「我はずっと待ち望んでいたのだ、貴様らのような強者(つわもの)と戦うのを!」
CV:酒井敬幸
概要
バッタモンダーに続くアンダーグ帝国3番目の刺客にして、帝国に仕える最強の武人。
バッタモンダーの後任として第25話から登場した(OPの映像も変更された)。
猪とミノタウロスを合わせたように、筋骨隆々な武闘家の如き威厳のある風貌。
その筋肉を誇示するかの如く常に着ている着物の片肌だけ脱いで着崩しており、さながら力士か古風な侠客のよう。
顔のメイクも「歌舞伎隈取り」を思わせる。
バッタモンダーの回想シーンにより、アンダーグ帝国ではランボーグを使ってカバトンとバッタモンダーを指導する鬼教官として活躍していた模様。(第41話より)
人物像
卑怯な手段で無関係な一般人を戦いに巻き込む事も不必要な破壊活動もせず、自らプリキュアを呼び出して正々堂々勝負を挑む武人肌な性格。
その為、プリンセス・エルを捕まえてくるよう命令は受けているものの、あくまで「プリキュアを真っ向から打ち倒してから」と決めており、初陣では「まだ赤ん坊であるエルを傷つけるような真似はしない」と自らが召喚したランボーグを投げ飛ばした。
第28話では自ら殴り込みをかける時、周囲の一般人へ「巻き込まれたくなければ逃げろ」と事前通告する徹底ぶりを見せる。
それもあってか帝国の刺客2人を退けたプリキュア達のことを「自らの相手に相応しい強者」と認め、彼女らとの真剣勝負を何より楽しみにしている。
戦いに全てを捧げる為常に己を限界まで鍛え上げているだけあって、「アンダーグ帝国一の武人」の二つ名は伊達ではない。
その姿勢は「相手が誰であろうと頑として曲げない」という見事なものである。
だが、愚直なまでに『自ら強者と認めた存在との戦い』を求める思考は、対戦相手を含めた他人の都合を一切考えず自己中心的で視野が狭い典型的な「脳筋」の考えと評せる。
ももぞら空港にプリキュアがいると知って、「我との戦いから逃げて高飛びするつもり」と斜め上の結論に至り(手段が破壊行為ではないとはいえ)「プリキュアを逃さない」名目で飛行機トラブルを起こすあたり、やはり悪役らしい特徴が目立つ。(第26話より)
また、「より強くなること」を己の天命と定め「その為に鍛錬を怠らぬこと」を重要視するストイックさのあまり、他者にも同じ価値観を求め遊びや怠惰を極端に嫌う。
夏休みにプリキュア達が海水浴に来ている光景等は酷暑だろうが過酷な特訓に勤しむ彼からして見れば、舐めプにも等しい侮辱行為に映る模様。(第30話より)
一方、真夏日にも拘らず「ソフト帽&トレンチコート」の厚着で変装したり、館内放送を利用してプリキュアをおびき寄せるなど妙に抜けたところがある。(第26話より)
ただ、この「戦い」に関して拘りが過ぎる性分を自分でも「欠点」だとある程度自覚しているらしく「愚かな武人」と自己評価している。
尚、カバトンに似ている(名前の語呂が似ている点や、豚鼻があるなどの獣要素が強い亜人の姿をしていたりする等が要因だと思われる)が、カバトンを「下品で下劣な愚か者」と忌み嫌っている模様(実際処刑される恐怖から「ソラとの決闘に負けたらエルにはもう手を出さない」という約束を反故にしたカバトンに対して彼は信念を曲げていないので当然とも言える)。
プリキュア達も「(あげは曰く)カバトンは禁句みたい」とそれ以上の追及をしなかった為、両者の関係性は不明。
能力
ランボーグ召喚時の呪文は前任者2名と違い「来たれ!アンダーグ・エナジー!」(動作も指パッチンではなく拳を握り締める)、転移能力等行使時の呪文は「ミノトントン」。
その体格通り怪力の持ち主で、巨大な大木を抱えて1万回も振り下ろすトレーニングをしており(しかもそれすら本人からすれば『準備運動』)、「ランボーグの強さは召喚者の強さに直結している」という性質から前任だった二人よりも実力は上であると思われる。(第25話より)
- しかしプリキュア側の新たなパワーアップ要素が無くても今の所撃退できているし、カバトンの電車ランボーグやUFOランボーグ、スカイランドを襲ったバッタモンダーの超大型ランボーグの時ほど苦戦は無い為、彼が本当にアンダーグ帝国最強の幹部キャラかと疑問を呈する向きもある。この点に関しては、上記のランボーグがカバトンとバッタモンダーの秘策によって生み出されたものであり、一方ミノトンは現状では単純な力押し戦法しか行っていないので単純な比較は難しい。
