史実
江戸時代初期のキリシタン(1621年?~1638年4月12日/寛永15年2月28日)。本名は益田四郎時貞。
島原の乱(天草・島原の乱)における一揆軍の精神的指導者(俗に言う救世主)とされる。
実在していたことは間違いないが、詳しい人物像については未だ明らかになっていない部分がある。
武士の息子で父・益田好次も乱の主要人物であったが、四郎自身は乱の時点で10代であり、当然戦の経験があるはずもない。
そのため、実際に一揆軍の指揮を執っていたのは現地の庄屋や浪人たちであり、四郎自身は一揆軍に属していたキリシタン向けに戦意を高揚させる神輿として担ぎ出された青年に過ぎないとも言われている。
乱が鎮圧される際、幕府側は四郎の顔を知らず、分かっているのは四郎がまだ10代前半の幼い少年であるという情報のみであった。
その為、最後の戦いでは、幼い少年や女性等に扮する形で四郎が逃亡する可能性を考慮された結果、女子供であろうとも容赦なく殺害される凄惨な様相となってしまう事になった。
乱が完全に終結した後、四郎を討ち取ったかどうかが分からなかった幕府側は、捕えた四郎の母親に大勢の子供の首を大量に見せ、母親が泣き崩れた首を四郎の物と断定したと言われている。
その後、四郎と断定された首は、晒し首となる顛末を迎えた。
四郎の死後、幕府側ではキリシタンの危険性が再認識される事になった結果、当然キリシタン弾圧は強化されてしまう事になる。
また、交易に関しても、キリスト教を布教しようとしてくるスペインやポルトガル等の交易は行われなくなり、特定の地域である出島のみにおいてキリスト教を布教しないオランダや中国とのみ交易が行われる等、その後の日本の鎖国体制を決定付ける事になった。
伝説
幼少より学問に親しみ優れた教養を持ち、生まれながらのカリスマ性があったとされるほか、以下のような伝説もある。
もっともこうした伝説は、一揆軍が四郎をカリスマとして祭り上げるに当たって創作された面も多分にあると思われる。
フィクション
美輪明宏が生まれ変わり
スピリチュアル番組『オーラの泉』で美輪明宏は「前世は天草四郎の株分けされた魂」と自称していたが、後に「前世はピカチュウ」と語るようになり真相は定かではない。
悪として
「反体制派のカリスマ」を逆に捉えられ「妖しげな魅力で周りをたぶらかす悪役」扱いをされがち。
次の2作品は代表的だが、一応元は善人であったものの史実の通り幕府に皆殺しされたため、自分たちを救ってくれなかった神を呪うようになったと言う扱い。
サムライスピリッツ
天草四郎時貞の項目を参照。後に善と悪の二つに分かれる。
魔界転生
山田風太郎作の小説「魔界転生」及び同作を原作とした映画・舞台・ゲームの登場キャラクター。
原作では森宗意軒以外で唯一忍法・魔界転生を使えるものの、他の転生衆と変わらない扱いで、物語後半で主人公・柳生十兵衛にあっけなく敗れ去っている。
だが1981年の映画で沢田研二が演じた天草四郎は敵側の主人公として大々的に扱われ、物語ラストで十兵衛に首を刎ねられるものの生き延び、再挑戦を宣言して何処かへと消え失せた。
沢田研二が演じた天草四郎は前述の「サムライスピリッツ」のモデルになったとされる。
また沢田は1978年の「ロック・ミュージカル 天草四郎」でも天草四郎を演じている。
演者
映画(1981年版):沢田研二
映画(2003年版):窪塚洋介
舞台(1981年版):志穂美悦子
舞台(2006年版):成宮寛貴
舞台(2011年版):浪川大輔
舞台(2018年版):溝端淳平
アニメ(1998年):置鮎龍太郎
Vシネマ(1996年):吉田晃太郎
その他の登場作品
- YAIBA(作:青山剛昌)
- AMAKUSA1637(作:赤石路代)
- 大帝の剣(作:夢枕獏)
- ロードオブヴァーミリオン
- 女神転生シリーズ ⇒ トキサダ
- Fate/Apocrypha ⇒ 天草四郎(Fate)
- 金田一少年の事件簿 ⇒ 天草財宝伝説殺人事件
- 時空警察:豊臣秀頼の落胤説を題材にしている。
- 戦国鍋TV:天草四郎と島原DE乱れ隊「シマバラン伝説」
など。
余談
芸名が同姓同名の俳優天草四郎がいる。熊本県熊本市出身で、天草四郎にあやかって同じ芸名にした。なお本名も同音異字の天草紫郎である。