DATA
概要
オレンジ色のトラのような外見の四足歩行怪獣だが、顔立ちは狼にも似ている。
黒い縞模様の体には、背中から尻尾にかけてスパイク状の鋭いトゲが複数並んでいる。
狛犬のような、焦点の定まっていない丸い目を持ち、口元には湾曲した巨大な牙が生えている。
過去に虎尾山で起こった大噴火など、世界各地で「ホムガー伝説」として語り継がれている噴火を起こす伝説の怪獣であり、地上に出現する前兆だけでも…
- 夜間に地震が発生し、地面から間欠泉のように熱湯が噴出
- 周囲に硫化水素の卵の腐ったような異臭が立ち込める
- 地上の気温が45度以上にも急激に上昇する
…など、火山地帯でない地域であっても火山の現象や噴火を発生させる程の影響力を持っている。
生態・能力
「灼熱怪獣」の名前の通り全身から高熱波を発しており、口から灼熱の火炎放射を吐く。
口元の牙で突き刺したものからバクテリアの如く物質を分解・吸収して自身のエネルギーに変換する。
また、トラなどのネコ科猛獣のように俊敏に飛びかかったり、巨大な前肢の鉤爪での引っ掻き、トゲだらけの体での体当たりも脅威となる。
夜行性であり、昼間は捕食時を除いて体力を温存するため休眠していることが多い(地底でも夜間に活動していることが示唆されている)。
本来は怪獣探知機の圏外になる程地底深くに生息しているが、子供を身籠り、出産が近付くと満月の日に地上に出現し、出産時に自らが爆発してそのエネルギーを生まれゆく子供に与えて命を繋ぐという稀有な生態を持つ。しかし、その爆発は少なくとも街一つを消し飛ばす程の規模とされている。
また、伝説によるとホムガーが出現すると共に"精霊"が現れると言われており、精霊はホムガーが皆と共存するために存在しているというが、上記の生態もあって共存が非常に難しいだけでなく、精霊自体が現代では誰にも姿や声を認識できなくなってしまっている。
動向
星元市では連日異常な暑さに見舞われ、今日も気温は45度、明日には48度と予測される異常気象。
そんな中、街中で突如間欠泉のような異臭と温水が噴き出す奇怪な現象が起こる。近隣の住民たちの話では近頃夜間に地震も起きており、怪獣出現の心配もされていた。
まるで火山地帯のような異様な環境にSKIPが調査に乗り出したところで、突如地底からホムガーが出現。近くのガスタンクに牙を突き刺し、ガスのエネルギーを吸収する。
ユウマはウルトラマンアークに変身して戦うも、腹部に牙を刺されてエネルギーを吸収されて弱体化。それでも戦おうとするも直後にホムガーを通じて謎の少女の顔と声が現れ動揺、そのまま火炎放射をもろに受けて敗北してしまう。
アーク消滅後、ホムガーは休眠して活動を停止したため、やむを得ず一同は分署に戻り、怪獣の分析を開始。
ユウマが謎の少女の言葉から咄嗟に思い出した「ホムガー伝説」からこの怪獣が火山噴火を引き起こすホムガーだと判明したが、休眠中でもその熱量はどんどん増加、推定爆発は星元市壊滅級の被害だと算出、伝承では満月の夜に火山噴火を引き起こすのだが、この日の夜もちょうど満月。市全体に避難を呼びかける緊急事態となる。
また、この時腹部から謎の脈動と「第2の心音」が感知されたが、ユウマは「心臓が複数ある怪獣」の前例からそれと同類と推測していた。
夜になり、目覚めたホムガーは防衛隊からの集中砲火を受けるが、火炎放射で返り討ちにしていく。
…ユウマはおとぎ話のような話故に皆には伝えてなかったが、実は伝承には「ホムガーは精霊と共に現れる」という話もある。
これを思い出したことで度々目撃していた謎の少女・杏樹は精霊だと勘付いたユウマは、避難誘導の合間に彼女を見つけ出し、衝撃の事実を知る。
なんと、ホムガーから感知された「第2の心音」は体内の子供もの…つまりこのホムガーは妊娠していた母親だったのである。ホムガーは爆発と共に命を繋ぐ習性があり、彼女がユウマにホムガーをそっとしておいて欲しかったのはこのためである。
だが、このままホムガーを爆発させれば街が壊滅してしまう。ユウマはかつて満月の夜に母親と交わした約束から皆を、そしてホムガーの命も守るべく決意を固めアークへ変身。
アークは防衛隊のミサイル攻撃を凌ぎつつホムガーを安全な場所へ運ぼうとするも、出産間近で攻撃的になっているホムガーに圧倒されてしまい、遂に爆発寸前にまで陥ってしまう。
しかし、土壇場でかつて満月から描いた「つきのちから」を基にルーナアーマーを誕生させると、質量のある残像でホムガーを翻弄。
そして巨大な竜巻状のバリアを展開し、その中でホムガーを宥めながら遂に出産の爆発が起こり、ホムガーは消滅。
バリアのおかげで爆発は最小限に留めることに成功し、星元市消滅の危機は免れた。
夜明けと共に、爆心地で親の爆発エネルギーを受け継いで産まれたホムガーの子供は、杏樹と共にどこかへと消えていったのであった。
