概要
『サイボーグ009』は、昭和39年「週刊少年キング」30号から連載された石ノ森章太郎氏の代表作品だが、そのアニメ化第二弾がこの作品だ。
スタッフやキャストは、ほとんどの人が前作に引き続き務めた。
物語の中に登場する二組の敵サイボーグは、原作の0010と「ミュートスサイボーグ編」のヘレナからヒントを得たものだが、ヘレナについては、「地下帝国"ヨミ"編」のヘレンもヒントになっているともいう。
また、超音波怪獣などはヨミ編に登場したものと思われる。
後に旧ゼロの礎でもある。
1967年3月19日公開 『東映こどもまつり』枠
設定変更
009は脱走犯からレーサーへ。
009は混血の栗毛を黒髪へ。
009は前髪を垂らすのをやめ、両目が見えるように(テレビシリーズでは原作寄りに修正)
コスチュームを009のみ主役として際だたせるため赤から白へ。
003のみピンク、他のメンバーは紫。
マフラー使用は009のみ。色も赤へ。
003は青いバンダナ風のマフラーを使用。
加速装置の設定をオミット。そのため009はじめ原作では加速装置を装備するサイボーグが、単に走行や跳躍能力が常人より優れているという描写になっている。
007のキャラクターが、主な視聴者である子供を反映して大人から子供に変更。
特に007の設定変更は、原作者の石ノ森の不満とは裏腹に子供たちからは好評を博し、当時のキャラクター人気投票で1位を獲得。
変身能力は持ち合わせてはいない007が主人公である短編の「サイボーグちゃん」も描かれた。原作漫画でも、007は「永久変身」として、子供の姿が基本になったことがある。
あらすじ
世界各地の都市に超音波怪獸プレシオザウルスが出現したことから始まる。
怪獣出現の報に世界各地からサイボーグたちが日本のギルモア研究所へと集結した。
009と003は、途中で事故のため遭遇したヘレナを同行していた。
怪獣退治のため、対超音波砲を装備したドルフィン号に乗り込み出撃するサイボーグたち。
しかし、ドルフィン号にはヘレナが密航していた。
太平洋で発光クラゲ、巨大エイなどと 攻防を続けながら、ついに怪獣を発見。しかし、対超音波砲が作動せず、001の観念動力で危機をのがれた。
ドルフィン号は、怪獣を追跡し、洞穴へ。
しかし、そこには、ブラック・ゴースト団の罠が待ちかまえていた。
双子のサイボーグ0011、プラスとマイナスの攻撃、そして、スパイだったヘレナ•0010との闘い。
「あなたとだけは闘いたくなかったわ。」
そういいながらも、彼女の指輪から光線が009めがけて発射された。
「女の子は女の子らしくしたほうがいいよ」
二人の闘いは009の一言で終わりをつげた。
更なる罠がサイボーグ達を襲った。
怪獣の爆発により気を失っていた009を残し、まんまと全員が捕えられてしまったのだ。
そして、ついに最後の戦いが始まった。
ヘレナの魅力に感動した人が多かった。
キャラクター
声-太田博之
プレシオザウルスのニュースをラジオで来ている時に謎のヘリの襲撃に遭い飛び乗るが操縦者は004であり本人曰くちょっとした冗談なつもりでありギルモア研究所に行く。
ギルモア博士から今回の事件のためゼロゼロナンバー全員を集めることになる。
能力は8人のサイボーグ戦士の全ての力を結集しているため強い、一応飛べる。
声-ジュディ・オング
ブラックゴースト壊滅後、夢であるバレリーナになった。
しかし009の召集には一度は断るが、009が乗る飛行機に上席した。
前作よりも女の子らしい一面を見せており、007がお茶来る時は少しキレている。
能力は半径4キロの音が聞こえる聴覚、周囲50kmを見渡せる遠視力・透視能力などのレーダーやセンサー機能を持つ。
声-藤村有弘
ブラックゴースト壊滅後、中華料理店を開くがチャーシューが足りないことで業者に怒り揉めるが009からの電報が来た時は涙を流して喜び担当者には豚丸ごとあげた。
009と再会後、誰よりも喜んだ。
能力は体内に高圧縮エネルギー炉を内蔵し、高熱火炎(もしくは熱線)を口から放射する能力を持つ。
その火炎は地面をも瞬時に溶融させ、地中潜行も可能。この能力に対応できるよう肉体そのものも耐熱性に優れている。
声-曽我町子
原作とは違い子供である。
コメディリーフでイタズラ好きは変わらない。
ブラックゴースト壊滅後はロンドンにいる。
自身の細胞の分子配列を変化させることができる。
声-石原良
ブラックゴースト壊滅後、アメリカンフットボール選手になるが007に召集され再び戦うことになる。
脚部に埋め込まれた飛行ユニットにより、マッハ5で空中を自在に滑空(飛翔)する能力の持ち主。その気になれば成層圏まで自力で飛行可能である。
声-大竹宏
009を召集するためにヘリで攻撃をしたが本人曰くちょっとした冗談である。
能力は両手の5本の指にマシンガン、膝にマイクロミサイル、左手にナイフ(話によってはレーザーナイフ)そして体内には広島型原爆まで仕込まれている。
初期作品においては両肘からもミサイルが撃てる。
なお原作では右手がマシンガンであり、ナイフを使っての攻撃は今作が初である。
声-増岡弘
ブラックゴースト壊滅後、荒野にいたが007の召集で再び戦うこととなる。決して(えーっ!と驚かない。)
能力は能力は機関銃も跳ね返す頑強な肉体と、素手で戦車の砲身を捻じ曲げるほどの怪力。
その頑丈さで仲間の盾になったり、素手で隔壁をこじ開けたりと豪快な活躍をするが、半面敏捷性で劣るため、俊敏な敵には翻弄されることも多い。