- また、第19話以降からプリキュア達がミックスパレットのバフ・デバフ機能を活用しているという利点が大きい。「ミノトンが召喚するランボーグに苦戦するもミックスパレットでステータスを強化して逆転」というパターンになりつつある。
- プリキュア達に鍛錬を怠っていると発言していたが、実際に本作のプリキュアはランボーグ相手に同じ技ばかり多用せず分断されても合体技を使用する為の復帰を期待せずに単独技を使用し工夫して対処している為、この時点でミノトンが思った以上に戦闘経験を積んでいたりもする。
活躍
とある森の奥深くで1人鍛錬に励んでいたが、満を持して出陣。
動物園のシンボルである『ソラシドサウルス』のランボーグを差し向けてプリキュア達と開戦し、武人の誇りと共にプリキュアにとって意外性のある行動を見せた。
第26話ではプリキュア達を追ってももぞら空港で館内放送を利用しておびき寄せ、空港ビル屋上・展望デッキでハンディファン(手持ちタイプの小型扇風機)を依り代としてランボーグを召喚。
ランボーグが巻き起こした暴風で上空に乱気流が発生。
空港は旅客機全便運航停止のパニック状態をもたらしプリキュア達に苦戦を強いるも、ウィングのひらめきで誕生した作戦に敗れる。
実際アンダーグ帝国の目的は現状『エルの身柄確保』だけ。
「ソラシド市の平穏の為にはエルを連れて高飛びする手もあり」と言えばありなので、ミノトンの行動自体は強ち間違いではない。
- 第27話 (詳細はこちら)
後半クール1話目にしてまさかの本人出番ナシ。
これまでアンダーグ帝国と戦わないエピソードとしては初となるメインの敵が健在状態で行われた訳だが、これについてはミノトンがプリキュアをおびき出す目的で破壊活動を行わないタイプの敵だった事で実現したのかもしれない。
- 第28話
ファッションショーの特設ステージに乱入し舞台照明を素体にランボーグを召喚。
ランボーグが発する高出力ビーム乱射に四苦八苦するプリキュアを嘲笑するが、姉達の努力を知るキュアバタフライから猛然と反論される。
「みんなで笑う? サイコーじゃん!」
「いつも笑えるワケじゃない!苦しい時、辛い時、泣きたい時だってある!でも……そんな時こそ笑顔で!みんなを笑顔にする為に!頑張って……頑張って!笑顔が返って来たら、サイコーなんだって教えてくれた!だからわたしは……そんなふうになりたいんだ!」
「ミックスパレットによる複数名守備力アップ」という前代未聞の戦い方に惜敗するも、どこか満足げに撤退した。
第29話では不思議なぬいぐるみを探しに街はずれの洋館へとやって来たソラ達の前に立ち塞がり、洋館ランボーグを召喚。
この時ランボーグを用いてエルをそのまま誘拐すれば目的達成のはずであるが、プリキュアが脱出した際に悔しがるどころかプリキュアと戦う事しか能がない感情が窺い知れる。
- 第30話
浜辺にて赤フン一丁で地獄のハードトレーニング中、海水浴に来ていたプリキュア達を目撃。
浮き輪ランボーグを差し向けて一度は勝ちを確信するミノトンであったが、ふとしたきっかけからカナヅチを克服したスカイの活躍により逆転負け。
武人の異変
- 第31話
プリキュアに勝つ為市内のスポーツジムに連日通い詰めて体を鍛えていた所(人々から「ミノさん」と呼ばれていた)、とうとう業を煮やした君主から督促される。
しかし、命令無視どころかあくまで「武人」としてプリキュアと抗う事に拘っている現状を馬鹿正直に告げた為、主の逆鱗に触れて帝国へと強制送還(?)されてしまう。
彼の受け持っていた使命は、主が最も信頼を置く側近へと託された。
- 第32話
「ハカイ……ハカイ……モットハカイシテヤル……!!」
いかなる経緯か、前話の粛清によってアンダーグ・エナジーを注入され正気を失った巨大な怪物と化して街を蹂躙する。
エナジーの奔流から4人一丸となってエルを守りきったプリキュア達の姿に一度は正気を取り戻しかけるが、すぐに意識を塗り潰されてしまう。
満身創痍のプリキュアにトドメの攻撃を繰り出そうとしたその時、エルが決死の覚悟でキュアマジェスティに変身。
鬼神の如き武勇に圧倒された途端、プリキュア・アップドラフト・シャイニングに敗走する。
武人、最後の戦い!
