概要
本来使われる刀は打刀や太刀であり、それが使用できなくなった際に使われるのがこの脇差である。
現代では、刃渡り60cm未満の刀は脇差に区分されるが、元々は予備の短めの打刀(または太刀)のことであり、戦国時代までの脇差には、長さの規定は特になかった。
正式な装備と見做されにくく、予備としての役割が強かったともされ、武士が目上の者の屋敷や城を訪れた際は太刀や打刀を預けなければならなかったが、脇差は手元に残すことが許された。
また、武器の携帯、使用、所持が厳しく制限された江戸時代であっても農民や町人でも携帯している者が多く存在したが、江戸で発生した傷害・殺人事件に使用された凶器で最も多かったのは脇差である。
(意外かもしれないが、武器の所持・携帯は厳しく制限されていたが、所持に関しては具体的な罰則はなかった。そのため江戸時代の村落では、携帯はしないだけで、武器を所有している家が多く、村同士の諍いに使用された。)
脇差をメインで使用する人物
- 山本長五郎/清水次郎長(実在の侠客、それを題材とした浪曲、小説、映画など)
- 紋次郎(木枯し紋次郎)
- 佐々木助三郎/助さん(水戸黄門)
- 瀬田宗次郎(るろうに剣心)
- 市丸ギン(BLEACH):斬魄刀「神槍」を通常は脇差サイズにしている。
- 迅鉄(黒鉄)
- 泉鏡花(文豪ストレイドッグス)
- 脇差男士全般(刀剣乱舞)
※概要に書かれている通り、江戸時代には武士以外でも所持が可能だった為、時代劇で武士以外(渡世人など)や武士身分だが町人を装っている者(水戸黄門の主人公一行のメンバーなど)が公衆や役人などの目に付く場所で腰に差しているのは、一見、一般的な刀に見えても、あくまで「大型の脇差」(江戸時代の基準で脇差と認められるサイズぎりぎりのもの)である。
備考
るろうに剣心に登場する四乃森蒼紫は、太刀に偽装した『小太刀二刀流』を使用する。作中では「小太刀は打刀と脇差の中間の長さだ」と言われているが、実際は脇差より短い刀を総称して「小太刀」と呼ぶこともある上に、長い脇差を「長脇差」と呼ぶ事もあるため確たる分類は未だ不可能である。
現在の銃砲刀剣類所持等取締法における登録制度においては「30㎝以上60㎝未満」の日本刀が該当する(そのため、一部の打刀や小太刀、短刀が含まれることがある)。