曖昧さ回避
- 南北朝時代の備中青江派による大脇差。本項で解説する。
- 1の刀剣を元ネタとした、オンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」に登場する刀剣男士。→にっかり青江(刀剣乱舞)
- 1の刀剣を元ネタとした、オンラインゲーム「しんけん!!」に登場する真剣少女。→青江にか
- 1の刀剣を元ネタとした、メディアミックス「天華百剣」に登場する巫剣。→にっかり青江(天華百剣)
概要
南北朝時代の備中青江派による大脇差(一尺八寸以上、二尺未満の脇差)である。
珥加理(にっかり)刀。
ニッカリ青江とも。
元はニ尺五寸の太刀だったが、後にニ尺三寸へ、次に二尺一寸五分位の長さとなり、さらに一尺九寸九分へと磨り上げられ現在の姿になっている。
茎に所持銘として「羽柴五郎左衛門尉長(磨り上げの為に「長」の字は下半分が消えている)」が切られており、これは下記の丹羽長秀(羽柴五郎左衛門尉長秀)所蔵の時期に付けられたとされている。
ただこの時期の実際の所持者は息子の丹羽長重(羽柴五郎左衛門尉長重)の方で、大磨り上げをしたのも小大名に成り下がった我が身の不徳を恥じ、「重」の字を消すことで「この名刀の所持者は父の長秀」と誤認させたかった、と言う説が有る。
※重の字だけを切り落としたものではなく、長の字の半分まで切り落としていることから、この説には疑問が持たれる。近年の論文では、二回目の磨り上げが丹羽家に於いて行われ、三回目の磨り上げは秀吉の生前(慶長三年より前)から大阪の陣(慶長十九年)までの間に豊臣家に於いて行われたものであるとされる。
名の由来
この「にっかり青江」という珍しい名前の由来として伝承がいくつかある。
- 領内に化物が出るという噂を耳にした領主が現地へ赴いてみると、夜中にもかかわらず子供を抱いた怪しい女が立っており、その子供を抱いてほしいと懇願する。子供が近寄ってきたがそれを切り捨て、更に「にっかり」と笑う女の幽霊を切り捨てたという。翌朝その場所を確認をしてみると石灯籠が真っ二つになっていた。(『享保名物帳』より)
- ある夜、旅を急ぐ男が夜道で女と出会うが、その女が振り向き「にっかり」と笑うのに不気味さを感じ取った男は女の首を刎ねた。翌日旅の帰り道でその場所を見てみると首の無い地蔵があった。(『常山紀談』より)
女を切った人物についても諸説あるがその後刀は柴田勝家に所有が移り、子の柴田勝敏に譲られた。さらに柴田勝敏を討った丹羽長秀から豊臣秀吉に献上され、子の豊臣秀頼から京極忠高に与えられ以降京極家に秘蔵される。
江戸時代の狂歌に京極家について歌ったものがあり、そのなかで
『京極にすぎたるものが三つある。ニッカリ茶壺に多賀越中』
とにっかり青江の名もあげられ、当時から名品として有名だったことが窺える。
1940年に重要美術品に認定され、太平洋戦争後に流出するが、1997年に丸亀市が購入し、現在は丸亀市立資料館に所蔵されている。
余談だが、似たエピソードを持つ、備前長船長光作の『にっかり長光』という刀がある。