声-内海賢二
原作とは違い序盤からギルモア研究所にいる。
能力は両足の裏に噴射口が備えてあり、激流を噴射して水の中で素早く活動できる推進能力や人工のエラ、深海の水圧をはじめとする高重圧環境に耐える皮膚と内臓を持つなど、水中活動だけなら他の全員を凌駕する。
また今作では006とは真逆に口から水を吐き出して攻撃ができる。
声-鳥山京子
今作では観念動力を手に入れているが、一度使うとエネルギーが消耗するのですぐに寝てしまう。
能力は言葉は話せないが改造の影響で自我が非常に発達しており、テレパシーで意思疎通を図れる。
声-八奈見乗児
新たな研究所を立ち上げゼロゼロナンバーを再び召集した。
プレシオザウルスに対抗するためにドルフィン号を開発した。
ドルフィン号紹介後は出番がない。
声-市原悦子
003を向かいに行きギルモア研究所に車で向かう009の前に事故にあった。
ドルフィン号にジャガイモ袋に紛れて潜り込む。
両親がプレシオザウルスに殺されたため敵討をするために同行する。
夕焼けを見て感動したり、009の「50億の人のために戦う」という信念を知り羨ましがっている。
実はヘレナはブラックゴーストに送り込まれた10番目のサイボーグ0010である。
能力は不明だが指輪を使い光線を打てる。
また総統とは脳波で繋がっているため裏切らないとう悲しい存在。
潜入時はポニーテールであるが、0010時ではギリシャ神話の女神を思わせる。
前作で滅んだはずだが何故か蘇った。
今度はプレシオザウルスを使い世界を支配している。
声-山内雅人
前作では巨大なコンピュータ(原作でいう0012の容姿)であり、洗脳した003を止めようと009が揉め合った瞬間の銃の暴発で脳を守っていたガラスが割れ死亡したのだが何故か復活した。
見た目は原作でいう魔神像に近く、常に玉座に座っている。
潜入した009に接触した時
「ようこそ009、また会ったな。」
「フフフ、殺し合いの血と,不幸せな涙と,それと人と人との憎しみと醜い欲があるところに私はいつでも生まれてくる」
とかつての言葉を言い巨大なコンピュータの姿をフラッシュバックさせ009は驚いた。
最終決戦では部下のサイボーグマンは戦っていたが自身は逃げた。(劇中で戦っているシーンがないため逃げたと思われる。)
サイボーグ0011。
兄がプラス,弟がマイナス。
電気を放電して攻撃してきた。
通常時ではプラスがオレンジ,マイナスが青色であるが戦闘体制ではプラスがピンクが混じった赤,マイナスが緑色に変化する。
強力なプラスとマイナスはお互いが触れ合うことでショートするため009はそれを逆手に取り彼らを倒した。
原作では彼らが0010である。
ブラックゴーストの新たな兵士。
ゼロゼロナンバーを改良,または量産化したもの。
全員が同じスタイルをしており、009が変装していたのは隊長。(隊長の服は青色である。)
メカニック
プレシオザウルスに対抗するために開発された新たなメカ。
予告では「進め!夢のロケット 無敵のドルフィン号」
プレシオザウルスに対抗するため対超音波砲も装備されており、空中,海中も移動可能。
対超音波砲はケーブル式であり、それが抜かれた状態でスイッチを入れると質量に耐えきれず壊れる。
超音波怪獣プレシオザウルス
世界を荒らし回る超悪怪獣。
実は、ブラックゴースト団が造った超音波ロボットだった。
太平洋の海中をゆうゆうと泳ぐことができる。
電気吸うクラゲ
ドルフィン号の電気を吸ったブラックゴーストの兵器。
巨大なエイ
ブラックゴーストが造った怪獣でミサイルを射つ。
アキレス
巨大ロボット。右手には光線が打てる。かかとが弱点。
ブラックゴースト団の脱出用ロケット
ドルフィン号を失い崩壊するブラックゴーストのアジトに逃げる際にヘレナから教えてもらったマシーン。
これを使い無事ゼロゼロナンバーは脱出することができた。
主題歌
「サイボーグ009」
作詞 - 漆原昌久 / 作曲・編曲 - 小杉太一郎 / 歌 - 東京マイスタージンガー(第2作のみ)
第1作はインスト版、第2作はボーカル版を使用。
オープニング映像は第1・2作とも同じ(サイボーグチームのシルエット)だが、スタッフや声優のクレジットテロップは第1作では画面一杯なのに対し、第2作では画面の隅にクレジットされている。
なお双方とも声優テロップには「配役」がクレジットされているが、東映アニメ映画で配役がクレジットされたのは、第1作が史上初。
他にも「サイボーグ009のうた」(作詞 - 石森章太郎 / 作曲 - 増田豊利 / 歌 - キングブラザーズ〈朝日ソノラマ〉)という曲も存在するが、そちらは原作漫画のイメージソングである。
余談
旧ゼロでは007,002,005,ギルモア博士以外は劇場版とは違う声優に変更されている。(ただし004も途中までは劇場版と同じ声優が担当している。)
009 - 田中雪弥(現•森功至)
003 - 鈴木弘子
006 - 永井一郎
007 - 曽我町子
ギルモア博士 - 八奈見乗児
001 - 白石冬美
002 - 石原良
004 - 大竹宏→内海賢二(内海賢ニ氏は第一・二作の劇場版で008の声を演じている。)
005 - 増岡弘
008 - 野田圭一
また旧ゼロの009は後に実態を見せずに忍び寄る白い影と宇宙の騎士を演じている。
新ゼロでの003は旧ゼロの009と科学忍者隊ガッチャマンで白鳥のジュンとして共演している。