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上級国民の編集履歴

2024-10-13 19:34:01 バージョン

上級国民

じょうきゅうこくみん

上級国民とはネットスラングの一種。

概要

特権階級などと大体同じ意味を持つ言葉。


政治家役人(高級官僚クラス)などの権力者富裕層大物芸能人(それらを経験した高齢者)やその親族など、不祥事が表沙汰にならないか、なりにくいと考えられている人々をまとめて呼称した言葉。

狭義的には単なる富裕層ではなく、「周りの富裕層より明らかに特別な待遇を受けている」富裕層に用いられる。


日本では戦後の憲法改正以後、天皇皇族を除いて特別な身分を有する国民は存在せず、貴族などの設定は憲法によって禁止されている(以前は華族などがあった。現在でも外交官在日米軍関係者など一部の外国人には法で特権が認められている)。


しかし、身分制のない国家でも閨閥関係などで事実上の特権は受け継がれ、貴族の様な階層を形成していることがある。現代日本におけるそうした格差社会、あるいは一部を加筆特権的な雰囲気・空気を皮肉る意味でこの言葉は使用される。


上述の高級官僚に対しては辞職後は定義上地位を失っているはずだが、その後もなお司法や各政党などから強い権力を有しているかのような対応をされる事が多い。この現象は独裁的な権力者が「天皇」と皮肉られていた1980年代以前の時期から既に疑問視する声があったようで、院政と呼ばれていた。このため、「元」高級官僚であっても決して本人やその親族が上級国民の地位を剥奪されるとは限らない。


また、この言葉は後述の例を見てもらえば分かるように、ほとんどが「本来なら死刑・追放処分ものの悪事や失態」を行って初めて言及される概念である。よって、該当の地位を持っていても社会のルールを守り真っ当に生きているような人間を指すことは滅多にない。


既に一般に広まった類似語(公的に制度化されていないものを身分階級のように称する語)としては独身貴族などがあげられる。


成り立ち

この言葉はネット黎明期からあったとか、ネット普及前からあったという説があり、発祥は不明。


広く認識されたのは2015年の東京オリンピックエンブレム騒動(佐野研二郎氏のデザインに対する盗作疑惑・ならびに氏の他のデザイン物における無断流用(トレス)発覚騒動)がきっかけ。

この件で佐野氏のエンブレム採用中止を決めた記者会見において、五輪委員会の審査会の話を紹介する形で「一般国民」という語が度々紹介された。

要約すると、(エンブレムについて)「デザイン界としてはオリジナルデザインだと認識しているが、一般国民には理解しにくいものがあった」という趣旨のものであった。 「デザイン界の専門家」に対する「一般国民」(デザインの専門家以外―いかなる特権階級であっても―)という意味でその言葉を利用したのだが、どうにもこの内容は「上から目線」であると認識され、そのことが「一般国民」の対比として「上級国民」と皮肉を込めて言われるようになってしまった。


転じて

この時点では「上級国民」とは(上から目線の)「専門家」を指す言葉だったと言える。しかし、如何とも汎用性に乏しく、対して言葉自体の分かりやすさからすぐさま意味が転用されるようになる。

その後は概ね上述したような金持ち・政治家・権力者(またはそれらを経験した高齢者)など漠然とした範囲に対する批判と皮肉を込めたネットスラングとして一定の使用を得ている。

(しかし「上級国民」と我々が呼んでる時点で問題の人間を優遇させてしまっているのかもしれない)


古くは2005年に内博貴(当時18歳)が未成年飲酒をしてNEWSを脱退した問題で、フジテレビアナウンサー菊間千乃が飲酒を強要させたにもかかわらず、何の処罰も受けなかった事から批判を受けた事案があった(相手があのジャニーズだったのだから、尚更この高待遇は物議を醸した)。


