなるのだった。
そうして恐竜の時代や幾億年を経て【時】を越えたアイツと出会える。
でも人に会える希望の始まりは、人と別れる悲愴の始まりでもあった……。
世界移行(ループ)を担う宿命
【時】や【死】を越える理屈(ルール)で「破壊と創造の循環(ループ)」の【経験者】となる者たち。
次の世界へ渡る事。今の世界から『外れた者≒否定された者』として負いる宿命か。
両者は今次の世界(ループ)において【老いない】の理(ルール)が強制される。
※正確には【時】を越えた者が対象。【死】を越えるUNDEAD-不死-の否定者は否定能力により始めから不老である。
即ち本作において世界移行(ループ)を担う者は、物理的に世界の巡回(ループ)を『外れる≒否定する』だけでなく、生理的な理(ルール)も『外れる≒否定される』のであり、不老として数多の出会いと別れを繰り返す宿命も担うのだった。
その回想では、今次の仲間だった者たちが眠る墓石-画枠に収まりきらない程の大切な者たちが大勢安置されてる光景-を前に、泣き崩れるループ経験者、静かに黙するループ経験者の2名が描写されている。
でも進む
悠久の時。果てない時の流れ。何度も気が狂いそうになっても、変わらない大切(すき)を、これまで紡いできた想い重いの思いを守るためにループ経験者は世界へ立ち向かう。
変わらない正義(きもち)
呪いの理(ルール)とも言える【破壊⇔再生の理(ループ)】で、生命を弄んでると感じる創造主-神-を殺し、世界を解放するため、ループ経験者たちは旧世界(前ループ)で得られた経験・情報を活かし再挑戦に動く。
【時】や【死】を越えたループの経験者たちは戦い続ける。いつか世界へ理(ルール)を強いる神を殺すまで。
と、神話や英雄伝説みたいな黄金のように輝かしい物語ばかりではない(あん…だと…!?)
上記で触れた【不老】の宿命も背負わされるために、今の世界で生きる者たちとの出会い⇔別れを何度も繰り返す。その度に揺らぐ正義(きもち)。
もっと自分に力があれば、あの選択をしなければ、もっと最良な判断が出来たのではないか……。100年程度しか生きられない只人には理解・共有しきれないであろう壮絶な精神不安(かなしみ)と向き合う戦いでもあった。
でも1人じゃない……。
男女の関係を越える心の絆。魂の支えで-時には息抜きとして戦いから離れ、これが普通の幸福であると感じれるような、例えば相手の買い物へ付き合う恋仲(カップル)として「思い出」を作ったりして-再び立ち向かえる……ハズだった。
また【死】を越えてしまうキミは笑う事すら叶わない運命へ縛り続けられてしまう。
ループを経験する者同士で、確かに同じような正義(きもち)で途方もない人生を共に歩んでいた。
でも別れる。
変わらない正義(きもち)があるから。
【時】を越えたアイツの辛苦を終わらせるために非情な選択を、
【死】を越えてしまうキミが死ねるようにと執念のような選択を、
正義(もくてき)は違えど、彼氏は彼女を、彼女は彼氏を、変わらず相手を慕う正義(きもち)があるから袂を別れてしまった世界移行(ループ)の悲劇も物語られている。
そして物語本編。独りだけど1人じゃないループ経験者は、100回目となる今世界(ループ)にて、どこかにいる希望を見つけるためにゼロから再始動していた。
これが私の変わらない正義(きもち)なんだよと、今はアイツにとって少しの休みで眠るキミに伝われと、最高の死(デッド)が来る運(ラック)を待ち焦がれるかのように……。
関連項目
【課題(クエスト)】
【アーク】 【ループ】