- 第33話
スカイランドの遺跡にて、「究極の力」たる新たなアイテムを探しに来たソラ達に襲い掛かる。
「アンダーグ・エナジーなんかに負けてはいけません!あなたは武人でしょう!?」とソラにたしなめられ一瞬正気を取り戻しかけるが、大量のドリンク剤でアンダーグ・エナジーをドーピングし前回にもましてさらに凶悪な変貌を遂げる。
絶体絶命の危機に陥る中、プリズムがマジェスティの説得によって解放した究極の力『マジェスティクルニクルン』による「プリキュア・マジェスティックハレーション」によって倒された。
「我の負けだ……我に武人の心を取り戻してくれたこの恩、いつか返す。
また会おう、好敵手達!」
その後は自らの敗北を潔く認め、プリキュア達と友情の握手を交わして姿を消した。
帝国に関する事情は何も話さないまま去ってしまったが…。
…第48話にて再登場を果たした。
カバトンと共にウィングとバタフライの助っ人として参戦。
余談
演者について
演じる酒井氏は映画フレッシュプリキュア!おもちゃの国は秘密がいっぱい!?の大鏡を演じており、それ以来のプリキュアシリーズ出演でTV本編は初出演となる。
ニチアサ枠では『王様戦隊キングオージャー』のジゴクジームを演じていたのが記憶に新しい。
同時にこれまで囁かれていた『幹部を演じた声優が、過去作のプリキュアの親族を演じていた法則性』が崩れる格好となった。
武人肌な敵幹部として
これまでプリキュアシリーズに登場した武人肌な敵幹部は、『強者』に対しては敬意を評する一方で『弱者』と判断した相手をどこか下に見たり、口先は立派だが自身の戦闘衝動を満たせれば他を省みないなどの傾向が多かったが、ミノトンはたとえ赤子であり自分達の組織が狙う相手であっても、その心意気を認め敬意を評しており、味方に攻撃してまで戦いを中断するなど、これまでの武人肌幹部とはまた違った潔い一面が強い幹部である。
これまでの幹部2人があまりに非道だった故に、初登場時から一部視聴者からの評価は高く、「所属する組織を間違えたのでは?」との意見もある。
とは言え、逆説的に言えば心意気を感じない相手には冷酷である。武人の心意気を感じさせる言動をプリキュア達に対して勝手に期待し、それを感じられなければ勝手に失望して非情な態度を取る。
しかも思い込みの激しさから(本人に悪気はないとは思うが)周囲に迷惑になる行為を行ってしまっている為、別の意味で面倒な性格の武人肌幹部とも評せよう。
見方を変えれば、プライドを拗らせて「エルの誘拐」よりも「プリキュアを倒して屈辱を晴らす」のを優先して行動していたバッタモンダーや、エルを捕まえてくるよう命令は受けているものの武人気質である為「『最強』とうたわれる自分の相手に相応しい」とプリキュアとの戦いを楽しみにしていた結果粛清されてしまったミノトンより、先鋒であるはずのカバトンが「『運命の子』プリンセス・エルを手に入れる」組織の目的に一番忠実に働いていた感はある(もっとも、カバトンも 『命令達成後の報酬』が目当てだった為、結局は全員が自分の本願達成に注力しているのに変わりないが)。
その性格から、「敵同士でなければソラと気が合ったのでは?」という意見もあったが、実際ソラは敵同士であってもミノトンの武人としての誇りを尊重している様が随所に見られ、最終的には和解する事ができた。
名前について
恐らく『ミノタウロス+豚(トン)』と思われる。
尚、ミノタウロスの名称自体は『ミノス王の牡牛』を意味する為、現義に則るならば『ミノス王の豚』になる。
- ギリシャ神話のミノタウロスはクレタ島の王・ミノスが海神ポセイドンを怒らせてしまったが為に生まれた「呪いの子」であり、迷宮に閉じ込められた魔物である。ミノトンとプリキュア達の決戦の地がスカイランドの遺跡だったのはこの神話がモチーフだろうか?
英字表記するとMinotonとなるが、これは『シンドバッド虎の目大冒険(1977年/アメリカ)』に登場する牛頭人身の巨像・ミナトンと、奇しくも綴りが同一である。
……余談の余談だが、「ミノ」には牛の第一の胃袋にあたる部位という意味もある(語源は切り開いた時の形が藁で作られた蓑笠に似ている為)。
関連イラスト
関連タグ
ひろがるスカイ!プリキュア アンダーグ帝国 プリキュアの敵一覧
プリキュア関連
- キントレスキー、クモジャキー、ガメッツ:彼と似たような武人タイプのプリキュアの敵幹部繋がり。ただし彼らは「弱者」を徹底的に蔑視する。ちなみにミノトン初登場である第25話の冒頭では、キントレスキーと戦ったキュアブルームがメッセージを送った。
- バテテモーダ:彼と同じように戦闘狂が共通するプリキュアの敵幹部繋がり。
- サーロイン:17年前のプリキュアと戦った、牛の要素を持つ敵幹部。
- ジェントルー:彼と同じく無益な破壊活動を行わない敵幹部繋がり。
その他