SKIPは姿を消したホムガーの子供の調査と共に、遠い未来にいつかまたホムガーが次の世代へ生まれ変わる時のため、しっかりと記録を残すことにした。
「ホムガーは、精霊と共に現れる」、と……。
杏樹
演:増井湖々
何故かユウマにだけ見える謎の女性。
彼がアークに変身する事実を察知している。
正体は不明だが、何故かホムガーへの攻撃を停止させようとする。
劇中ではっきりとした正体は明かされてないが、ユウマの知るホムガー伝承には「精霊と共に現れる」との記載があり、その通りならば彼女の正体は精霊。
ホムガーを攻撃しようとしたのを静止しようとしたのも、出産のために命を守ろうとしていたからである。
しかし、ホムガーと共生する存在故にか、ホムガー以外をほぼ切り捨てているような価値観に支配されており、ホムガーの出産によって生じるあらゆる被害を無視する言動は良くて純粋、悪くて妄執の域に達している。
かつてはホムガーと意思疎通が行えていたようだが、現在はそれができなくなっている。
また、ウルトラマンに関する知識がある点から、もしかすると過去に別個体のホムガーの出産にて他のウルトラマンと出会い、助産して貰った可能性なども考えられるが、詳細は不明。
最終的にルーナアーマーの力で出産は成功し、産まれたホムガーの子供と共に消滅していった(なおその際、顔にホムガーのものに近い縞模様が浮かび上がっていた)。
彼女の評価に対しては賛否両論で、一部の視聴者の中にはそんな彼女の高圧的ともいえる態度に対し、「(命を繋ぐ為の繁殖とはいえ)ホムガーは人類に害しか与えないのに『共存させてくれ』なんて身勝手すぎる」と不満を抱いた人も少なくない。
実際、ホムガーが周囲を高温にして爆発なんてしてしまえば、多数の死者が出てしまうのは当然の事であり、「それすらも配慮しない杏樹にも落ち度があるんじゃないか?」と唱える人も多い。
そもそも杏樹はユウマが自分に気づいているにも関わらず、最初にホムガーが出てきて変身して戦おうとしてた彼に「(ホムガーが)妊娠している」事実すらすぐに説明していない。
もし最初にその事実を説明しておけばユウマ=アークは無駄にホムガーを傷付けることも無かったうえ、ユーの調査内容に合わせて「ホムガーが妊娠しているかもしれない」と伝え、SKIPメンバーや自衛隊に知らせれば、避難区域の選定とかが出来て手間が省けたはずである。
現に『ウルトラマンZ』第11話においても、主人公がとある怪獣の親子と向き合った際、怪獣を倒す事に疑問を抱いたあまり、仲間を危険に晒してしまった事があり、「(コイツらはともかく)幾ら善良であっても、人間に危害を加える可能性のある怪獣を殺さないで生かしておくことが本当に正しいのか?」と疑問を抱いた視聴者も少なからずいた事も、今回の一件に賛否が分かれる一因にもなっている(実際、終盤でシュウも「結局は怪獣を見逃したって事ですよね」と半ば納得のいかないかの様な台詞を口にしていた)。
一方で、「これが杏樹なりの精一杯のコミュニケーションなんじゃないか」と解釈した人もいる(要するに「単に話が下手」)。
もし杏樹が人間と円滑に話ができるなら、とっくにホムガーと人間は上手く共存できていたはずであり、彼女が高圧的になったのも、本人が言う様に「誰も話を聞いてくれる人がいなくなった(本作の第2話の様に、大自然に耳を傾ける人間がいなくなった)」事で、杏樹はそんな人間達に失望してしまったからなのかもしれない。
いずれにせよ、今回はアークのおかげでホムガーも町の住民も両方が救われたものの、それでも「全ての怪獣が上手く人間と共存できるとは限らない」というのも事実であり、ある意味ホムガーもまたそんな怪獣の一体とも言える。
余談
- 名前の由来は恐らく、「焔(ホムラ)」+「タイガー」をもじった造語と思われる。
- 本作への登場はOP映像にて判明(サビの怪獣カットでは7番目に登場)。その後、本編登場よりも早い2024年7月8日にソフビ情報が公開され、リヴィジラと共に名前などが判明した。
関連タグ
ウルトラシリーズ
- ザンボラー、パワードザンボラー:体から高熱を発する「灼熱怪獣」繋がり。パワードザンボラーは伝説の怪獣として名が残る点も共通する。
- ソドム:体から高熱を発し、周囲に異常気象を起こした怪獣繋がり。こちらも伝説の怪獣として名が残る点が共通する。
- ザランガ:出産直前に体から高熱を発する怪獣繋がり。
- タガヌラー:体から高熱を発し、大爆発寸前となった怪獣繋がり。
- ティグリス:トラや狛犬を彷彿とさせる四足歩行のウルトラ怪獣。
- イザクプラチアード:「火を吐くトラ」と言われて連想されるウルトラ怪獣。
- サイクロメトラ:同じく生殖行為として大規模な被害を齎す爆発を行う怪獣。しかしこちらは反物質爆発であり、その被害は惑星が丸ごと消し飛ぶというホムガー以上の規模である。