説明
「あまぎり」は、海上自衛隊の中期業務見積りに基づく昭和59年度計画3,500トン型甲型護衛艦2225号艦として、石川島播磨重工(現・IHI)東京工場で建造され、1986年3月3日起工、1987年9月9日進水ののち1989年3月17日に就役した、あさぎり型護衛艦の4番艦。
就役当時は、3番艦「ゆうぎり」とともに横須賀基地を定係港にしていた。
横須賀配属時代には、1994年の環太平洋合同演習リムパックに「はたかぜ」、「こんごう」、同型の「あさぎり」「ゆうぎり」などとともに参加した。
一方、さかのぼって1992年には訓練中に同型5番艦「はまぎり」と衝突事故を起こし、浸水傾斜等海上自衛隊史上最悪の被害を受けるもけが人はなく、間もなく戦列に復帰している。
2002年8月16日に舞鶴基地に転属し、この舞鶴配属時代には、2004年のリムパックに2度目の参加を果たす。
2008年度からは第2護衛隊群第2護衛隊に転属、さらに2012年1月20日より定係港を佐世保基地に改めるが、2018年3月7日の3代目「あさひ」就役にともない、第11護衛隊へ転属、定係港も15年半ぶりに横須賀に戻る。
再び江戸っ子として生を受ける
艦名は旧日本海軍の吹雪型駆逐艦15番艦「天霧」に次いで本艦で2代目だが、初代はIHIの前身・東京石川島造船(戦後はIHI佃工場)で建造されており、実に2代そろってのIHI製となった。
また、あさぎり型護衛艦において、同じ吹雪型駆逐艦を艦名のルーツに持つ艦にネームシップ「あさぎり」(かつての「朝霧」は吹雪型13番艦)と「ゆうぎり」(かつての「夕霧」は同14番艦)があり、「ゆうぎり」を住友重機械浦賀工場(旧・浦賀船渠)が建造したのに対し、「あさぎり」は本艦と同じIHI東京工場が建造している。このIHIではほかに8番艦「うみぎり」も建造され、そちらは旧日本海軍の夕雲型駆逐艦「海霧」が艦名のルーツだが、初代海霧は戦況悪化にともない未成艦に終わってしまっている。
尚、先代「天霧」も峯風型駆逐艦「秋風」と衝突事故を起こし戦線離脱を余儀なくされたり、指揮系統の混乱に伴う操舵ミスでアメリカ海軍の魚雷艇に体当たり攻撃をする羽目になったりと他艦艇との衝突には因縁があり、ある意味では当代「あまぎり」にもこれが継承されてしまったと言えなくもないのかもしれない。
関連項目
その他の石川島播磨重工東京工場製の現役護衛艦群
こんごう型護衛艦:4番艦「ちょうかい」→IHIが建造した唯一のイージス艦。
むらさめ型護衛艦(次級):1番艦「むらさめ」、6番艦「さみだれ」、8番艦「あけぼの」
はつゆき型護衛艦(前級):9番艦「まつゆき」→この艦のみ旧日本海軍に同名艦なし。
旧日本海軍