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DDG-163「あまつかぜ」は、海上自衛隊初のDDG(ミサイル護衛艦)。艦名は旧日本海軍の磯風型駆逐艦「天津風」(初代)、陽炎型駆逐艦「天津風」(二代目)に由来する。現在主流のスタンダードミサイルの前身となる艦対空ミサイル「ターター」を運用するため、1隻のみ建造された。


日本のDDG第1号編集

1957年(昭和32年)11月、来日中のアメリカ海軍作戦部長アーレイ・バーク大将と海上幕僚長の長澤浩海将との会談の席上、 当時まだ米海軍でも配備前であった新鋭艦対空ミサイルであるターターの供与に関する打診がなされた。


当初は、あきづき型護衛艦(2代目。初代は旧日本海軍の秋月型駆逐艦)をベースとした基準排水量2,600トン級で基本設計が行われていたが派米調査により、この規模では納まらないことが判明、数次にわたる改設計作業を経て、1962年(昭和37年)夏、基準排水量3,050トン、機関出力6万馬力の基本計画がまとめられた。

このため工期は遅れ起工は当初予定の1961年(昭和36年)10月に対して1962年(昭和37年)11月、就役は1963年(昭和38年)8月に対して1965年(昭和40年)2月15日となった。


先行して建造されたいすず型で新採用された船体手法や3万馬力の蒸気タービンを搭載し、現在でも破られていない国産護衛艦最速の33ノットを引き出したが、ターターシステムの電力事情に悩まれ(停泊用ディーゼル発電機で艦の電力が賄いきれず、装備認定試験で本来は停泊中止めるべき主機を航泊問わず常時稼働せざるを得なくなった)、その後の護衛艦における電力供給の重要性を認識させる艦となった。なお蒸気タービンが用いられたのは次の「たちかぜ」型までで、2世代後の「はたかぜ」型からはガスタービンが採用されている。


イージス艦である「こんごう」「きりしま」の就役にともない、1995年に除籍し、若狭湾沖の対艦ミサイル標的艦として海没処分。左舷プロペラが横須賀教育隊、右舷プロペラが横須賀基地、主錨が舞鶴基地に残されている。



余談編集

本艦は三菱重工長崎造船所で建造され、その実績も買われてか、海自のDDGはこんごう型護衛艦の3番艦「みょうこう」まで一貫して三菱長崎での建造になった。続く「ちょうかい」で初めて三菱長崎の手を離れたが、「ちょうかい」の建造先となった石川島播磨重工東京工場が2002年に閉鎖されたこともあり、あたご型護衛艦では再び三菱長崎での建造に戻っている。


関連タグ編集

海上自衛隊 天津風(艦隊これくしょん)


海自DDGの系譜と後継艦

たちかぜ型護衛艦除籍70年代から2010年まで在籍していた第2世代DDG。「たちかぜ」「さわかぜ」「あさかぜ」の3隻。
はたかぜ型護衛艦現役本級からガスタービン機関となり、ヘリ離着艦能力が付与された。1986年就役の「はたかぜ」、1988年就役の「しまかぜ」の2隻。旧式化により練習艦として運用中。
こんごう型護衛艦現役前述の「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」の全4隻がある、米国以外で初めてのイージス艦でVLSを装備する。本級からは艦名に旧海軍の高速戦艦や重巡洋艦と同じ山岳名がつけられている。
あたご型護衛艦現役こんごう型の発展型となるイージス艦で「あたご」「あしがら」の2隻がある。こんごう型とは異なりヘリ格納庫が追加された。
まや型護衛艦現役あたご型の発展型。1番艦「まや」は2020年就役。また、2番艦「はぐろ」は2021年就役。

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