2013年1月に、元フジテレビアナウンサー・千野志麻沼津市の駐車場で、場内を歩いていた38歳の男性看護師を運転していた自動車ではねて死亡させるという事故を起こしたが、自動車運転過失致死の疑いで警察に逮捕されず書類送検、その後100万円の罰金刑にとどまった。これは千野の夫側の縁戚に政財界の大物が多くいたため、この権力で逮捕・収監を免れたことができたという見方があり、「上級国民」の典型だとされている。

ただしこの事故の後、千野は当時フリーアナウンサーとして出演していた番組を全て降板、現在も出演番組はなく事実上の引退となっている。


そして2019年4月に発生した東池袋自動車暴走死傷事故で、被告人である飯塚幸三が逮捕されず、自身の責任を全否定し、当該の自動車メーカーのトヨタ自動車に責任を転嫁してきたことから「元官僚だから忖度される」「高齢だから減刑される」と、幅広く知れ渡ることとなった。

なお、実際には裁判で被告人の主張は認められずに実刑判決が言い渡され、その後控訴せず服役している。


2021年8月に女優の綾瀬はるかCOVID-19に感染して入院するが、8月時点で東京都は毎日数千人が感染して医療が逼迫していて入院も困難な状況だったのもあり彼女が入院していた件について「上級国民だから優先的に入院できた」と批判の声が相次ぎ、再び「上級国民」というワードが知れ渡ってしまった。


また、自民党は今まで国民に対する保障にろくにお金をかけてこなかったが、2022年7月の安倍晋三銃撃事件が発生すると警察庁に1億かけて超ハイスピードで「銃・爆発物」のガイドラインを変更しSNS業者に削除要請を発表したことから『自分らが傷付けられる可能性のあるものだけは仕事が早い』『やはり自分らが上級国民だという自覚があったか』など多くの呆れを生むこととなった。


ちなみに「実際に容疑者の立場や地位によって逮捕されなかったり、減刑されるのか」という点については「それの当事者でないとわからない」としか言いようがない。

そこら辺の事情は実際に審理に参加した者でもない限りわかるはずもないが、その被告に下された判決が他の人間からして不十分と受け取られた場合「身分によって減刑が適用されたんだ」「高齢者だから減刑された」という印象を抱かれがちなのもこの言葉が引用される一つの要因になっているものと思われる。

資産および人間関係の都合から身元引受人を準備する、被害者に対する弁償を行うなど、裁判上の減刑に向けた適切な対応がやりやすく、結果的に裁判で有利になりやすいというのはありえるが、これは上級国民であることと直接の関係はない。例え上級国民であれ、身元引受人がおらず、弁償を渋るようなことをすれば非上級国民と同様に処罰されうるし、非上級国民でも何らかの原因でそうした条件が整えば有利になり得るものである。

そして当事者である警察や裁判官が「上級国民だから見逃した」とか「上級国民だから無罪・減刑しました」とか言うはずもないので、陰謀論の域を出ることはない。いわゆるレッテル貼りからなる群集心理もあるのではないかとも言われている。→外部リンク


関連項目

ネットスラングの一覧

ブルジョア:ブルジョアジーの略。近世に発達した資産階級。日本ではプロレタリアートの対比として、しばし労働活動家などから資産家に限らない人間に対しこの言葉と大差ない意味で批判的に使われる。

官僚 政治家 国会議員 芸能人 老害 権力者 支配者 無能 外道 危険人物 治外法権 親ガチャ 院政 スキャンダル 不祥事


格差社会 忖度 特権階級 汚職 利権 賄賂 癒着 天下り 親の七光り 無責任

階級社会 士農工商 学歴社会 税金泥棒 報道しない自由 不都合な真実


関連作品

アクメツ:国会議員や官僚をメインにさわやかに楽しく悪事を暴露しつつ、パロディを交えて抹殺していく漫画。2002年。

上級国民スレイヤー:事件後から連載されている、権力で犯罪を揉み消す上級国民を主人公が人知れず処刑する漫画。2019年。

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